第147話 一日の終わりは落書きだ。
今日も「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんの言葉と共に皆が客間を出ていき、武雄とアリスも寝室に戻って来ていた。
武雄はお風呂の準備をし今はアリスが入っている為、書斎で落書きをしていた。
「さて、思いつくままに書いていきますか。」
とノートを開くとしおりが挟んであることがわかる・・・なぜ???
武雄はしおりを入れた記憶が無いので誰かが入れたのだが・・・まぁこんなことをするのは一人しか思いつきませんが。
武雄は苦笑をする。
とりあえず今日の料理を書き始める。
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「んー・・・」
武雄は今日の料理を書いてから悩み始める。
もう少し量を書いたら別のノートに書き写そうかと思っていたのだが、意外とランダムに書きすぎていて、良くわからない落書き帳になっていた。
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大まかに何種類かに分けてからさらにまとめる事にする。
・料理、雑貨
・戦い、物理
・政治
・保健
の4分野として落書きをしていって、後々まとめようかと思う。
まだ書き始めて3日、今日も含めて4日まだまだ編集には早いので、さっさと書き写していく。
書き写していく中、さらに思い出したことも書いていく。
と、寝室側の扉がノックされ「タケオ様、います?」とアリスが入ってくる。
「いますよ。お風呂はどうでした?」
「満足です。」
アリスはニコニコだ。
「じゃあ、髪を乾かしますか。」
と武雄とアリスは寝室に戻っていった。
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いつもの通り、アリスをベッドの横の椅子に座らせ髪を軽く乾かしていく。
アリスは気持ちが良い様で鼻歌を奏でている。
「アリスお嬢様、私のノートを見たのですね。」
タケオの言葉にアリスはビクッとする。
「・・・ダ・・・ダメでしたか???」
アリスは少しうつむき気味に言ってくる。
怒られているかの様にションボリしている。
「いえいえ、全く問題ないですよ?」
武雄はそんなアリスを見てクスクス笑う。
「本当ですか?怒っていません?」
「怒る理由がありませんが?」
「いや・・・勝手に見ましたし・・・」
アリスは俯きながら言ってくる。
「?・・・別に私はアリスお嬢様に見られて困ることは書いていませんからいくらでも見て良いですよ?
ついでに言えば、落書き帳にアリスお嬢様も書き込んでくださいね。」
「私がですか?」
アリスは顔を向けて聞いてくる。
「ええ。私の知識だけ書き出しても意味がないと思うので、少し行間を開けておくので、ここの知識やアリスお嬢様の感想も書いてくれると嬉しいですね。」
「え?でも、タケオ様の知識と大分違う考えもあるはずですが・・・」
「それで良いのですよ。
違う考え方や慣わしがあるのなら尚の事ちゃんと書いておかないといけないと思いますね。
何が違い、何が一緒かを確認する必要がありますからね。
それに私の知識は表面だけの部分も多分にありますから、間違っていることもあるでしょうし。」
武雄はニコニコしながら言ってくる。
「わかりました。私も書きます。」
「お願いしますね。
さ、髪を乾かしますよ。」
武雄はアリスの髪を乾かすのを再開するのだった。
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アリスは、さっき言われた通りノートに追記する為に武雄の書斎に来ていた。
当の武雄は、ただいまお風呂中。
「まさか3日で4冊に大別するとは思いませんでした・・・」
アリスは4冊を見ながら呟く。
そのうちの一冊を手に取り、開くと1ページ目には、このノートの題材が書かれている。
保健とは何でしょう??とアリスは思うが次を捲って最初の1ページ目から手が止まってしまう。
・・・赤ちゃんのでき方って・・・
アリスは誰も居ない書斎を一端、見渡しノートの中身を読む。
9か月から10か月で生まれてくる。
産道と子宮。
生理・排卵・受精・着床。
生理初日から8日~18日後が受精の目安でその後の14日が着床する準備。
ダメなら生理からやり直し。
排卵日は生理の2週間前??
妊娠中の食事は、いろいろ取る事。
・・・
・・
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「これ医学知識でしょう??」
アリスは悩む。
知らない事ばっかりだ。
というより「なぜタケオ様は知っているのだろう??」と思う。
一般人だと言っていたが医学まで知識があるの??
と、寝室側の扉がノックされ「アリスお嬢様、います?」と武雄が入ってくる。
「はい!います!」
思わずアリスはノートを閉じる。
「ん?何をそんなに慌てているのです??」
と武雄はさっきまでアリスが見ていたノートを見る。
「あ・・・」
アリスは少しバツが悪そうな、照れたような・・・顔を赤くさせる。
「あぁ、妊娠についてですか。
詳しく書けていませんね。世間一般の事しか書けませんでした。」
武雄は苦笑する。
「え!?これでですか?」
「ええ。このぐらい私のいた所では、スミス坊ちゃんの頃に大まかに習いますよ。」
「え!?皆に学ばせるのですか?秘匿にするのではなくて?」
「??・・・ええ。
むしろなぜ秘匿に??・・・というよりですね。
もしかしてアリスお嬢様の所では子供のでき方が違うのでしょうか???
生理もない???」
「平気です!あります!大丈夫です!!」
アリスは、軽くパニックになりながら顔を赤くして答える。
「良かったです。根底から違っていたら書いていて空しいだけですからね。」
武雄はクスクス笑う。
「じゃあ、お嬢様。」
「はいっ!!」
なぜか緊張しているアリスを見て武雄は苦笑する。
「あ・・・」
そんなアリスを武雄は軽く抱擁する。
「どうしたのです?」
「あぅ・・・特に何がという訳では・・・」
アリスは武雄の腕の中で真っ赤になっている。
「・・・アリスお嬢様。」
アリスは呼ばれて顔を武雄に向ける。と。
「んっ・・・」
武雄がいきなりキスをする。
「落ち着きましたか?」
「ふぁい。」
アリスは緊張が取れたように顔を上気させている。
「じゃあ、しましょうか。」
タケオの言葉にアリスは思考が追い付いていない。
「え??・・・なにを・・・あ!・・・ここで?・・・きゃ!」
「ええ、ここでです。」
と武雄はアリスを抱っこしてソファに連れて行くのだった。
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