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第145話 今日の料理の総評。

「さて、スープの違いは、わかりましたか?」

武雄は皆に聞く。

「うむ。あんなにも違いがでる物かの?」

「どちらも美味しかったですが、違いがあって楽しかったです。」

「僕もスープの素はブイヨンだけ知っていたので、いつもと違って美味しかったです。」

「ブイヨンに比べてかなり低コストで、あの味が出せるのですね。

 料理は奥が深いと感じました。」

こちらも4人とも好評の様だ。

「エルヴィスさん・・・本当にわかりました?」

武雄は苦笑しながら言う。

「うむ・・・美味しいのはわかるぞ?」

「はは、十分です。

 さて、じゃあもう少し知識を追加披露しますね。」

「「はい。」」

アリスとスミスは返事をする。

「味には何種類かありますが、ここでは何が認識されていますか?」

「えーっと・・・甘味ですよね。」

アリスは考えながら言う。

「辛味もそうでしょうか。」

スミスも言ってくる。

「他にはありますか?」

皆が「んー・・・」と考えるが何も出て来ない。

「甘味、酸味、塩味、苦味、辛味、渋味、刺激味、無味・・・まぁいろいろあるのですが、

 大別すると甘味、酸味、塩味、苦味となります。」

「なるほどの。」

エルヴィス爺さんとフレデリックは頷く。

「では、今日のスープの味はどれに入るでしょうか?」

「・・・塩味でしょうか?」

スミスは答える。

「では、作ってみましょう。」

と、武雄はなぜか客間に塩とスープ皿と水を用意しており、薄く食塩水を作る。

「・・・なんで用意されているのですか??」

アリスは呆れながら言う。

「はは、皆さんが食堂に向かっている最中に説明用に用意しておきました。」

武雄は苦笑する。

と、食塩水を口にしたスミスが

「しょっぱいです。」

と感想を言う。

「はい、そうですね。

 さて、スミス坊ちゃん。これが塩味ですが・・・先ほどのスープと同じですか?」

「全く違います!」

「そうですね。

 今回出した出汁の味については、当初、私のいた国のみで認識されていました。」

「ん?どういう事じゃ?」

「簡単です。

 別の国で先ほどの4つの味を基本とすると共通認識としてあったので、もう1つの味を認めなかったのです。」

「ん?その他の国にも実際にはあったのだろう?」

「あった様ですが、料理組合や王たちが認めなかったのです。」

「・・・変じゃの。」

「自分達の認識が一番正しいという考えを持っていれば、後から出てきた他の意見は潰すでしょうね。」

「タケオがいた所は、そういう事はなかったのかの?」

「ええ、特には。

 元々、先ほどの様にシイタケやら小魚から出汁を作る食文化ですよ?

 先程上げた味のどれにも含まれないが、重要な味があるのは実際に食べているので実感していたので。」

「なるほどの。」

「で、この味ですが『うま味』と言います。」

「なんですか?その名前は??」

アリスが聞いてくる。

「え?問題が??」

「何というか・・・他になかったのですか?」

「的を得ていると思いますが?

 塩味でも酸味でも甘味でもなく、美味しい味なので『うま味』ですね。」

「・・・そう言われると・・・そうですね。」

「このうま味ですが、肉汁とかにも含まれています。

 焼きたてのお肉に塩をかけて食べると美味しいでしょう?

 肉や塩の美味しさもそうですが、うま味も合わさって焼きたては、さらに美味しく感じるのです。」

「なるほどの。」

4人は頷く。

「私の国は昔から食に関しては、美味しい物を食べるのが好きですから。」

武雄はクスクス笑いながら言う。

「良い文化だの。

 あの出汁は今後も使えそうだの?」

「はい。低コストですので、他の食材に予算を回せるかと。」

フレデリックは答える。


「では、茶碗蒸しはどうでしたか?」

「初めての食感だったの。

 確かにプリンと似ておったの。」

「美味しかったです。」

「もう、食事が楽しかったです。」

「山の物と海の物、意外と合っていましたね。」

皆から好評です。

「茶碗蒸しは、温かいうちに食べるのが良いと思います。

 作り始めるのが最後になってしまうので、厨房としては大変かもしれませんが。」

「その辺は、ジョージに任せようと思う。」

「はい。

 と、アリスお嬢様、スミス坊ちゃん。海老はどうでした?」

「私は想像していたよりも身がしっかりしていて美味しいと思いました。」

「僕も初めてでしたが、茶碗蒸しの味と合っていて美味しかったです。」

二人の評価を聞きエルヴィス爺さんとフレデリックはホッとする。

「そうですか、それは良かったです。

 今回はたまたま私が購入しましたが、やはり価格が高いので、あまり頻繁には食卓には出せないでしょうね。」

「そうですね。

 タケオ様のいう通り、価格の高さもありますので頻繁には出せないでしょうが・・・

 余裕がある時には夕飯時の食材にしても良いかもしれませんね。」

「どんな料理が出るのか楽しみです。」

アリスは嬉しそうに言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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