第139話 10日目 いつもの起こし方。と小銃練習。
「ごぶっ」
武雄は腹部への強烈な刺激で起きる。
案の定、アリスが寝返りを打ち、武雄の腹に膝蹴りをかましていた。
当のアリスは隣でスヤスヤ寝ている。
・・やっぱりこれか・・・
武雄はアリスの太ももを撫でながらボーっとする。
・・・
・・
・
と。
アリスが身じろぎを始め。
「・・・おはよう・・ございま・・・す。」
と挨拶をしてくる。
「はい。アリスお嬢様、おはようございます。」
と武雄もアリスの太ももを撫でながら挨拶をする。
「今日も・・・撫でている・・・のですね。」
「日課ですね。」
「・・・あむ・・・いつも・・・足なのですね・・・」
アリスは寝ぼけたまま返事をする。
「片方ばかりでは、いけないですね?」
と、武雄はもう片方を撫で始める。
「・・・いや・・・そうじゃなくて・・・」
アリスはボーっとしながら突っ込みをする。
と、少しは頭が回ってきたのだろう。
武雄のお腹を撫でてくる。
「・・・今日もですか?」
「私の日課です。」
「では、しょうがないですね。」
と二人して相手の体を撫で始める。
・・
・
しばらく飽きもせず、撫でていたが。
「さ、起きますか。」
と、武雄の言葉に二人ともベッドを出て、着替えを始めた。
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朝食を終え、客間で皆でティータイム。
「さて、今日は皆、何をするのじゃ?」
「僕は午前中は勉強で、午後はハロルドとの稽古です。」
「うむ、タケオはどうするのじゃ?」
「そうですね。午前中は小銃の練習と干物屋に行ってきます。
午後は、料理長と明日の夕飯の打ち合わせですね。」
「うむ、アリスはどうじゃ?」
「午前は、タケオ様に付いて行って、戻ってきたらマッタリしています。」
「うむ、わかった。皆気をつけていくのじゃぞ。」
「「「はい。」」」
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武雄とアリスは、城門外の演習場の端っこに来ていた。
来る途中テイラーの店に寄り、小銃(小銃改1)の改造具合を聞いたが、「明日の朝にはできますよ」とのことで、今日は弾丸を使った小銃の練習になった。
小さい杭とロープを使い周辺に立ち入り禁止の境界を作って準備完了。
今日は小銃を2丁、弾は100発を持ってきていた。
「さて、しますか。」
「はい。」
武雄とアリスは敷物を引いて伏せ撃ちの格好を取る。
「まずは15発撃ちましょうか。」
まずは約50m先の木を狙う。
引き金をひくと「パン」と音と共に木に命中する。
・・
・
お互いに15発撃ち終わった。
「・・・15発中命中は14発ですね。」
「私は15発中命中は13発でした。」
二人は伏せ撃ちの体勢を解いて、体を起こす。
武雄は、リュックからお茶セットを出し、お茶を作るとマグカップに注ぎ、アリスに渡す。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「・・・50mは何とかなりそうですね。」
「ですね。」
「じゃあ、次は100mに挑戦しましょうか。」
「はい。」
今度は約100m先の木を狙う。
武雄とアリスは敷物を引いて伏せ撃ちの格好を取る。
「・・・え?・・・」
アリスは射撃体勢を取ってから驚きの声を上げる。
「タケオ様・・・物凄く木が遠いのですが・・・」
「でしょうね。1/4くらいの大きさになるはずです。」
「これに当てるのですか・・・本当に100mなのですか?」
「歩測ですからきっかりではないですが、概ね100mですよ。」
「むぅ・・・遠いです。」
「とりあえず、こちらも15発撃ちましょうか。」
引き金をひくと「パン」と音と共に木に命中する。
・・
・
お互いに15発撃ち終わった。
「・・・15発中命中は8発ですね。」
「私は15発中命中は6発でした。」
「んー・・・著しく命中率が悪いですね・・・」
「そうですね。」
「50mの命中率を確実に上げる方が・・・でも魔法の有効射程は200mなのですよね・・・
んー・・・」
「100mが当たれば50mも当たるのでしょうか?」
「基本的には目標の大きさが4倍になりますから当て易くはなるはずです。
とりあえず、もう15発撃ちますか。
で、残りは、また50mで試して今日は終わりで。」
「はい。」
武雄とアリスは再び伏せ撃ちの格好を取り撃ち始める。
・・
・
「・・・15発中命中は9発ですね。」
「私は15発中命中は8発でした。」
「まだまだですね。」
武雄は苦笑する。
二人は50mのところから5発撃ち全弾命中させて、今日の練習を終わらせるのだった。
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