第136話 試食会(生クリームとは。)
武雄は、厨房から客間に向けて料理を運んでいる。
今回もスイーツ担当とメイン担当は泣いていたが・・・気にしないでおく。
ちなみに料理長も満面の笑みで「これは凄い!」とホクホクそうだった。
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客間のドアを武雄はノックする。
中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。
中にはエルヴィス爺さんとアリス、スミス、フレデリックがいた。
「失礼します。」
と武雄は料理が載った盆を持って入る。
皆、武雄が作った料理を待っていたようで前のめり状態だ。
「プリンの前に、新たな食材で料理を一つ作りましたので、試食してください。」
「うむ・・・で、これはパスタかの?」
「はい。『カルボナーラ』と言います。」
と4人に取分け配る。
「食べても良いかの?」
「どうぞ。」
今回も「ど」の辺りで食べ始める。
そんなに楽しみだったのですか・・・
武雄はそんな皆の様子を目を細くしながら見ている。
エルヴィス爺さんとスミスは満面の笑顔で一心不乱に食べている。
アリスは一口食べると武雄を見て、目をこれでもかと見開き驚いている。
フレデリックは「ほぉ」と頷きながら食べている。
「お気に召しましたか?」
「「「「・・・」」」」
皆、無言でコクコクと頷くだけだった。
「皆さんはホント良い顔をされますね。私も満足です。」
と武雄は微笑む。
皆が食べ終わり、武雄は皆にお茶を配り口をさっぱりしてもらう。
「と、次はプリンですね。
今回もハチミツプリンです。」
4人にプリンを配る。
「ん?タケオ、スミスだけ大きいのじゃが。」
「お昼にお祝いの為に作ると言ったでしょう?
なので、スミス坊ちゃんのは、大きくしました。
本当は桶くらい大きくしたかったのですが、調理できるサイズでは、それが限界でした。」
「・・・タケオ様、何か変な事を言いませんでした?」
アリスは、ジト目で聞いてくる。
「調理できるサイズ?」
「その前です。」
「スミス坊ちゃん用に大きいのを。」
「その後です。」
「桶。」
「そこです!」
「・・・何がおかしいのでしょう??」
「なんでそんな大きな物を作ろうと?」
「いえ、喜ぶかなぁと思って。」
「喜ぶかもしれませんが・・・そもそも調理できたならするつもりだったのですか?」
「ええ、当たり前です。」
武雄は真面目な顔して言う。
「・・・タケオ様、普通のサイズで良いのですよ?」
「いや、インパクトがないかと・・・」
「タケオ様の料理は十分、衝撃的ですから普通のサイズでお願いします。」
「・・・わかりました・・・」
武雄は渋々了承する。
「と、行きわたりましたね。」
「食べて良いかの?」
「ダメです。」
武雄がエルヴィス爺さんを止める。
「で、今回追加で作ったのがホイップクリームです。
簡単に言えば、牛乳を泡立ててクリーム状にし、砂糖を入れて甘くしています。」
と、ボールに入れたままの状態で机に置く。
「ちょっと無作法なのは承知していますが、今回は気にしないでください。
と、このホイップクリームですが、正直私は失敗したと感じています。」
「ん?どういう事じゃ?」
「香りが少し残ってしまっているのです。
ですので、付けるのは、お好みでお願いします。
では、どうぞ。」
エルヴィス爺さんとスミスは満面の笑顔で一心不乱に食べ。
アリスは一口食べると武雄を見て、蕩けるぐらいの笑顔を向ける。
フレデリックは頷きながら食べている。
ホイップクリームも少し付けて食べて見ていたが、追加で付ける人はいなかった。
「やはり匂いがでますか。」
「ええ。甘いのですが、どうしても少し匂いますね。」
アリスが答えると他の皆も頷く。
「ふむ。では、パンに付けるとどうでしょうか?」
と皆に夕飯で残っていたパンを渡す。
皆はパンにホイップクリームを付けて食べてみる。
「んー・・・こっちも匂いがありますね。」
スミスが感想を言う。
「なるほど、わかりました。」
武雄はスミスがプリンを食べ終わると食器とホイップクリームを厨房に戻しに退出して行った。
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