第135話 魔法の指輪ができました。
「アリスお嬢様、キタミザト様、指輪の加工が出来ました。」
テイラー店長が武雄達が座っている机に指輪を持ってくる。
「と、まずはアリスお嬢様から指輪の最終調整をしましょうか。
とりあえず疲れてください。」
テイラーが言い放つ。
「え?無理ですよ、いきなりは。」
「どうぞ、アリスお嬢様。」
武雄が、その辺にあった木剣を渡す。
アリスは少し考え、その剣を受け取り、片手で武雄に切りかかる。
武雄は、左手で「シールド×15」を発動し、受け止める・・・受け止め続ける。
・・・
・・
・
3分経過。
「・・・疲れました。」
アリスは剣を引き、席に座る。
「では、指輪を付けてください。」
「はい。」
アリスは言われた通り左手の小指に付ける。
付けるが何も起きない。
「アリスお嬢様、頭の中で「回復開始」と思ってください。」
「はい。」
アリスは「回復開始」と考える。
と、途端にアリスの体から疲れがなくなる。
アリスはテイラーの方を見て驚いている。
「上手くいったようですね。
では、先ほどの様にその状態でキタミザト様に切りかかってください。」
アリスは片手で武雄に切りかかる。
武雄は、左手で「シールド×15」を発動し、受け止める・・・受け止め続ける。
・・・
・・
・
5分経過。
「疲れません。」
アリスは驚きながら報告をする。
「アリスお嬢様、その状態で頭の中で「回復終了」と思ってください。」
「はい。」
アリスは「回復終了」と考える。
・・・
・・
・
3分経過。
「・・・疲れました。」
アリスは剣を引き、席に座る。
「入り切りが出来ましたね。
と言っても、すぐに全回復はしないでしょうから、お気をつけてください。」
「わかりました。」
アリスは答えながら「回復開始」と考え、回復させる。
「では、キタミザト様の指輪の調整をしますか。」
武雄は今までしていた2つを取り、新しい指輪を左手の人差し指と中指にし直す。
「一応、前回の通りの魔法名→連続回数→大まかな目標→発動出来る様にしています。」
「わかりました。」
武雄は左手に集中して「ルクス×15 左掌 発動」と考えると。
左手が光りだす。
「現状と同じ回数は出来ました。次いきます。」
武雄は×20、×25、×30、×35としていき、×40は発動しなかった。
「35が上限の様ですね。」
武雄はテイラーに言う。
「わかりました。そちらは良さそうですね。
では、同時魔法の調整をしましょうか。」
テイラーはいつの間にか桶を持ってきていた。
武雄は頷き「アクア×1、ファイア×1 左掌 発動」と考えると。
手からお湯が出てくる。
「はい、こちらも良さそうですね。」
テイラーはホッとした様に言う。
「おいくらですか?」
「では、指輪代と加工費で・・・銀5枚ですね。」
武雄は支払いをする。
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夕方になり店内にお客が入ってきた。
「フレデリックさん、いらっしゃいませ。」
テイラー店長は挨拶をしてくる。
「失礼します。」
「フレデリック、ご苦労様。」
「フレデリックさん、お疲れ様です。」
武雄達は挨拶をする。
「おや?アリスお嬢様、タケオ様、こちらでしたか。」
「ええ、受け取りに来た人と帰ろうと思ったので。」
「そうでしたか。
テイラー店長、コートは出来上がっていますか?」
「はい、お待ちください。」
テイラー店長は一端、奥に行きコートを取ってくる。
「こちらになります。」
机の上にコートを3つ置く。
フレデリックは中身を確認していく。
「コートの料金もこちらで一括で承ります。
えーっと、コート3着で金7枚、銀5枚、コートの強化で銀3枚、襟章は5組+1個で銀5枚です。
ですので合計、金8枚と銀3枚になります。」
「わかりました。」
フレデリックは精算を済ませ、荷物を受け取ると武雄とアリスも席を立って店を出るのだった。
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3人は、もうすぐエルヴィス邸に着くところまで来ていた。
「アリスお嬢様、タケオ様、あの時間まで何をしていたのですか?」
フレデリックが聞いてくる。
「私は指輪を新調していました。
アリスお嬢様も指輪を1つ買いましたね。」
「タケオ様に選んでもらいました。」
「ほぉ、それはよろしかったですね。」
「冷や汗かきながらです。」
「ふふ、それも良いでしょう。」
「ええ。
帰ったらスミス坊ちゃん用にプリンを作らないといけませんね。」
「何か趣向を凝らせるのですか?」
「どうですかね・・・んー・・・ホイップクリームでも付けますかね。」
「タケオ様、ほい・・クリームとは何でしょう?」
アリスが興味津々で聞いてくる。
「ホイップクリームです。
フレデリックさん、バターは知っています?」
「ええ、取れたての牛乳から出来る固形の物ですよね。」
「手に入りますか?」
「・・・一旦、街に戻りましょう。
心当たりがあります。」
「アリスお嬢様、ちょっと寄り道しますよ。」
「美味しい物の為ならどこへでも行きます。」
3人は食材探しの為に街に引き返すのだった。
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