第133話 試射終了。魔法具商店でマッタリしてみましょう。
小銃改1の試射も終わり、3人で魔法具商店に戻ってきていた。
「お茶をお持ちしました。」
テイラー店長は武雄とアリスが座っている目の前の机にお茶を持ってくる。
武雄とアリスの前に置き終わった後、自分は作業台の方にいき小銃を弄りだしていた。
「さて、夕方にコートを誰かが取りにくるでしょうから、それまでここで待っていましょう。」
武雄がそう言い、アリスは頷きながらお茶を口にする。
「そう言えば・・・テイラー店長、コートを強化するのは終わっているのですか?」
「ええ。昼にコートが来るかと思っていたら朝一で来たので、さっさと終わらせましたよ。」
小銃を弄りながら答えてくる。
「じゃあ、いつでも受け取りは、よろしいのですね。」
「はい、問題ないです。」
テイラーは作業をしながら会話に参加する様だ。
「そうだ。テイラー店長、私の指輪なんですが。」
「はいはい。」
「無詠唱で連続回数を指定して発動出来る様にしていますよね?」
「していますね。」
「現在15回が最大なのですが、上限を上げることは可能ですか?」
「んー・・・そうですね・・・その指輪には宝石の粉末が練り込んであるのです。
その粉末の効果で発動が出来て、なおかつ回数が決まっているのでしょうから、その指輪で出来るのは15個が限界でしょうね~。
面積が大きいのを選べば、もう少し上げられると思いますよ。」
「指輪は、どこにあります?」
「えーっと・・・キタミザト様の後ろの小棚の上から4番目ですね。
引出しごと出して良いですよ。」
「わかりました。」
武雄はテイラー店長が言った小棚の引出を抜いて机に持ってくる。
武雄とアリスは数十個の指輪を見始める。
「こうやって見ると私のしている指輪は幅が細いのですね。」
武雄は感心して言う。
武雄のしている指輪は幅2㎜程度だった。
「まぁおまけですしね。」
アリスが答える。
「テイラー店長。これ全部に粉末が練り込んであるのですか?」
「ええ。でも全部の指輪の含有率が同じになっているかは微妙ですからね。
制作者は違うでしょうし。
回数を増やしたいならば一番幅がある物を選ぶのが確率的には高いですけどね。」
「なるほど・・・あとは私の勘ですね。」
「そうなりますね。」
・・
・
「この若干、幅広めのにしますか・・・」
「タケオ様、この一番幅が広いのでなくて良いのですか?」
「これは・・・意匠がゴツゴツしすぎていません?」
「それはそうですけど、確率的に高いならこれでしょう。」
「んー・・・デザイン的にはシンプルに何も彫刻されていないのが良いと思うのですが。アリスお嬢様はどう思います?」
「タケオ様が意匠がシンプルなのが良いというなら、こっちの宝石の様にカットされているのも良いかもしれませんよ。」
「あ、確かに良いですね。幅も広すぎず狭すぎずですし。
・・・これを2つ買いましょう。」
「え?2つですか?」
「はい。私は2つしていますからね。
一方が細くて、一方が太いとなんだが・・・ちぐはぐ感が出そうですし。
ならば同じ柄のをした方が良いかなぁと思ったのです。」
「なるほど。色は同色ですか?こっちに同じ宝石カットで色違いがありますよ?」
「色違いも良いですが・・・シルバー2つの方が服を選ばなそうなので。」
「なるほど。」
「アリスお嬢様も指輪を買いますか?」
「え?私は魔眼の影響で『身体強化』と『武器の強化』のみを無意識にすることしかできませんが。」
「ん?でもそれは自分で発動できないだけで指輪に宝石を入れて自動でかけ続ける仕様にすればいいのでは?
例えば回復をかけ続ける・・・とか。でも、ONとOFFは任意で出来れば良いですね。
テイラー店長、それはできます?」
「出来ますよ。宝石を埋め込める形もその引出の中にあるはずですから、それにしてくださいね。
あとアリスお嬢様は勘違いをされていますが、『武器の強化』ではなくて、『武器と衣服の強化』と考えてください。」
「わかりました。
では、タケオ様の言う通り回復魔法を任意でかけ続ける様にしてもらいます。」
「え?良いのですか?」
「タケオ様が言ったのに聞きますか?」
「いや、私のは思いつきですので。」
「では、なぜそう思ったのですか?」
「アリスお嬢様は、攻守のレベル自体が高く普通の攻撃では、なかなか傷を付けられません。
ですが、運動をさせ続けることによる疲労の蓄積を狙い、負かすと言う手があります。」
「はい。」
「ですので、弱点を補うため、回復魔法をかけられる様にする必要があると思いました。」
「はい。私もその意見に異存はないですよ?」
アリスは武雄の言葉に頷く。
「キタミザト様が言うと言葉の重さが違いますね。
お二人はどんどん最強に近づいていきます。」
「え?テイラー店長。私達は明確な弱点があるのですよ?」
「ほぉ、なんでしょう?」
「視認できない遠距離からの攻撃で頭を狙われ、即死、瀕死、意識朦朧の状態にされたら負けます。
私達は所詮、視認出来て地上にいる者しか対処できません。」
「・・・誰もその攻撃は防げないのでは?」
「普通に考えれば防げないでしょうが・・・例えば、周囲1m以内に攻撃魔法を自動で感知する様にして、感知したら自動で『シールド』を発動させる・・・というのは出来そうでは?」
「・・・簡単に考えても宝石が10個以上必要になりそうですね。」
「あ、出来るのですか?」
「キタミザト様自身で言っておいて聞き返さないでください。
できます。理論上は・・・やったという資料は見たことがないので確実性はないですが。」
「・・・」
テイラーの回答に武雄は真剣な顔つきで聞き、悩んでいる。
「キタミザト様、どうしました?」
「それは・・・もしかしたら情報統制されていますよね。」
「え?」
テイラーは「どういうことですか?」と言う顔をする。
「では、少し仮定の話をしましょうか。」
武雄は、ニヤリとしながら言う。
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