第132話 小銃改1 試射。
昼食を取ってから武雄とアリスはテイラーの店に行き、改造された小銃(小銃改1)を受け取ってから城門外の演習場の端っこに来ていた。
来る時に城門横の兵士詰め所に挨拶をして、一角を借りる旨を説明しておいた。
また前回同様、小さい杭とロープを使い周辺に立ち入り禁止の境界を作っていく。
「さて・・・用意は出来ましたね。」
武雄はため息交じりに言ながら敷物を引いて小銃改1を置いて伏せ撃ちの格好を取る。
注文通り2脚がある為、安定性はOK・・・
「・・・タケオ様、怖いので?」
少し離れた斜め後ろで座っているアリスが聞いてくる。
「めちゃくちゃ怖いんですけど!!
・・・テイラー店長、これ・・・平気?」
「魔法の導通は確認していますよ。」
テイラーもアリスの隣に座りながら答えてくる。
万が一の為、テイラーは回復ポーションを持ってきてもらっている。
・・・腹をくくるか・・・
前回同様、約50m先の木を狙う。
「・・・じゃあ、撃ちますよ・・・」
「「はい。」」
深呼吸して多少動悸を抑える。
・・・狙いを定め・・・引き金をひくと「ドンっ」と音と共に肩への反動が凄くかかる。
そして武雄の目の前が真っ白になった。
「ドガッ」と霧の向こうから聞こえる。
・・・武雄は若干放心状態・・・肩痛いし・・・
「ゴホッ・・・タケオ様・・・これは??」
アリスが聞いてくる。
「・・・んー・・・中の水が吹っ飛ばされてこうなったのでしょうか・・・」
と、テイラーはそんな独り言を口にする。
武雄は「対物ライフル」の外観を思い出す・・・
あ・・・先端に発射時の空気を両側に放出するのがあったか・・・
「・・・テイラー店長・・・これの発射口部分にこんな形の円筒形の物を付けてください。」
と武雄は、地面に書き出す。
「えーっと・・・一回りか二回り大きい円筒形で・・・穴が開いていますね。」
「ええ。出来れは左右対称に穴を多く作ってください。」
「ふむふむ・・・この先端にですね・・・被せますか?」
「いや・・・ねじにして留められる様にできますか?
タップとダイスで・・・」
「ふむ・・・このサイズだと・・・出来ますね。」
「あと水の膜の量を半分にできますか?」
「ああ、それなら今すぐしますよ。」
と、テイラーは小銃を弄りだす。
「あとは、撃った際の反動が強いので、何か軽減できる魔法をかけてください。」
「んー・・・肩に当てている部分に『シールド』の宝石を入れてみましょうか。」
「お願いします。」
「はい、水の量を半分にしましたよ。」
とテイラーが小銃改1を渡してくる。
武雄は再び、伏せ撃ちの格好を取る。
「・・・撃ちますよ・・・」
「「はい。」」
深呼吸して多少動悸を抑える。
・・・狙いを定め・・・引き金をひくと「ドンっ」と音と共に肩への反動が凄くかかる。
そして発射口から白い霧が噴射される。先ほどよりも少ない量で、目標物は薄霧の向こうに若干見えている。
「ドガッ」と木に当たり炎が出るのがわかった。
・・・肩痛い・・・
武雄は「ケア×15」をかけ回復する。
「・・・どうでしょうかね・・・」
武雄はその場に安座で座り木を見ながら言う。
さっきは当たるところを見ていないし、小銃の事で頭がいっぱいで当たった先の事を考えていなかった。
初めて木を見てみると・・・
「・・・うわ・・・」
当たったと思う部分が深く抉られている。
「「・・・」」
二人も言葉を発しない。
「・・・威力は十分な様ですね。」
武雄は呟く。
「タケオ様・・・凄いのを作っちゃいましたね。」
アリスは真顔で聞いてくる。
「キタミザト様・・・これは・・・威力ありすぎですね。」
テイラーは難しい顔をしながら呟く。
「凄いのを作っちゃいましたし、威力がありすぎですが・・・
全てが良い方向にいきましたね。
・・・ですが・・・これは商品にするのはまだ早そうです。」
「ですか?」
テイラーが聞き返す。
「ええ。テイラー店長にノウハウは持っておいてもらいますが、この改造は他の人へはしないでください。」
「防犯上ですね。」
「ええ。防御が出来るまでは私のみが使える物にしておきましょう。」
「そうですね。
それにどちらにしても今の所、よほどの魔力量が無いとこれを使えませんしね。
小銃の強化、氷の玉の生成、氷の内部に爆発の魔法を仕込む、筒と玉の隙間に水の膜を生成、玉の後方で爆発、この時点で魔力125を使い。
さらには『シールド』の宝石を入れるのですから・・・最低150の魔力量がないといけません
・・・以前話した最低魔法師の魔力量が200ですから・・・1日1発しか打てない・・・割りに合いませんね。
これなら『ファイア』に魔力を70くらいかけた方が同じ威力で消費量も少ないでしょう。」
「確かにそれは割りに合いませんね。
じゃあ、もう少し撃ってみますか・・・」
と、武雄は何発か試射してみるのだった。
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