第131話 スミスが帰宅。結果は?
スミスが魔法具商店を後にし、エルヴィス邸の玄関扉に着いた時、目の前には武雄とアリスが待っていた。
「おかえり、スミス。」
「おかえりなさい、スミス坊ちゃん。」
「ただいま戻りました、お姉様、タケオ様。
ずっと待っていたのですか?」
二人は頷く。
「ええ、お爺さまとフレデリックも客間で待っていますよ。」
3人は客間に向かうのだった。
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客間のドアをアリスがノックする。
中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開けアリスと武雄とスミスが入室する。
中にはエルヴィス爺さんとフレデリックがいた。
「お爺さま、スミスが戻りました。」
「お爺さま、戻りました。」
「スミス、おかえり。」
と3名も席に着く。
フレデリックがお茶を入れ、3人の前に置き、皆から少し後ろに下がる
「スミス、どうだったかの?」
「負けちゃいました。」
エルヴィス爺さんの質問にスミスは苦笑して答える。
「そうか・・・」
「最後は一応、ハロルドに一矢報いました。」
「ほぉ。」
「ハロルドに正面から何回も打ち込みをしたのですが、全て防がれ薙ぎ払われてしまっていたのです。
最後、薙ぎ払われた後、ハロルドを見ると目線を左に反らしていたので「ここだ!」と思って切り込みました。
・・・わき腹を少し切った程度でしたが。
その直後、殴られて僕は気絶してしまい、終了です。」
「うむ・・・その顔では、気持ちが晴れたのかの?」
「はい。負けましたが、気分は悪くありません。
本気での戦いは楽しかったです。」
「ほぉ、なるほどの。」
エルヴィス爺さんは、嬉しそうにうんうん頷く。
「スミス坊ちゃん、良かったですね。」
「はい。
タケオ様、ありがとうございます。」
「ん?私は何もしていませんが?」
「いえ、この戦いの切っ掛けを作ってくれて・・・諭していただきありがとうございます。」
スミスは頭を下げる。
「んー・・・私的には、アドバイスしただけなので、感謝されることではないと思いますが。
スミス坊ちゃんの感謝をいただいておきましょう。」
武雄も頭を下げる。
「むしろ自分の殻をちゃんと認識して、それを破ったスミス坊ちゃんにおめでとうと言いたいですね。」
「ええ、スミスが良い顔になりましたね。」
アリスの言葉にスミス以外の皆が頷く。
「お姉様、先ほどテイラーにも言われましたが、そんなに変わりましたか?」
「はい、とっても。」
アリスはニコニコしている。
「スミス坊ちゃん、テイラー店長に会ったのですか?」
「はい、お茶をごちそうになりました。
あ、タケオ様に伝言を預かっています。
『小銃の改造が昼過ぎに終わるのでいつでも試射できます』との事でした。」
「わかりました。」
「タケオ達はどうであった。」
「クマの件ですか?」
「クマ!?」
スミスは驚く。
「ええ。最近、クマが目撃されたとかで、興味本位で見に行ってきました。
もしいたら銃の訓練で威嚇しようかと。」
「そうなのですね。」
「で。いましたので、打ち込んでおきました。」
「私は、そのクマを折檻しておきました。」
「う・・・うむ・・・」
エルヴィス爺さんは少し顔を引きつらせて頷く。
「お姉様まで行ったのですか?」
「ええ、楽しそうでしたので。」
「まぁ、相手がお姉様とタケオ様の二人組ではクマも可哀相ですね。」
スミスは呆れていた。
「ですので、もう街には来ないのではないでしょうか?」
「そ・・・そうか・・・ご苦労じゃったの。」
・・
・
「皆は午後はどうするのじゃ?」
「僕は勉強ですね。」
「え?今日ぐらいのんびりされても良いのではないですか?」
スミスの回答に武雄が質問する。
「そうとは思うのですが・・・いつもの時間に勉強をしていないと不安なんです。」
「なるほど・・・でも、軽く昼寝はした方が良いですよ?
たぶん体力は回復してから帰ってきている様ですが、精神的にはまだまだ疲れているはずですから。」
「そういう物ですかね?」
「ええ、今は戦闘の終わりで気が高ぶっていて疲れを感じないのでしょう。
ホンの鐘半分で良いから脳の休息を取りましょう。」
「わかりました。」
「今日の夕飯後のティータイムにプリンを用意しておきますからね。」
「本当ですか!?」
「ええ、スミス坊ちゃんへのちょっとしたお祝いということで。」
「うむ、それは良いの。
タケオはどうするのじゃ?」
「テイラー店長の所に行って城門辺りで試射してきます。
あれ?今日はエルヴィスさん達のコートが出来上がるのでは?」
「うむ、夕方だったかの。」
「ん?私が試射して戻ってきてからやるのでしょうか・・・
まぁ、夕方なら平気でしょうね。」
「うむ、アリスはどうするのじゃ?」
「タケオ様に付いていきますよ。」
「うむ、二人とも気を付けていくのじゃぞ。」
「「はい。」」
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