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第121話 大規模演習開始。

武雄とアリスは二人してお茶を飲んでいた。

少し向こうには、兵士たちが整列して、何やら号令がかかっている。

「壮観ですね。」

アリスはお茶を口にしながら言う。

「はは、余裕たっぷりですね。

 頼もしい限りです。」

「確かに・・・タケオ様との勝負の方が余裕はなかったですね。」

「あれ?私はそこまで脅威ではありませんよ?」

武雄はクスクス笑う。

「・・・私と引き分けた癖に・・・」

アリスはジト目で抗議してくる。

「ふふ、そうでした。

 じゃあ、こちらも準備しますか。」

「ええ。」

武雄はアリスからマグカップを受け取り、軽く水で流し、リュックに入れ背負う。

武雄もアリスもお互いの服装のチェックを始めた。

アリスはトレンチコート強化仕様を羽織っていた。

「コートはどうですか?キツクないですか?」

「平気です。先ほどのフルプレートの方が暑いし、窮屈感がありましたよ。

 今は解放されてスッキリです。」

「そうなのですね。

 ああ、そうだ。

 トレンチコートはアリスお嬢様が着替えている間に強化し続ける仕様になりました。」

「それはどれくらいの効果が?」

「気持ち程度でしょうか?

 先ほどの最後のお嬢様の左パンチで骨が折れないくらいの効果があります。」

「・・・微妙にわかりづらいのですが・・・」

「ええ、私もわかりづらいなと思いました。

 ・・・全く無いよりかはマシ程度でしょうか。」

武雄とアリスは二人そろって苦笑をするのだった。


------------------------

「さて、演習が始まりそうだの。」

エルヴィス爺さんはツマミをつつきながら言う。

「ええ。アリスお嬢様とキタミザト様の個人の武勇はわかりましたが、次は多対戦闘ですね。」

テイラーが相づちを入れる。

「うむ。スミス、どうなると思うかの?」

「お姉様の圧勝でしょうね。」

「そうだのぉ・・・フレデリック、前回と今回では参加小隊は違うのかの?」

「はい。前回の参加小隊は、第1小隊、第3小隊、第5小隊から第7小隊、第9小隊、第16新兵小隊、第17新兵小隊 総勢:180名ですね。

 今回は、第8小隊から第12小隊、第15小隊、第16新兵小隊、第17新兵小隊  総勢:180名です。」

フレデリックは先ほどやってきた兵士が提出していった紙を見ながら答える。

「デビット・・・本気じゃの。

 優しい顔して厳しいのぉ。」

「お爺さま、小隊の編成で何か思われたのですか?」

スミスは質問をする。

「うむ。第10小隊、第15小隊は魔法師小隊なのじゃ。」

「・・・何か問題があるのですか?」

「つまりですね、兵士長は前回は接近戦をしましたので、今回は戦争形態で対戦しようと考えているのです。

 まずは、遠距離攻撃をしかけ、弱った所を接近戦にすると。

 『強力魔物の束縛』なんて言っていたらしいですが、この参加小隊を見ると『戦争の序盤模擬訓練』となるでしょうね。」

「デビットも考えておるのぉ。新兵には、またとない訓練じゃ。」

「ええ。本来なら戦争の序盤模擬訓練は、合同新兵訓練時が初めてになるはずなのに、一足先に経験させたいのでしょうね。」

「うむ。タケオ達は、どうするのか見ものじゃの。」

城門の上の男達はその時を楽しみに待つのだった。


------------------------

「演習を開始する!状況始め!!」

ハロルドの合図と共に第10小隊と第15小隊の兵士が事前の作戦内容の通りに魔法を練る。

「ファイア」「エクス」「ストーン」「ブリザド」etc

各々得意な系統の単発攻撃を用意し始める。

「撃て!!」

兵士長の号令が響くなり、兵士は撃ち始める。

各小隊は横一列に整列し、その後ろに第10・15小隊がいる形を取っていた。

前面の兵士達に当たらない様に一度頭上に打ち上げてから標的に向かう様、調整する。


------------------------

魔法が打ち上げられたのを武雄とアリスは見ていた。

「タケオ様!来ます!」

アリスは驚いていた。まさか2人相手の演習で戦争用の戦法を取るとは・・・

「アリスお嬢様、私の後ろでしゃがんでください。」

武雄はアリスから一歩前に出る。

と、半身の体勢をとり、しゃがみ込んで左手をかざす。

「シールド×5枚ずつ 1m先 縦3列で重なれ 発動。」

と、50cm四方の壁を縦3枚厚さ5枚で作る。

右手には「シールド×15」を用意する。

発動して、すぐに魔法が到達し始める。雨のように。

目測が若干甘いのか、武雄とアリスの横にも着弾する。

周りに着弾する魔法が土埃を立てる。

武雄のシールドは魔法に耐えて見せる。

「上手くいきましたね。」

と、武雄が言葉を発するが、土埃の隙間から次が撃ち出されるのが見えた。

先ほどより少ない?武雄は先ほどと同じ。

「シールド×5枚ずつ 1m先 縦3列重ね」を発動。

前面に展開する。

右手にも同じ物を用意しておく。

と、すぐに先ほどより少ない数が着弾し始める。

着弾し終わるとすぐ武雄は右手の方を発動。

次弾を待ち構える。

と、これも発動後すぐに到達し始める。

どうやら相手の魔法師達は半分にわかれ撃ってきているようだった。

なので、武雄は間断無く「シールド」を発動していく。


アリスは、そんな武雄を後ろから見ていた。

「いったいどんな頭の構造をしているのだろう??」と不思議に思う。

魔法の一斉攻撃は初めて見たはずなのに、有効な手立てを瞬時に発動させていた。

「私一人なら左右に動いて回避しながら近づくしか手がないなぁ」と考え。

防御がある事の優位を感じていた。

そして「守ってもらう安心感とは、こういう物なのですか」と一人ニヤついていた。


「アリスお嬢様。・・・あと2、3回防げば、展開が変わると思います。」

武雄は顔を向けずシールドを発動しながら言ってくる。

「はい、お任せを」

アリスは木剣を片手に構えて返事をする。


と、その時、「全体前へ!前進!!」兵士長の号令が土埃で視界がきかない中、聞こえてきた。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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