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第120話 模擬戦と大規模演習の間。小休止。

武雄とアリスは城門の上にやってきた。

男数人が陣取り模擬戦を肴に飲んだくれていた。

この時点で酒樽は6個消費済み

・・・またか!飲み過ぎだろうが!

「アリス、タケオ、ご苦労だったの。」

「お姉様、タケオ様、お疲れ様でした。」

「アリスお嬢様、タケオ様、お疲れ様です。」

「お爺さま、スミス、フレデリック、楽しんでいますか?」

「エルヴィスさん、スミス坊ちゃん、フレデリックさん、お疲れ様です。」

とエルヴィス家の者が挨拶を交わす。

「皆さんも・・・楽しんでいますね。」

とアリスは他4名を見ながら朗らかに言う。

が、アリスの顔には「飲み過ぎでは?」という感じが出ている。

「はい。アリスお嬢様とキタミザト様の模擬戦を楽しませていただいてます。

 それにしてもキタミザト様、やりましたね。」

「ん?引き分けですよ?」

「いえいえ、アリスお嬢様・・・『鮮紅』のアリスに匹敵することを示しました。

 これは偉業ですよ。」

「・・・?・・・じゃれ合っただけで偉業もなにもないでしょう?」

「「「「「え!?」」」」」

スミスと飲んだくれ住人4名が驚く。

「・・・あれをじゃれ合っただけと言うのか?」

青果屋のおじさんが驚く。

「本気で戦いましたが、別に命のやり取りをしていませんよ。

 ・・・少なくともアリスお嬢様は・・・」

「・・・そうなのだろうが・・・」

「真剣でやったら私は太刀打ちできないでしょうね。」

武雄は苦笑する。


------------------------

「次の大演習まで少し時間があるのかの?」

「はい。私たちは、これからアリスお嬢様の衣装を替えに屋敷に戻ります。」

「タケオ様。」

「はい、なんでしょう?」

「アリスお嬢様の衣装はこちらに持ってきていますよ。」

「本当?気が利きますね。」

アリスはフレデリックの言葉に驚く。

「では、アリスお嬢様は普段着に着替えましょうか。

 兵士詰め所で部屋を借りましょうね。」

「はい。」

と、衣装一式が入った箱をアリスは難なく持ち上げる。

アリスと武雄が去ろうとして、アリスが一言。

「タケオ様、私一人で出来ますよ。

 タケオ様はここで待っていてくださいね。」

「・・・わかりました・・・」

武雄は渋々承諾する。

「あ、アリスお嬢様のトレンチコートはありますか?」

と武雄が言い、アリスは衣装箱を降ろし、トレンチコートを取り出す。

「はい、これですね。」

「では、着替えにいってらっしゃいませ。」

「ええ、行ってきます。」

とアリスは再び衣装箱を持って城門の上から去っていった。


「振られたの。」

エルヴィス爺さんは武雄に言う。

「いえいえ、これからです。」

と武雄は苦笑する。


------------------------

「テイラー店長。」

「はいはい、なんでしょう?」

「観ていましたか?」

「ええ、最初から観ていました。」

「小銃の評価を。」

武雄の言葉にテイラーは姿勢を正す。

「・・・では、僭越ながら。

 小銃の威力についてですが、アリスお嬢様のフルプレートには強化の魔法が元々かかっていましたが、オッドアイの特性上、強化がさらに引き上げられていました。

 弾丸は弾かれましたが外傷は付いていましたか?」

「アリスお嬢様からほんの少し凹んだと言われましたよ。」

「そうですか・・・では、魔法換算では小銃は中の上程度の威力があると思います。

 強化がかかっていない状態のフルプレートで弾丸を受けると大きく凹むか受けた箇所が大きく衝撃を受けて持っていかれると思います。」

「わかりました。今度ハロルドに撃ち込み検証しましょう。」

武雄は恐ろし気な事を言う。

「アリスお嬢様の最初の一撃はどうでしたか?キタミザト様は持ちこたえていましたが?」

「見ます?」

と小銃をテイラーに渡す。

渡されたテイラーは小銃を見て驚く。他の者も覗き込み驚く。

剣を受けた箇所が大きく凹んでいた。

「シールドを貫通して威力を殺してこれですよ・・・」

「・・・貫通ですか?」

「・・・シールドを10回重ねましたが破壊されました。」

「「「「「え!?」」」」」

エルヴィス爺さんとスミス、飲んだくれ3人は驚く。

「持ちこたえず、威力のまま吹き飛べば、ここまで損傷はなかったのでしょうけどね。」

「・・・となるとアリスお嬢様の剣の威力は大規模魔法と同じかもしれませんね。」

武雄以外の皆が顔を引きつらせる。


「そうそう、強化用の宝石は今ありますか?」

「ありますよ。ここに来る間に買いましたから。」

「では、アリスお嬢様のコートも私のと同じ、強化し続ける仕様にしてください。」

「はい、わかりました。」

とテイラーはトレンチコートを受けとり作業をしだす。

「タケオ、そんなことをしていたのかの?」

「はい。私が投げる前にアリスお嬢様の剣を腕で受けましたが、これのおかげで何とかなりましたので。」

「ほぉ、なるほどの。

 ・・・ラルフよ。」

「はい、伯爵様。」

「わしら3名のトレンチコートが出来次第、テイラーの店で強化の加工をするからの。」

「承りました。明日の昼にはテイラーの店に入れます。」

「こっちも了解です。加工自体はすぐですので、夕方までには出来上がります。」

「うむ、頼むの。」


------------------------

「戻りました。」

と普段着のアリスが城門の上に戻って来る。

「アリスお嬢様、おかえりなさい。

 おや?衣装箱はどうされました?」

「第4小隊の人に屋敷までフルプレートと一緒に届けて貰うようお願いしました。」

「わかりました。」

「うむ。タケオ、次の大規模演習はどうなるのじゃ?」

「はい。先ほど、ハロルド騎士団長と兵士長と私達2人で話をしましたが。

 あちらは『強力魔物の束縛』が今回の訓練想定となりました。

 対してこちらは、『旅行中の大規模山賊との遭遇』が想定内容です。」

「なるほどの。だからアリスは普段着に変えたのじゃな。

 それにしても随分、豪勢な山賊だの。」

「ええ。これから先、私はアリスお嬢様と旅行もしたいですから。

 それにアリスお嬢様のやる気を引き出したかったのでこうなりました。」

「ん?旅行くらい行ってきて構わぬぞ?」

「いえ、箱入り娘が旅先で戦力に・・・なるか。

 ・・・この訓練で結果が出せないと旅行はさせない事となりました。」

武雄は苦笑しながら言う。

「タケオ様との旅行の為、やりますよ!」

アリスはやる気十分だ。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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