第115話 8日目 今日の朝は?。模擬戦の用意をしなくては(武雄編)。
「パシッ」
武雄はアリスの膝を受け止める。
ふぅ・・・武雄は安堵する。
当のアリスは隣でスヤスヤ寝ている。
少し前に目が覚め、アリスの膝蹴りを受け止める心構えをする時間に当てていた。
武雄はアリスの太ももを撫でながらボーっとする。
・・・
・・
・
アリスが身じろぎを始め。
「・・・おはよう・・ございま・・・す。」
と挨拶をしてくる。
「はい。アリスお嬢様、おはようございます。」
と武雄もアリスの太ももを撫でながら挨拶をする。
「・・・タケオ様・・・気持ちいいですか?」
「とっても良いですね。」
武雄は満面の笑顔で答える。
と、アリスは武雄のお腹を撫でてくる。
「ひゃ!?」
「タケオ様・・・なんて声を出すのですか?」
「いや・・・だってくすぐったいのですけど・・・」
「それは私も昨日言いましたよ?
お返しです。」
とアリスは撫でるのを止めない。
「く・・・負けませんよ。」
武雄も反撃を開始する。
・・
・
武雄とアリスはしばらくベッドの中で遊んでいたが。
「さ、起きますか。」
と、武雄の言葉に二人ともベッドを出て、着替えを始める。
「そういえば、体の痛みはありますか?」
「いえ、快調ですね。
タケオ様はどうですか?」
「特にありませんね。
まぁあと2、3日は様子見ですかね。
と、アリスお嬢様、準備できましたか?」
「はい、着替え終わりました。
食堂に行きましょうか。」
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朝食を終え、客間で皆でティータイム。
「さて、今日の昼はアリスとタケオの模擬戦じゃが。
それまでどうしようかの?」
「私は、魔法具商店に行って、模擬戦用の剣とかを物色してから演習場に行きます。」
「タケオ、わかっておるな?」
「・・・わかっています。今の全力でやれば良いのですね。」
「うむ、アリスも。」
「はい、わかっています。
手は抜きません。」
「あと、多少の怪我は構わぬが、命を取るでないぞ?」
「木剣ですから・・・平気だと。」
「まぁ、タケオは『ケア』があるしの。
木剣ならいけるじゃろ。」
「ええ。タケオ様、覚悟してくださいね。」
「とっくにしています。」
武雄は苦笑してみせる。
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武雄は魔法具商店に着き、中に入るとテイラー店長が挨拶をしてくる。
「キタミザト様、いらっしゃいませ。」
「お邪魔します。」
と武雄は返事をする。
「今日は、どのような御用で?
小銃の改造は、あと数日でできますが・・・」
「昼からアリスお嬢様と模擬戦なので、模擬戦用の剣を探すのと、
この小銃を試作中のと同じように強化し続ける仕様にしてください。」
「・・・誰と誰が模擬戦を?」
「私とアリスお嬢様が。」
「・・・たぶん・・・勝てませんよ?」
「でしょうね。まともにやっては勝てないでしょうね。」
「では、なぜ?」
「私がやってみたいからです。」
「馬鹿ですね。」
「わかっています。」
「・・・小銃の強化仕様はすぐに行えますので、キタミザト様は模擬戦用の剣でも探してください。」
「模擬戦用のがあるのですか?」
「ありません。選ばれた物を刃引きします。」
武雄は店内を見て回るが、結局、以前購入した片刃のサバイバルナイフを持ってくる。
「それですか?剣でなくて良いのですか?」
「ええ。同じ使い慣れてない物を使うなら短い方がまだ使えるでしょうし・・・
今日はこの小銃の耐久性をみる事になりそうですね。
・・・これは今日で終わりかな・・・」
と武雄は言う。
「キタミザト様は、この小銃に愛着が?」
「ないですが、本来の使い方と違うことで役目を終えそうですから、
少し可哀相だな・・・と。」
「これは武器ですよ?そう思うのはどうなのでしょう?」
「ん?・・・あぁ、違いますよ・・・
あくまで私の考え方の問題なので『これには意思があるんだ!!!』とか・・・
そんなメンドクサイ事を言いだしません。」
「それなら良いのですが・・・さ、出来ましたよ。」
「早いですね。」
「簡単にできますから。」
「じゃあ、ついでにこのナイフと模擬用のナイフにも同様の仕様をお願いします。」
と店員に渡す。
「わかりました。」
2本のナイフを受け取り店長は作業をしだす。
武雄はその間、スーツの下に着れる兵士用のベストを探したがなかった。
いつか簡単なベストを作るかぁと考え、探すのを諦める。
ナイフはケースに通し腰に吊るしかなさそうだ。
それと革製の指切手袋を見つけ、購入を決定する。
「これもください。」
「はいはい。
と、キタミザト様。あと1個強化用の宝石の在庫がありますが、トレンチコートに付けますか?」
「ええ、これも同じ仕様でお願いします。」
と、コートを渡す。
「どこに付けますか?」
「・・・右の内ポケットにしますか。
取れなさそうですし・・・」
「わかりました。」
と店長は作業をしだす。
・・
・
「できましたよ。」
「お会計は?」
「そうですね・・・ナイフと模擬戦用への加工。強化が4つ。手袋1つ・・・銀貨7枚で。」
「はい、おつりは要りません。」
と武雄は金貨1枚を出す。
「・・・?」
店長は「なんで?」という顔をする。
「どうせ、あとで城門の上に陣取るのでしょう?」
「あ・・・バレました?」
「この間もいつの間にか酒盛りしてましたし・・・
またあの3人と?」
「ええ。この後、店を閉めて誘いに行きます。」
「まったく・・・
残りのお金でお酒とツマミの足しにしてください。
ついでにエルヴィス伯爵とスミス坊ちゃん、フレデリックさんも観に来ますから、来たら城門の上に呼んであげてください。
あそこは意外と全容が見れそうですからね。
・・・あとロイド騎士団長には『貴方は審判ですよ』と伝えてください。
ちなみに私とアリスお嬢様の模擬戦の後は、この間の大規模演習をしますよ。」
「へぇ。じゃあ、お酒の量も多めにしないといけませんね。」
「・・・量については何も言いません。自己責任で。」
武雄は小銃を肩にかけ、ポケット内の弾丸数を確認し。
コートの腰に模擬戦用のナイフを着け、他の物をリュックにしまい、背負う。
「では、行ってきます。」
「はい、ご武運を。」
武雄は店長の言葉に頷き、店を出る。
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「・・・無茶をしますね。
さて・・・買い物をしながら皆を誘いますかね。」
と、テイラーは店じまいをし始める。
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