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第114話 寝る前の雑談。

今日も「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんの言葉と共に皆が客間を出ていき、武雄とアリスも寝室に戻って来ている。

武雄はお風呂の準備をし、アリスを入れて今はアリスの髪を軽く乾かしている。


「明日はどうしますか?」

「おや?私のアリスお嬢様用の対策を聞きたいのですか?」

「いえ、それは聞いたらダメでしょうから聞きませんよ。

 明日のお昼まで何をしますか?」

「ふふ。昼までベッドでイチャつきますか?」

武雄は、にこやかに言う。

「え?・・・それは・・・そういう戦略は・・・なしですよ?」

とアリスは若干、顔を赤くして言ってくる。

「ええ、しませんよ。」

「あ!また、からかいましたね?」

と顔は向けないがアリスはぷくーっと頬を膨らませて抗議しているのがわかる。

「ふふ、可愛いですね~。」

「むぅ・・・で、どうします?」

「そうですね・・・アリスお嬢様の装備もご自身で決めるのでしょうから・・・

 朝食後は別行動にしましょうか。

 お昼過ぎに城門外の演習場で待ち合わせをしましょう。」

「お昼過ぎに演習場ですね、わかりました・・・ですが。

 装備を決める・・・とは?」

「え?またあの暑苦しそうなフルプレートで?

 まぁ良いです。それはアリスお嬢様が決めることですから。

 その後の大規模演習もありますからね。

 ただし木剣でお願いします。

 私は午前中は模擬戦用の剣を買いに行ってから向かいますよ。」

「あら?私には普通の剣でも通じませんよ?」

「ふふ、大した自信ですね。

 ですが、万が一の可能性もありますし、好きな人を切りたくはないのでね。」

「そうですね。私もタケオ様を切りたくはないです。」

「ええ、気持ちは同じなんですよ。」

武雄は苦笑する。

「さ、軽く乾かしましたから私はお風呂にいってきますね。」

武雄はアリスから離れ、風呂場に向かう。

「はい、ごゆっくり~。」


------------------------

「良いお風呂でした。」

と武雄が寝室に戻って来る。

「タケオ様、おかえりなさい。」

とアリスはベッドに腰かけて、にこやかに出迎える。

「はい、戻りました。

 お茶でも飲みますか?」

とお茶の用意をしながら武雄が言う。

「はい。」

とアリスが答え、ベッド横の椅子に二人は座る。

「ベッドに腰をかけていましたがどうでしたか?」

「問題ないですね。」

「明日の朝、体が痛くなければいいのですが。」

「タケオ様が?」

「アリスお嬢様が。」

「大丈夫ですよ・・・たぶん。」

「痛かったら言ってくださいね。

 軽く揉んであげますからね。」

「はい。」

・・

「ところでタケオ様、質問があるのですが。」

「なんでしょう。」

「さっきの客間での話でスミスが私と戦わない理由ですが・・・何ですか?」

「気になります?」

「はい。」

アリスは頷く。

「・・・スミス坊ちゃんに言わないことを条件に話しても良いですよ。」

「わかりました、言いません。」

アリスは即答する。

「アリスお嬢様にスミス坊ちゃんが挑まない理由はたぶん簡単です。

 『絶対に勝てない』と思っているからです。」

「・・・?・・・そんなことで?」

「ふふ。思春期の男の子に『そんなこと』と言ってはダメですよ?

 大人になると『今の自分では到底無理な事でも何とかやらないといけない』も『やる意味がない事をやらなきゃいけない』も『やれる事をやってはいけない』も経験します。」

「そうですね。」

「私の場合は、仕事での経験がほとんどですが、大人になると分別を学びます。

 ですが、男の子の時は少し違うのです。

 目の前に『絶対に超えられない壁』があると諦めてしまうことがあるのです。

 『超えられない自分を皆に見せるのが恥ずかしい』と逃げてしまうのですよ。」

「タケオ様もありましたか?」

「はは、いっぱい逃げてきましたよ。

 勉強に習い事に・・・いっぱい。

 で、何とか勤め先の上司に拾われて一生懸命に仕事をこなす毎日でした。

 その中でさっきの経験もいっぱいしました。

 世の中は理不尽な事が多いなぁと自分で思考出来るぐらいにはね。」

「タケオ様も苦労されたのですね。」

「だから捻くれているでしょう?」

武雄は苦笑する。

「で、スミス坊ちゃんは、若いのに自分の地位をちゃんと認識しているのです。

 なので『壁を超えられない自分』を他人に見せることを極端に嫌っています。

 『次期当主なのに負けるのはダメだ』

 『弱い所を他人に見せるのはダメだ』

 『姉とはいえ女性に負けるのはダメだ』とね。

 誰も今のスミス坊ちゃんにそんなことは要求していないのに・・・

 真面目ですね。」

「そうなのですか・・・ちなみにタケオ様?」

「なんでしょう?」

「今のタケオ様はその辺はどうなのです?」

「・・・見せない様に何とかしようとは考えますが、出来ないなら早い内に出来る人の協力を仰ぎます。

 さっきの特産品祭りも私はお手上げですと弱さを見せましたよ。

 個人で無理なら他人を巻き込みます。」

「そうでしたね。」

「今のスミス坊ちゃんはアレすらできないでしょう。

 『次期当主が丸投げなんて』と。まぁプライドが芽生えちゃってます。」

「物事が進むように他の方に頼むのは弱さではないのですけどね。」

「勉強だけでは、なかなかそういう考えはできないでしょう。

 『何でも自分がしなくては!』という考えになるでしょうね。

 まぁ『僕は何でも出来るし、権力もある。物事が進まないのは他人のせいだ』と変な方に性格が捻じれるより数倍は良いですが。」

「確かに・・・そんなスミスは見たくないです。」


「と、さて寝ますか。」

武雄はアリスをベッドに連れて行く。

ベッドに着くと

「んっ・・・」

アリスに武雄がいきなりキスをする。

「おやすみなさい。」

「はい、おやすみなさい。」

二人は笑いながら、「じゃあ、寝ましょう。」とベッドに入るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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