第103話 家具屋にて。(ベッドを見なくては。)
店長や店員に祝福されたが、見なきゃいけない物は何も見れていない。
「とりあえずベッドを決めるか」とベッド売り場まで来た。
来たのだが・・・武雄は悩む。
「・・・3種類?これは多いの?少ないの?」
アリスも悩んでいる様だ。
「・・・アリスお嬢様、とりあえず寝てください。」
「ええ。」
とアリスは1つ目のベッドに仰向けに寝る。
「・・・お尻部分だけが随分沈んでいる感じがするなぁ。
・・・でも首の部分と背中は少しの沈みで丁度良さそうだな。
お嬢様、寝返りをうってください。」
アリスは言われたまま、ゴロンと横を向く・・
「・・・やっぱり腰部分が凹み過ぎじゃない??」
「お嬢様、2つ目にいってみましょう。」
「はい。」
とアリスは2つ目のベッドに仰向けに寝る。
「・・・全体的に固いのか?全体的に沈んでいるように見えるし、首の下、腰の所に隙間がある・・・
お嬢様。寝返りをうってください。」
アリスは言われたまま、ゴロンと横を向く・・
「・・・全体的に沈むのか・・・最悪、首周りは何とかなるだろうけど・・・腰部分はどうするか・・・」
「お嬢様、3つ目にいってみましょう。」
「はい。」
とアリスは3つ目のベッドに仰向けに寝る。
「・・・全体が、ふかふかなのか見事に沈んでいるよね・・・論外かなぁ?
お嬢様、寝返りをうってください。」
アリスは言われたまま、ゴロンと横を向く・・
「・・・やっぱり沈み込みが激しい・・・ないな・・・」
・・・
・・
・
「アリスお嬢様、どれが良かったです?」
「3つ目は今の仮のベッドと同じですね。」
「なるほど。1つ目と2つ目だったらどうです?」
「・・・どっちかと言えば2つ目でしょうか?」
「店長。」
「なんでしょうか、キタミザト様。」
「2つ目のベッドでアリスお嬢様を仮眠させます。
やわらかい枕を貸してください。」
「畏まりました。」
とやわらかい枕を持ってくる。
「じゃあ、アリスお嬢様。2つ目のベットに寝転がってください。」
「はい。」
とアリスは2つ目のベッドに仰向けに寝る。
武雄はアリスの頭を上げて、やわらかい枕を入れる。
首辺りを若干厚めに。
「タケオ様?」
「少し寝ていてください。
あとで起こしに来ますね。」
とアリスに毛布を掛けて店長と離れていく。
目の届くところには、店員がアリスに変調がないか見守る様に立っていた。
アリスは天井を見ていたがそのうちスヤスヤ寝始める。
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武雄はアリスの元を離れたスキに書斎の家具を決めようと本棚から攻めていた。
「んー・・・書斎セットみたいに全部が統一されているのはないですかね?」
「ありませんね。個別に決めなくてはいけません。」
まずは本棚を見ていく。
「・・・シンプルに枠だけというのは無いのか・・・」と武雄は思う。
引き戸があったり、開き戸があったり、観音開きもある。
「んー・・・」
「お気に召す物はありませんか?」
「んー・・・別々に見るとイメージが沸かないのですよね・・・
・・・同じ職人作成の本棚・机・椅子を紹介してもらっても良いですか?」
「わかりました。」
と職人別で案内してもらう。
これも3セットあるようだ。
1つ目は全体の意匠は少ないが丸みを帯びていて重厚感があるセット。
2つ目はクラシカルな意匠が過分に施されているセット。
3つ目は意匠は少な目だが収納を割と重視しているセット。
「1つ目か3つ目かなぁ・・・」と武雄は思う。
が、アリスにも意見を聞きたいと思い、
そろそろ起こすかという気になる。
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「アリスお嬢様。」
と寝ているアリスの肩をポンポン叩いて起こす。
「ん・・・タケオ様?」
と、アリスは上体を起こしてくる。
「良く眠れましたか?」
「ええ。気持ち良く寝ましたね。」
「では、私の書斎のセットを見て欲しいのですが、良いですか?」
「はい、わかりました。」
とアリスを連れてさっきの書斎3セットを見せる。
見終わりアリスが一言。
「1つ目か3つ目ですね。」
「やはりそうですよね。」
「書斎の家具は見た目はあまり気になさらなくて良いかと。
客間は外聞があるので意匠を重視しますが。」
「家具のサイズは一緒なので、ほぼ入れられる容量は一緒なんですよね。
で、1つ目は本の収納を重視、3つ目は小物の収納を重視していると見たのです。」
「ええ、私もそう思いました。」
「となると、今後どちらが多くなるか・・・ですね。」
「そうなりますね。」
「・・・1つ目ですかね・・・」
武雄は決める。
「それでよろしいので?」
アリスは最終決断を聞いてくる。
「はい、これにしましょう。
あとは家具を部屋に置いてから決めます。」
「わかりました。では、店長さん。」
「はい。」
「タケオ様の本棚と机と椅子はこちらにします。」
「畏まりました。」
と伝える。
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「では、アリスお嬢様。」
「はい。」
「1つ目のベッドで仮眠しましょうか。」
「またですか?」
アリスは、ちょっと不満気味。
「ベッドは人生で一番長く使いますからね。
アリスお嬢様の体に負担がかからない様にしたいのですよ。」
「むぅ・・・そう言われてしますと従うしかないですが・・・」
「はいはい。じゃあ、寝ましょうね。」
しぶしぶアリスは仮眠をする。
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