第98話 素敵な目覚めと午前中は乗馬体験。
「ごぶっ」
武雄は腹部への強烈な刺激で飛び起きる。
見るとアリスが寝返りを打ったらしく、武雄の腹に膝蹴りをかましていた。
当のアリスは隣でスヤスヤ寝ている。
・・・これか・・・
これからこの寝返りに耐える必要があるのか?・・・
いや、今日だけかも・・・と思う事にする。
と、
アリスが身じろぎを始め、
「・・・タケオ・・様?・・・おはよう・・ございます。」
と挨拶をしてくる。
「はい。アリスお嬢様、おはようございます。」
と武雄も挨拶をする。
「んっ・・・」
武雄がいきなりキスをする。
「良い物ですね。」
アリスは言いながら「えへへ♪」と言いながら武雄の背に手を回す。
と、アリスは武雄の下半身の状態に気がつく。
「・・・タケオ様、今からナニをしようと?」
アリスはジト目で質問してくる。
「・・・?・・・
あぁ・・・これは男性特有の朝の生理現象ですよ。」
「本当ですか?」
「朝からしたいですか?」
「・・・タケオ様がしたいな」
「しましょう。」
「なんで決断が早いのですか!?」
「ふふ、アリスお嬢様の気が変わらない内にと思っただけです。」
と武雄はアリスと再度、キスをする。
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3時課の鐘が鳴っている。
「アリスお嬢様?」
「はい。」
「そろそろ起きましょうか?」
「名残惜しいですが・・・」
とアリスは武雄の抱擁を解く。
武雄はベットを出て着替え始める。
武雄は昨日と同じ様にぬるま湯を作り、タオルを軽く浸け絞るとアリスの元に戻って優しく体を拭いていく。
拭き終わり、髪も整えアリスは外出着に着替える。と、
「タケオ様、今日は何をしましょうか?」
「乗馬を教えてくれるのですよね?」
「そうでした!」
「忘れていましたか?」
武雄はクスクス笑う。
「大丈夫です、忘れてはいませんよ?」
アリスは苦笑する。
「はい、お願いしますね。
では、朝食を食べましょうか?」
アリスと武雄は一緒に食堂を目指すのだった。
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朝食を終え、客間で皆でティータイム。
「今日、皆は何をするのじゃ?」
エルヴィス爺さんは聞いてくる。
「午前中はお爺さまとフレデリックと一緒にコートを作りに
午後は勉強ですね。」
スミスは答える。
「タケオはどうじゃ?」
「私はアリスお嬢様に乗馬を習います。
午後は小銃の練習ですかね。」
「アリスはどうじゃ?」
「タケオ様に乗馬を教えて、午後はタケオ様の小銃の練習を見てから家具屋に連行します。」
「・・・そう言えばそうでした。」
武雄はアリスを見て苦笑いをする。
「忘れていましたか?」
「はい。」
「まったく。
タケオ様も書斎の家具を揃えないといけませんし。」
「まったくですね。」
「・・・タケオ様、また他人事みたいに・・・」
とアリスは呆れ模様。
「ふむ、わかった。
二人とも気を付けていくのじゃぞ。」
「「はい。」」
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武雄とアリスは厩に来ていた。
服装は乗馬用で。
んー・・・武雄は悩む、というか驚く。
馬って近くで見ると意外と怖いね・・・
「タケオ様、どうしましたか?」
「いえ、ちゃんと出来るかな?と思って。」
「できますよ・・・いつかは?」
「最後が疑問形になるのが怖いですね。」
と厩から使用人が鞍を付けた1頭を連れてくる。
武雄は連れて来られた馬を見ている。
「??タケオ様、どうしました?」
「いえ、大丈夫かな?っと思って。」
「平気ですよ。大人しい馬にしてもらっていますから。」
とアリスは苦笑する。
「あ、でも鞍の調整をしないといけませんね。
手綱を持ってもらっている状態で一旦乗りましょうか?」
「わかりました。」
と武雄はアブミに足をかけ座るところに手をかけて「よっこいしょっ」という心の掛け声と共に乗る。
「・・・意外とすんなり乗りましたね。」
「いや、心の中で掛け声はしましたよ?」
「スミスの時は乗る所から・・・大変でしたが。」
「スミス坊ちゃんは乗るのに苦労したのですか?」
「ええ、なぜか・・・怖いと言い出して・・・」
「そうですか・・・馬って目線が高くなるのですね。」
「気持ち良いですよね。」
「そこまでの心境には、まだ至っていませんよ。」
「そうですか。
と・・・アブミの調整をしてもらいましょう。」
と使用人は武雄に合わせて調整をする。
すぐに終わった様で手綱を持って馬の首横に移動する。
「では、タケオ様。アブミに足を入れて、軽く・・・本当に軽く馬のお腹を踵で蹴ってください。」
武雄はアリスの言葉通りに軽く両足で蹴る。
と馬が歩き始める。
「おぉ」武雄は感嘆を漏らす。
「連続で歩調に合わせて軽く蹴っていってください。」
武雄は歩調に合わせて腹を軽く蹴っていく。
と馬も歩き続ける。
「では、タケオ様。足全部で馬をちょっと強めに挟んで今の姿勢のまま上体を後ろに反らして軽く手綱を引いてください。」
言われた通りすると馬が止まる。
「おぁ」と武雄はまた感嘆を漏らす。
「では。タケオ様。降りましょうか。
右足のアブミから足を抜いて、鞍に両手でしっかり体重を乗せてから左のアブミから足を抜いてください。」
「はい。」
と武雄は言われた通りに右足を抜いて、鞍に体重をかけて、左足を抜く。
「右足を左足の方に戻してから、まっすぐ飛び降りてください。」
と武雄はまたいでいた右足を戻してまっすぐ降りる。
「はい、終わりです。
どうでしたか?」
とアリスは言う。
「緊張しましたよ。そして疲れました。」
と武雄はアリスの方に戻ってきて感想を言う。
「ふふ、お疲れ様でした。
では、午前中はこれの反復をしましょう。
乗る、進ませる、止まる、降りるの繰り返しで。」
「はい、わかりました。」
武雄とアリスは午前中、その練習を繰り返すのだった。
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