第97話 お風呂に入って寝ますかね。
武雄は寝室に戻ってくるとアリスはベッドに座っていた。
「アリスお嬢様、お風呂の用意ができましたよ。」
「?・・・お風呂とは何でしょう?」
「湯浴み場の事を私のいた所ではお風呂とか風呂場とか言うのですよ。」
「そうなのですか。」
とアリスは湯浴み場へ着替えとタオルを持って移動する。
「・・・なぜ、タケオ様までくるのですか?」
「アリスお嬢様が入ってヌルかったらお湯を足そうかと。」
「・・・そんなこといって・・・一緒に入るなんて言わないですよね?」
・・・
・・
・
「・・・言いませんよ?」
「ダメですからね?
湯加減は後で言いますからタケオ様は寝室にいてください。」
アリスはジト目で拒否してくる。
「わかりました。」
武雄はアリスのいう事を素直に聞き、寝室に戻っていく。
その背中は哀愁が漂っていた。
アリスはそんな武雄を見送りながら、ため息をついた。
武雄は寝室に戻り、椅子に座ったり、書斎でキセルを吸ったりしたが大した時間を潰せなかった。
なので、さっき見た書斎のレイアウトを考えようとベッドにゴロンと横になり、机にあったメモ帳に大まかな四角とドアを書いて思案し始める。
ここに机を置いて、椅子を置いて、本棚を置いて・・・
いや、椅子と机はなくして、ソファと低い机で・・・
でも、低い机は書き物がし辛いかな?・・・
そうなるとやっぱり机が・・・重厚でない作業机で良いとは思うけど・・・
といろいろ想像して時間を潰す。
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アリスが寝室に戻ってきた。
お湯に浸かるなんて風邪を引いた時ぐらいしかしないので、
久しぶりにお湯に浸かり、いつも以上にスッキリした気持ちだった。
「タケオ様のおかげで、これから毎日浸かれそうですね~」と気分もルンルンだった。
「タケオ様、上がりましたよ。」
と寝室に入ると武雄に伝えたのだが、武雄はベットで横になっていて反応しない。
「あれ?」
と思いベッドまで行くと、武雄は寝息をたてていた。
「今日もいろいろありましたものね。」
とアリスは朗らかな気持ちで武雄の寝顔を見ている。
が、お風呂に入れないといけないという思いもあるので、起こすことにする。
「タケオ様、湯浴み場が空きましたよ。」
ゆさゆさ・・・と声をかけながら揺する。
「・・・アリスお嬢様?・・・寝ていましたか?」
武雄はすぐに起き、聞いてくる。
「ええ。気持ち良さそうに寝ていましたけど、湯浴みをしてくださいね。」
「はい・・・わかりました。」
と武雄は、多少寝ぼけながら返事をしてくる。
武雄はベットを下りて、用意した下着と寝間着を持ってドアに向かうとアリスの方を向き。
「・・・アリスお嬢様の髪を乾かすか・・・」
とベットに戻って来る。
「え?タケオ様?私の髪は拭いているから問題ないですよ?」
アリスはそう言うが。
「風邪を引くかもしれませんから、軽く乾かしましょうね。」
と武雄はアリスをベットから椅子に座らせ後ろから。
「エアロ」と「ファイア」で温風を出し続け、軽く髪を乾かしていく。
武雄はアリスの髪を軽く持ちながら簡単に乾かす。
アリスは温風を当てられるのが気持ちが良いのか鼻歌をしている。
「アリスお嬢様、どうです?」
「初めてですが、とても気持ちが良いですね。」
「それは良かった。他の人の髪を乾かすのは、私も初めてなので軽くしかできませんが。
ある程度水分が飛んだら止めますからね。」
「はい。」
とアリスは言う。
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武雄は湯浴みをしている為、寝室にはアリスがベッドでゴロゴロしていた。
「それにしても髪を乾かす・・・か。気持ちが良いのですね~」
と新しい発見に心地よさを感じていた。
「まったく、タケオ様は私を飽きさせませんね」
とニヤつく。
私の事をちゃんと思っているし、良い人と一緒になれたかもっと思う。
ふとベットにメモがあるのに気が付く。
見てみるが何やら四角が書いてあり、いろんな文字が書いてあるが読めない。
「・・・タケオ様が?何を書いたのだろう?」
と武雄の書斎からメガネを持って来る。
机。椅子。本棚・・・
書斎のレイアウトかぁっと思う。
必要な物を列記しているが、まとまっていないみたいだった。
メモをめくると1行目に「お嬢様対策」と書かれている。
「・・・え?なにこれ?・・・」
とアリスは驚く。これは見て良いのか?
っと言うか気になる。見ないといけないという気がしてくる。
数行しか書かれていないが・・・
・お嬢様は綺麗だし、器量良し・・・他の男が言いよってきたら殺す。
・王都から婚約が「ダメ」と言って来たら・・・駆け落ちさせてもらうか?
でもお嬢様の気持ちがわからない・・・どうしよう。
・こちらが作った物を食べている姿は愛らしい。何か違う物を作るか?
あの顔の為なら何でもしそう。
お嬢様が食事を作ると言ったら断ろう。どうせできないだろうし。
・お嬢様のhどggl
・・・ここで寝たのか・・・
それにしても一部、不穏な事も書いてあったが、基本的には私の事を想っているのがわかる。
「駆け落ちかぁ・・・ふふ」
アリスは考える。
「もちろん、私も駆け落ち賛成ですよ。タケオ様。」
と武雄が戻って来るの楽しみに待っていようとメモを元の場所に戻す。
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「良いお風呂でした。」
と武雄が寝室に戻って来る。
「タケオ様、おかえりなさい。」
とアリスはベットに腰かけて、にこやかに出迎える。
「はい、戻りました。」
「タケオ様、こっちに。」
とアリスはベッドの自分の横をポフポフ叩いている。
「はいはい。」
と武雄は言われた通り、ベッドに腰をかける。
と、いきなりアリスが抱き着いてくる。
「ど・・どうしました?」
「タケオ様、婚約破棄なんてさせませんからね?」
「ん?する気はないですよ?」
「私と体を合わせたのですから一生傍にいて貰いますからね!」
「そのつもりです。
お嬢様こそ私の傍にいてもらいますよ?」
「私もそのつもりです!」
二人は笑いながら、「じゃあ、寝ますか。」とそのままベッドに入るのだった。
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