第2話:僕は義沢 東
平日の朝、学生である僕は遅刻ギリギリの時間に登校している
時間が時間だけに他の学生達は辺りに見えない
僕の名前は義沢 東、鈴見高校に通う二年生。四月の新学期にこの学校に転校して三ヶ月、僕は未だにクラスの皆と馴染めてない
寧ろ馴染む気が無い
それに皆も僕と仲良くなろうと何て誰も思って無いと思う
僕は目が前髪に隠れる程伸ばした長髪の黒髪に日の光を浴びて無いかと思わせる不健康そうな白い肌、そして性格が暗い
誰もが認める根暗な僕に関わろうとする人何て普通はいない筈だ。
なのに・・・
僕は今とても憂鬱だ
目が隠れる程長い前髪の隙間から一人の少女がこちらに歩いて来るのが見える
腰の位置まで伸びた茶髪は艶やかに輝き、ほっそりとした体に誰もが見惚れる美貌の持ち主
憂鬱の原因、華妙 千尋だ
華妙さんは僕が通う鈴見高校で誰もが知るお嬢様
父親が大企業の社長でお金持ち
母親が有名デザイナーでお金持ち
兄が趣味で始めた株の売買でお金持ち
一般庶民から見たらムカつく程裕福な家に生まれ、頭も良く、優しくて美人で評判の華妙さん
男女共に憧れの的でファンクラブや親衛隊なんかがあるほどだ
「おはようございます。義沢君」
これ以上無い極上の笑顔で挨拶をする華妙さん
「・・・おはよう。華妙さん」
僕も一応挨拶をした
すると華妙さんは辺りを気にしだし、人目の無い事を確認して僕に近づくと極上の笑顔のまま僕のすねを蹴った
「痛い!」
「もやしの分際で何て言いました?華妙さん?私達そんに親しい関係じゃないですよね?だったら華妙様とお呼びなさい」
そう言いながら華妙さんは僕の髪の毛を掴んだ
「やめてよ!」
僕は頭を押さえて抵抗するが、華妙さんはそれが気に入らない様で不機嫌な顔になった
「なに?私に逆らうつもり」
「・・・」
髪を捕まれ、普段は隠れていた目がさらけ出され、お互い無言で見つめ合う
普段は猫かぶりなのに僕に対して何故か華妙さんは態度が違う
最初に会った頃は僕にも優しかったのにいつしか僕を虐める様になった
この人に何を言っても無意味だと悟り、僕はだんまりを決め込む事にした。
・・・・・・
沈黙の中、華妙さんは掴んでいた髪の毛を放し、僕に背を向けて歩き出した
今日はすんなりと止めてくれた
強張った体の緊張が緩む
「私、あなたのその目が気に入らない」
立ち止まった華妙さんが背を向けたまま僕に言い放つとすぐ歩きだす
華妙さんが見えなくなるのを見届けて僕は小声で呟いた
「僕も華妙さんが大嫌いだよ」