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第80掘:嫁さん会議

嫁さん会議




side:セラリア



「……というわけよ。みんなどう思うかしら?」


私は本日の会議で起きた、クソ親父の王女押し付け事件について話した。

その話を聞いていたみんなの反応を窺う。


「僕はんたーい!! はんたーーーい!! 女子はそんなモノみたいにするの絶対はんたーーーーーい!!」


リエルは大声で反対と言っている。


「でも、私達がここでその王女様を拒否すれば、なおの事、モノ扱いですよね?」


エリスがそう言う。

その通りだ。

私達がここで王女を拒否すれば、王女はさらにたらいまわしにされるだけになる。


「そうなのよ。結局、王女に行く当てなんてないのよ」

「それはまた、可哀想というか、なんといいましょうか」


ラッツも難しい顔をしている。


「しかし、王様の状況も理解できます。下手に探られて、エルジュ様の事が露見すれば、ガルツがその気でなくてもロシュールのエルジュ様を慕っていた人達を抑えられないでしょう」


ルルアもそう言っている。

そうなのだ、クソ親父は何も考えていないわけではない。

下手に爆弾を抱え込んで同盟をご破算させるわけにもいかないのだ。

だから、このダンジョンのユキに嫁がせるのが最善というわけ。


「でもさ僕よくわかんないんだけど、なんでユキさんに嫁がせると、問題ないわけ?」


リエルが首を傾げている。

ああ、そこら辺も詳しく説明しないといけないわね。


「それは…」

「セラリア、私が言っていいでしょうか? 一応間違いがあれば訂正をお願いします」


エリスがそう言って私にいってくる。

そうね、エリスがどれだけ理解してるか聞いてみるのもいいわね。

あと、旅館の中では私を様付けをしないようにみんな慣れてくれた。


「お願いできる?」

「はい、では失礼して」


エリスが宴会場のホワイトボードの位置まで歩いて行く。

現在旅館の宴会場で主要人物は集まっている状態。

ユキは今アスリン達をお風呂に入れている。


「リエルが言ったように、分からないこともあれば、今一つ状況を理解していない人もいると思いますので、ここで私がまとめてみます。皆、少し聞いててね」


エリスがそう言うとみんな頷く。


「では、今回の王族の嫁ぎのお話ですが、大本はガルツのロシュールへのお返しという事になります」


そう、この婚姻というか人質にも等しいのは私がリテアから巻き上げた賠償金のお返し。


「それは分かってるけど、そもそも何で王女様なんだろう? 他でも十分いけそうだけど」


ミリーがそう返す。


「王女というのが肝ですね。今回の賠償額に見合うかというのが大事です。かと言って数多の木端貴族の娘を大量に渡すのは失礼にあたりますし、沢山の密偵を招きいれることにもなります」


そこが問題なのだ、向こうは賠償を金品で払う余裕がない。

かといって、人材を渡すのには惜しい、なら女性ということになるが、只の貴族の娘では今回の賠償額に見合わない。

だから、王族。でも、それはそれでこっちは粗雑に扱えない。


「なるほど、密偵は沢山入れるよりは一人がいいよね。うーん、王女様だと賠償のお返しに見合うのかな?」


リエルはいまいちよく分かってないようだ。


「そこは、貴族のお話になりますので、セラリアから聞いた方がいいかと」


そうやってエリスは私に振ってくる。

まあ、国のルールなんてのは分からないわよね。


「向こうの王族だというのが意味があるのよ。普通の貴族なら謝罪の意味も薄いわ。そうね、このダンジョンがどこかに謝罪するとして、リエルと私どっちが謝るのが、真剣に謝ってると向こうは思うかしら?」

「それは、ここの領主のセラリアが謝ったほうが……ああそういうことか。立場の上の人が来ることに意味があるんだね」

「そういう事よ。続きはエリスお願い」

「はい。では王族という理由は表向きは分かりました」

「表向き?」


ミリーはそうやって聞き返します。


「そうです表向きです。王女様は多分ロシュールの内情を探る為に来られたのでしょう」

「それは聞いたけど、探ると言ってもねー。監視はするんでしょう?」

「それはそうですが、お嫁としてくるのが問題なのです。これでは自由を束縛すれば、ガルツに対して王女様を非道に扱っていると言われかねないのです。そうなれば、公にガルツがロシュールに視察に来れるわけです」

「ああ、なるほど。そういうことね。このダンジョン、ユキさんに嫁げば調べられるのはロシュールの内情ではなくダンジョンの内情。そして、ユキさんはセラリアにルルアと言った各国の代表ともいうべき人の旦那様。これでは、王女様は相手に不服を唱えることはできないわけか」


ミリーの言う通り、クソ親父の言う通り全体的な観点からみて、ここに王女を置くのが一番最適なわけだ。


「多分ですが、ロシュール王は今回の独断でのリテアの戦闘よりも、この件を頼みに来たのではと思うのですが、セラリアはどう思いますか?」

「エリスの言う通りよ、今回の訪問の真の目的はこっちね。リテアとの戦闘はオマケよ。今回のリテアとロシュールの裏事情を知らない連中にとっては、私達が勝手に、同盟を再び組み直したリテアにケンカを売った状態だから、クソ親父の一言で抑えてもいいけど、それはそれで不満になるのよ、だから……」

「ああ、ロシュール王は一応、家臣の希望通りにしかりつけて、お兄さんたちから話を家臣に聞かせ、この判断は間違ってなかったと家臣に伝えたのですね」


ラッツがポンと手を打って頷いている。


「そういう事、別に家臣も無能というわけじゃないわ。今回の裏事情を知らないのなら、この独断の件不満に思って当然よ、この件で何も知らないまま傍観してる奴のほうが、クビの対象ね。かといって知ってれば、周りに伝えるわけにもいかない、リテアと戦争になるから」

「なんというか、王様も大変なんですね」


トーリは感心したようにうなずいている。


「まあ、それで私の夫に女を宛がおうって魂胆が気に入らないのよ」

「一番はそこですか」

「当然よ。ラッツというか、ここのみんなだってそうでしょう?」


そういうと、みんな頷く。


「私もそろそろ、旦那様に抱いてほしいのですが」

「ですね、お兄さんはなぜかそういう手は出してきませんよね」

「そうよ。それで万が一、ここに嫁いだ王女が先に孕んでみなさい」

「……ユキを妾が恨んでしまいそうじゃ」


デリーユの一言で全員が目の奥にメラメラと炎を燃やす。


「でも、その王女様にユキさんが手出しすれば、僕達に手を出さない理由はないんだよね? お嫁に来るって事は、子供をつくりますって事なんでしょ?」

「「「あ」」」


全員がリエルのいった事にある抜け道を思いついた。


「ちょっとまってください。これは……」

「ええ旦那様の子を孕むチャンスです」

「セラリア、今回の王女様はユキさんが手を出さずに済むことは……」

「ないわ、そう言うのは侍女が付いていて、ちゃんと事をしているか確認するのよ。手を出さないのは、お礼を拒否するのと同然」

「つまり、お兄さんは王女様が孕むかはともかく、御手付きにする必要があるんですね?」

「その通りよ」

「ええっと、つまり僕達が王女様を快く迎え入れれば、王女様も状況が改善されるかもしれないし、僕達はユキさんとエッチが堂々とできるってこと!?」

「王女様の状況の改善は分かりませんが、お兄さんとの素敵な日々は、王女様を迎えいれれば決定です。王女様に手を出して、私達に手を出さないなんて言えば、お兄さんはちゃんと愛してくれます。しかし、いきなり野外プレイですか?」

「ち、ちがうよ!!」


デメリットばかり考えていたけど、これは意外な盲点だわ。

私が、いや私達がユキに愛されるいいきっかけじゃない。


「ちょ、ちょっとみんな落ち着いてください。私達の利点は非常に大きいですが、ダンジョンの事を考えないと、ユキさんは納得してくれませんよ?」

「そこね問題は、いったいどこに王女を娶る利点がダンジョンにあるかをユキに言わないと……」


エリスが制止をかけ、私が続きの言葉を言うとみんな考え込む。




side:ユキ



俺は今非常に悩んでいる。

問題は、今日の会議で王女様を嫁として迎え入れろと言う件。

いい加減、現代日本に帰れば、モテない男どもに袋にされそうだ。

現在の状況でもハーレム。

でも更に王女様もう一人追加とか、今のセラリアとラビリスを筆頭に反対しそうなんだよな。

さらに、今回のは嫁ぎが前提。

しかも国の交渉だから、好きできたセラリアと違って、手を出さないでいるのはとても不味い。

セラリア達に手を出していないのに、王女様に先に手を出しましたは、刺されそうだよな。


ある理由があって、彼女達に手出しはしてこなかったが、限界か。

ルナに確認のメールを送って、返答がきたら、セラリア達に話して、抱くことになる。

わざと引き延ばしてたんじゃなくて、この内容をあの駄目神がみればセラリア達の前に姿を現しそうで、そこが怖いのだ。

あの駄目神いらんこと言いそうでいやなんだよなー、俺はそれでルナへの連絡をほとんどしてこなかったわけだ。

駄目神を神様なんて、どうやって説明するか……。


いやいや、まずはセラリア達に王女様を嫁、もとい、ダンジョンに迎え入れる利点を説明しないと。

俺も王女様を玩具にできるぜーひゃっほい!!

なんて、鬼畜ではないんです。


というより、今回の王女様の件、ロシュール王が俺にわざと、持ってきたんだろう。

「上手く使え」と、そう、この王女様がいればガルツとの関係を結びやすくなる。

今更、ロシュールとリテアの真相を知ったところで、また3か国が戦争状態になるだけ、全然ガルツとしては旨味がないのだ。

でも、真実はしらないガルツは羽振りの良すぎるロシュールを調べないわけにはいかないし、お礼もしないと面目もたたない。

だから王女様を送ってきたわけだ。


王女様は国の為に調べないわけにはいかないし、かといって、真実をしれば、周りにいう事もできない。

だって、今回はロシュールもリテアも身内から引っ掻き回されたのだから、ガルツだってそうならないとは限らない。


本当に今のガルツの第7王女は調べてはイケナイのに、調べろといった爆弾の前を歩かされているのだ。

どの国にとっても邪魔な存在。でも、出さないわけにはいかない状態。必要な生贄って感じ。


そこで白羽の矢がたったのが俺のダンジョンだ。

別段ダンジョンの内情は隠してないし、むしろ宣伝してほしい。

ガルツも増えるなら、もっと色々な人が集まるだろう。

3か国にとっても都合のよい、王女様を託せる場所。


でも、そんな理由で…嫁さん達が納得してくれるか……。

そう、どんなに理屈は通っていても、納得のできないことはある。

今回は特にそうだ。

今まで手を出してこなかったのに、手を出す必要がある王女様を迎え入れるということは、嫁さん達にとっては、王女様に先を越された…自意識過剰にとられたと思ってしまうかもしれない。

だから、王女様を迎え入れる前に、彼女達と愛し合わなければいけないのだが……愛し合ったところで、もう一人、女連れてきますねーって通るわけもない。


あー、もうやめだ。

男らしく頭を下げて、王女様を嫁に迎え入れるけど許してね!! だな!!

……男らしいよな?


そんな覚悟を決めて、会議をしている宴会場の扉を空け中に入り、即座に土下座を完成させる。

一連の動作をよどみなく行われていて、きっと採点は10.00に違いない。


「みんなすまん!! 今回の王女様の件受け入れようと思う。 みんなが不満なのも分かる、でも今日から……みんなに手を出すから、許してくれ!!」


「「「許す!!」」」


「は?」


まだまだ説明が必要と覚悟してたのに、帰ってきた返事に驚いて間抜けな顔をしていた俺だった。

一度消えたんだ。

気力が全て奪われた。

だが、ここまでやってきた。


まあ、そこは置いといて、嫁さん会議でしたw

次回はユキが今まで手を出さなかった理由や駄目神が登場。

やっぱり来るの? 来ますよ当然w

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