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第435堀:いざ魔術国へ

いざ魔術国へ





Side:リエル




なんか、あの会議からあわただしく動いてたけど、気が付けば、魔術国へ使者としていく日になってた。

僕は今回、タイゾウさんとファイデさん、あとエリスの護衛役ってことで一緒に行くことになった。

僕はスカウト系で、守りとかは苦手なんだけど、そこは騎士のジェシカと勇者のリーアに任せて、不穏な動きがないかよく観察してくれってユキさんに言われたから、何とかなるだろう。

しかし、よくわからないことがあるんだよね。


「ねえ、エリス。なんでタイゾウさんがユキさんって名乗るの?」


そう、なぜかタイゾウさんがユキさんの名前を名乗って交渉へ向かうことになっているのだ。


「ん? ああ、それは確実にノノアと会うためね」

「どういうこと?」

「ファイデさんから聞いたと思うけど、相手はユキさんのことを調べたくて、わざわざファイデさんを送ってきたの。で、そのユキさんをファイデさんが直々に連れてきたなんて言えば、会わないわけにはいかないでしょう? まさか、ユキさん本人を連れて行くなんてことはできないし」

「ああ、なるほど」


確かに、そうすればノノアって人は確実に会いに来ると思う。

エリスの言うように、ユキさんを連れて行くなんてありえないし。


「まあ、できれば話し合いで終わらせたいのが本音ね。ファイデさんもこちらのことを誤解していたみたいだし、ダンジョンマスターが適当なことを言ってノノアやノゴーシュをだましているってことなら、こちらについてくれるでしょう。わざわざ、背中に敵がいる状態でこちらとも戦うわけにはいかないでしょうから」

「うーん。そんなにうまくいくかな?」

「うまくいかなくてもいいのよ。話し合いに持ち込むのが大事なの。タイゾウさんのスキルで物理的にも魔術的にもスキル的にも孤立させたあと、魔術国に在るであろうダンジョンを掌握してしまえばこっちのものよ」

「そういうことか。ユキさんの狙いはそっちなんだね」

「ええ。そこにダンジョンマスターがいるかどうかは知らないけど、トップの一人であるノノアを押さえたなら、ある程度無茶をしても問題ないわ。相手のダンジョンが強大かもしれないと考えられるけど、そこは私たちが貯めたDPで何とかなるって見通しね。私たち以上のDPがあるならすでにほかの国を落としているでしょうし」

「だよね。うん、なんかいつもの通りってわかって安心したよ」


やっぱり、ユキさんらしいね。

気が付けば全部終わってたってやつだ。


「と言っても、ちゃんとタイゾウさんは守らないと駄目よ。あの人は日本の武士道の塊みたいなものだから、ドッペルを使うのを嫌がってるし、そもそも特殊スキルはドッペルには継承できないから、生身よ。タイゾウさんは私たちにとっても、ユキさんにとっても絶対必要な人。だから、なにがあっても絶対守らないといけないわ」

「うん。そうだね。あと、新婚さんだし、ヒフィーさんがずいぶん嫌がったみたいって話はポープリから聞いたし、そういう意味でも守ってやらないとね」

「ええ。ヒフィーさんの気持ちはよくわかるわ。ユキさんが生身で出るとか、絶対認めないもの」

「認めないね。僕、そんな提案した人を殴ると思うよ」

「私も殴ると思うわ。それがユキさん本人の提案ならなおさらね。首輪でもつけて、布団に押し込んで、一緒にずっといるわ」

「そうでもしないと、ユキさんは逃げるもんねー」


ま、それはそれで、ユキさん食べ放題だから嬉しいんだけど。

と、いけない。ちゃんとお仕事のことに集中しないと。

そんなことを期待しなくても、ユキさんは頼めばやらせてくれるもんね。堂々とできる夫婦さいこー。


「そういえば、一緒に来るって言ってた、コメットにポープリはどうしたの?」


もうすぐ集合時間なんだけど、2人の姿が見当たらない。

タイゾウさんとファイデさんは一旦顔を出した後、ユキさんが連れて、ロシュール陛下との出発前最後の打ち合わせに行ったからいいけど、あの2人はまだ一回も顔を見せてない。

あ、ジェシカとリーアは護衛ってことで、ユキさんと一緒に移動。

当分はユキさんの側近が2人減るから、クリーナとサマンサが休みなくカバーするって話になってる。


「さあ、詳しくはしらないけど、ヒフィーさんにくれぐれもって注意でも受けているんじゃないかしら?」

「ありそうだねー。特にコメットは」

「あの人は良くも悪くも、技術屋ですからね。連れて行くのには不安もありますが、あの人の技術屋としての力はすごいですし、ユキさんも認めています。ノノアがどんな魔術を仕掛けてくるかわかりませんし、その道のエキスパートを導入するのは間違ってはいないでしょう。押さえのポープリもいますし」

「あ、そのポープリはケーキで手を打ったってきいてるけど?」

「ええ。ホールケーキ12個で私が交渉してきたわ」

「……えーと、流石にそれは腐らない?」

「一気に全部は渡さないわよ。希望があればその都度送るって感じ。お金を今回はとらないだけよ」

「なるほど。でも、ホールケーキ12個なんて、食べるのに半年はかかりそうだよね」

「……何をいっているの? 一か月分よ?」

「はい!? そ、そんなに食べたら太るよ!? 栄養が偏りすぎて具合悪くなるよ!?」


何それ、簡単に計算しても3日に1個ホールケーキ消費することになるよ!?


「ああ、リエルはまだだったわね。不老になると、あからさまな体形変化はなくなるのよ。あと、偏食による病気はあるけど、今は詳しくどこが悪いかわかるから、ルルアやエルジュの回復魔術でなんとかなるわ。ほら、私も不老にしてもらっているし」

「いや、エリスはもともと老いの遅いエルフじゃん。むむむ、でも太らないかー。悩むなー。もうちょっと、僕はおっぱいが大きくなるのを待ってるんだけど……」

「そういえば、そういってたわね。それなら、やっぱりユキさんに沢山もんでもらうのがいいんじゃないかしら? 子供ができて胸が張るのはまた別っていうし」

「悩むよねー。僕はもうちょっと、成長すると思ってるけど、いつ曲がり角になるか怖いし……」

「まだリエルは若いでしょう? まだそんなに気にしなくても……」

「ふふふ……。エルフのエリスにはわからないよ。というか、おっぱい分けてよ!! 絶対僕の成長分とったでしょ!!」

「何をわけのわからないことを、ってこら!! おっぱいもまないでよ!!」


憎い、このでかい乳袋が憎い!!

僕と同じ時期にもまれたくせに、なんでこんなに違いがあるのか!!

くそー、ぷにぷにで柔らかい!! 気持ちいい、くやしー!!

あとでジェシカにおっぱい枕を希望しよう。お耳を触らせるならいいってよくやってるし。

癖になるよね。この柔らかさ。


「ああ、もう!! リエル、ふざけるのはほどほどに……」


あれ?

なんか、エリスの抵抗がなくなった。

なんで? 遠慮なくエリスのおっぱいをぷにぷにできるのはうれしいけど、じゃれあいもあるから、抵抗がないのはないで寂しい。

なんでだろうと思って、エリスが顔を向けてる方へ僕も視線を向けると……。


ガシャ、ガシャ……。


そんな音を立てて、立派なフルプレートの鎧騎士がこちらに歩いてきていた。

あんな馬鹿みたいな目立つ鎧を着てるのはだれ?

少なくとも、僕たちの管轄の警官じゃないし、魔物軍のスティーブたちでもないし……、セラリアのところの騎士隊?

でも顔までフルフェイスって、ありえないよねー。部隊章もないし、本当に誰?

殺気はないし、武器は携帯していなから、こわくはないけど、不思議すぎる。

気が付けば、僕もエリスのおっぱいをもむのをやめて、その鎧騎士を凝視していた。


「いやー、ごめんごめん。遅くなったね」


目の前で立ち止まった鎧騎士はそういながら、兜を取ると……。


「「コメット」」


そう、中からコメットが出てきた。

そして、さらにガシャガシャと聞こえてきて、コメットの後ろから、軽いドレスアーマーを着た、ポープリが来た。

……残念ながら、ポープリはウィードに来た頃のアスリンやフィーリアと並ぶぐらい小さいので、騎士ごっこの子供に見える。

今じゃ、アスリンもフィーリアも成長しているので、一番小さいのはラビリスになっているぐらいだ。でも、ラビリスのおっぱいがおっきいのは変わらないけどね。

ちなみに、ヒイロが最小、次にポープリって感じかな。


「まったく、そんな姿でうろつかないでください。見てください。エリス殿に、リエル殿が唖然としています」

「仕方ないじゃん。ヒフィーのご希望なんだし」

「いや、私と同じドレスアーマーでよかったでしょうに……」

「えー、ひらひらしたのって苦手なんだよね。ほら、この鎧の方が強くみえない?」


話から察するに、魔術スキル無効化に巻き込まれるから、ヒフィーさんが防具を着るように言ったみたいだね。


「いや、コメット。それならズボンを履けばいいだけだよ」

「ええ。ドレスアーマーはズボンを着用してはいけないなんてのはありませんし」

「ああ、そういうのもありか。でも、わざわざ、ナールジアに用意してもらったからねー」

「はぁ、なぜ、ナールジア殿は嬉々として師にこんな鎧を薦めたのか……」

「そりゃー、私の熱いパトスがわかっているからさ。ま、ぶかぶかなのは、流石に調整しようかな」


コメットはそういうと、鎧に魔力を通す。

すると、鎧がグネグネと変形して、見事にコメットの体にフィットする。

ま、ナールジアさんの特製ならそれぐらいの機能はあるよね。


「うん。流石はナールジア。動くのにも違和感ないし、重さも感じない。どうよ? これで立派な女騎士にみえないかい?」


ビシッとポーズをとるコメット。

まあ、女騎士に見えなくもない。


「そんな機能があるならさっさと使ってくださいよ」

「えー、変身!! って感じなのがいいんじゃないか。と、そういえばエリス君やリエル君は軽装みたいだけど?」

「私たちはドッペルですし、服も並の鎧よりは高性能ですから」

「僕はもともとスカウトだからね。軽装があってるんだよ」


そんな話をしていると、ユキさんたちが戻ってきた。


「よし、みんな揃ってるな。エリス、これが使者の証と、通行証、そして交渉の手紙だな。こっちがウィードからで、もう一つがロシュールからの仲介の証明書。蝋封の紋章でわかると思う」

「はい。確かに預かりました」

「これからの予定は、すぐにロシュールへのゲートをくぐって、そこから徒歩で魔術国へ向かってもらう」

「あれ? 歩くのかい?」


コメットが不思議そうに聞き返す。

僕もてっきり車かと思ってたよ。


「そうだよ。車とかは警戒されるだろうし、万が一逃げるときはそこを狙われる可能性が高い。みんな身体能力が高いから、下手に乗り物にこだわるより、飛んで跳ねて逃げた方がいいだろう」

「確かにそうですね」


あー、なるほど。確かに、僕たちが逃げるなら下手な乗り物に乗るより足で逃げた方が早いよね。

返事したポープリなんて、箒で空を飛べるし。


「向かうときは、すまないが走って行ってもらうことになる。知っての通りあまり時間をかけられないからな。じゃ、これからはタイゾウさんに代わるよ」


ユキさんはそういうと、横にいるタイゾウさんに任せて後ろに下がった。


「これから、魔術国に向かいます。いろいろ困難があるかとは思いますが、ともに手を取り合い、無事にまたウィードへ戻ってきましょう。よろしくお願いいたします」


タイゾウさんはそういうと深々と頭を下げる。

やっぱりこういうところはユキさんと似ているから、日本人特有なんだろうね。


「よし、じゃ出発しよう!!」

「あのね、リエル。それはタイゾウさんが言うセリフよ」

「あはは、まあまあ、いいではないですか。あくまでも私は表向きの交渉役ですから、こういう風に行くのも悪くはありませんよ」


さあ、頑張るぞー!!





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