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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
国の在り方 暗躍編

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第409堀:警察署でのお嫁さんたち

警察署でのお嫁さんたち





Side:ユキ





なんだか知らないが、ドレッサがついてくることになった。

個人的になにか思うことがあったのだろう。

最近は結構いろいろ出歩いているみたいだから、その話を聞いて、何か有益な話があるかもしれないから、あんがい、その提案はありがたいかもしれない。


「そういえばユキさん。なんで、真っ先に警察に行かなかったんですか?」

「言われてみればそうですね。治安に直結することですし、警察に来るのが先ではないでしょうか? あと、セラリアが率いる、直轄部隊の軍とか、クアルなら知っているとおもいますが?」


警察署に向かう道中で、リーアとジェシカがそんなことを聞いてきた。


「えーと、何と言っていいのやら。その二つの組織にはうかつに話せないんだよな。いや、ギルドのほうも知っていたから、当然その二つも情報は仕入れているだろうけど。大手を振って行くわけにはいかないんだよ」

「なんでですか?」

「……それならわかる。面目がつぶれる。ユキの立場はすごく偉い。そのユキが自分で調べているということは、警察や軍が役に立たないということを示してしまっている」

「ですわね。あとは、ロックギルドマスターが言っていたように、ただの言葉であり、罪には問えないことですわね。それで、片っ端から取り締まっていけば、住人が窮屈に感じ、不満の種を与えてしまうことになりかねません」

「ああ、なるほど。だから、ラジオなどでそういった扇動に対する注意を呼びかけないのですね」

「えーと……どういうこと?」


リーアだけがついてこれなかったか。


「つまり、そんな注意を促せば、そんな人がいるんだーって思うだけならともかく、怖い人がいる、犯罪者がいる。それを取り締まれない軍や警察は何をやっているのか? って思われるんだよ。俺が表から堂々と警察とか軍に話に行っても同じこと」

「あー、確かに。クリーナの言う通り面目がつぶれちゃいますね。役に立たないって宣言しているようなものですね」

「あと問題なのは、その犯人が逮捕されたとして、それがどこの国の人間か? っていうのは当然知られるわけだが、そうなると、そこの国の印象が悪くなる。そうなると、そこの国は、俺たちからすれば、また犯罪者が来るんじゃないか? なんて思うようになって、そこの国の人が来づらくなったり、差別されたりするかもしれない。悪いのはそういうことを企てたごく一部なのにな」


そうなると、そこの国は連合からそっぽ向かれて、完全に交易が遮断されることになり、最悪戦争になる。

内乱ならまだましで、もう侵略するしかねーと思う馬鹿だとさらにたちが悪い。

こっちも出動することになるので、迷惑極まりないことになるのだ。


「なるほどー」

「さらに、本当にその国の人物なのかっていうのも怪しい。わざとつかまって、ウィードの住人の前で、ガルツから、リテアからとか宣言すれば、今の同盟にひびが入りかねない。そういう亀裂を入れるためにわざとやっている可能性も考慮しないといけない」

「……理屈はわかりますけど。すごく面倒ですね」

「国と国の駆け引きなんてのはそんなもんさー」


まあ、こういう小細工に頼るしかないように、がちがちに防衛を固めた結果なんだが。

確かに、連合の結束に亀裂を入れるという手段にもなりうるが、面倒極まりない。

しかし、1年、2年でどうにかなる話ではない。

……個人的には放っておきたいが、これからのことを考えると、こういう内部工作は放っておくと致命傷になりかねないし、さっさと元を割り出して、お仕置きするのがいいのだ。

利害関係からみて、どうせ連合に入っていない国が黒幕だろうし。

どこの国がってのがわからないから、こうやってこっそり調べるしかないんだけどな。


「あれ? じゃあ、警察のほうに行くのは問題があるんじゃないですか?」

「今ならいいんだよ。トーリにリエル、デリーユがお仕事で顔だしてるから、その迎えってやつ」

「なるほどー。そういえば、3人とも引き継ぎがどうとかで、警察に顔だすって言ってましたね」


嫁さんたちを使って、ウィードに存在する組織から情報を吸い出すのは簡単だ。

だが、嫁さんたちのまとめだけではなく、現場の声を聞きたいってのがあるからだ。

スーパーラッツのナナに関しても、ラッツでいいじゃんって話になるしな。

生の声から聞くっていうのは文面以上の価値があるのだ。

百聞は一見に如かずというやつだ。

と、そんな話をしている間に、警察署のほうに到着する。

警察署の前には警察官が立っていて門番をしている。

……あれ? これなんていうんだっけ?

ま、いいか。


「お巡りさん、こんにちはー」

「はい。こんにちは。けがしないようにね」

「はーい」


子供が警官に挨拶して、警官も手を振って挨拶をし返す。

ほほえましい光景だ。

この警察署は庁舎から少し離れたところにあって、大通りに面した場所にある。

これは、警察が軍とは別に、国民の安全を守るということに特化していることを示し、国民と触れ合うことで、その意識を高めてもらうという目的がある。

地球でもだいたい同じだ。

警察署は人の多いところに配置されている。路地を入った奥まったところにある警察署は少ないというか、ありえない。

まあ、諸事情で、っていうのがあるのは、どこでも同じ。


この時代の制度であれば、軍が警察の仕事も兼ねているのが普通なのだが、差別化することによって、万が一、戦争などが起きても、警察、つまり治安維持をする人が減ったりすることはないし、今まで治安維持をしたことがなかった部隊がいきなり治安維持を任されるということはなくなる。

……まあ、ウィードは現状戦争が非常に起こりにくいので、本来であれば軍の立場は結構微妙になりかねないのだが、幸い、リリアーナの魔王大征伐や、タイキ君のところの馬鹿姫、ランクス鎮圧などで、軍の必要性が証明されているので、経費削減などの訴えはでていない。


「こんにちは。何か困りごとでしょうか?」


俺たちはそのまま門を通り過ぎると、門番の人がこちらに駆け寄ってきて、丁寧に対応してくれる。


「こんにちは。いや、ただ奥さんの迎えですよ。勤務で顔をだしているので」

「ああ、そうでしたか。ということは何度か来られていてわかるかもしれませんが、ロビーのほうでお待ちになっていてください。勝手に署内を歩き回られると問題ですので」

「はい。わかりました。ご丁寧にありがとうございます」


本当に丁寧な警官だな。

というか、このくそ暑い中、ここに立っていて、よくそんな笑顔ができるな。

これが、さわやかイケメンというやつか。

そういえば、婦警さんとかどれぐらいいるんだろうな?

俺がそんなことを考えつつ、門を通り過ぎて、いざ警察署に入ろうとすると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「はーい。全員整列!!」


ザッ!!


「よし。僕がいない間になまってたりはしてないね。今日はここまで。あとは通常業務に戻るように」

「「「はい!! ありがとうございました!!」」」


そこには、警官を引き連れた、婦警姿のリエルがいた。

ああ、警察の副署長だったんだから、制服は当然着るよな。

いままで、働いている場所で見たことなかったから、制服姿をみたことなかったんだな。

……これは仕事で着てるから、コスプレとはいわないよな。

なんだろう。すごく俺の心が、あれはコスプレでいいだろう!! って吠えている。


「「お疲れ様です。リエル副署長!!」」


門番の二人もビシッと敬礼して挨拶をする。


「うん。お疲れさま。なにか問題はなかった?」

「異常ありません」

「そっか。ってもう僕は副署長じゃないよ。デリーユと一緒の特務だからね。今はトーリが副署長で現署長の補佐なんだから。ちゃんと覚えないとだめだよ」

「はっ!! 申し訳ありませんでした!!」


ちゃんとリエルも仕事しているんだな。

今でも副署長って言われるってことはそれなりに人望があったんだろう。


「さーて、あとはトーリの書類整理を……って、ユキさん?」

「迎えにきた」

「あれ? 今日はいろいろ忙しいんじゃなかったっけ?」

「それだけど、日が照りすぎて、一部後日に回したよ」

「あはは。暑いもんね。で、さらにユキさんは両手に二人。さらに熱いね」


それは同意。

だが、口には出せない。


「これぐらいは平気だよ」

「……ん。愛は偉大なり」

「リーアもクリーナもその汗をどうにかしてから言おうね。見てるこっちが暑いよ。ま、さっさと中に入ろう。ちゃんと署内は冷房ついているからさ」


ということで、リエルの案内で、署内に入ったのだが……。


「リエル副署長……じゃなくて特務が連れている人たちは誰だ? 特にあの男」

「あー、お前つい1年前ぐらいに入ったんだっけな。あの人はユキさんだよ」

「誰だよ。ユキさんって?」

「……お前、再教育してこい。特務の旦那さん知らないとか、ウィード国民の常識しらないレベルだぞ」

「旦那!? ちょっとまて、リエル特務の旦那ってことは……」

「そう。セラリア女王陛下の旦那さんでもある。この国のお偉いさん」

「……マジで結婚してたのか」

「ま、ここ一年はどっちとも外国回りとか忙しかったからな。そう思っても仕方ないか」

「……新しい恋を探そう」

「……ま、頑張れ」


おう。本当に頑張ってくれ。

君の未来に幸あらんことを。

俺は当時というか、今でも、自分から恋を探すとか面倒な真似はしたくないけどな。

家でゲームしてる方が、レベルが上がってよっぽど楽しくて、時間の有効活用だとおもうわ。

……忙しすぎて、全然遊べてないけどな。


「というか、あの人。両手に美人侍らせて、さらに美人がガードしてないか?」

「……3人は知らんが、銀髪のツインテールの子は、確か、奥さんのはずだぞ」

「……羨ましい、妬ましい」

「それは同意」


人として正しい感情だとは思うが、俺に罪はないので許して。

きっと君にもいい人が見つかるから、多分……。


「やっほー。トーリ、戻ったよ」

「戻ったよ。じゃないわい。いきなり抜け出しおってからに。妾が書類整理に駆り出されたではないか」


そこには、トーリはおらず、デリーユが書類整理をしていた。


「あれ? トーリは?」

「トーリなら、署長を連れて、残りの挨拶周りじゃよ。って、なんでユキがおるんじゃ? ドレッサまでついておるなぞ珍しいのう。ああ、また喧嘩でもしたのか?」

「違うわよ」


ドレッサがぶすっとした顔で言う。


「どういうことだ?」

「ドレッサって勝気だから。結構、冒険者ギルドで喧嘩になることが多いんだ。ま、子供たちを庇ってだから、お咎めとかはないんだけどね」

「よく妾たちが保護者代わりで呼び出されるんじゃよ」

「お前なー」

「仕方ないじゃない。ウィードのお手伝いクエスト受けている子たちに、子供のお使いは帰れとかいうんだから」


あー、そういう手合いか。

命を張っている冒険やダンジョンの探索をしている連中から見れば、こういう子供の小銭稼ぎが気に入らないってやつもいる。


「だいたい、僕か、デリーユが治安維持でぶらぶらしてることが多いってミリーが知ってるからね。それで僕たちが保護者代わり」

「なるほど」

「で、それはいいとして、ユキは何用じゃ?」

「迎えに来た。ついでに、少し現場の話が聞きたくてな」

「現場の? ああ、例の件か」

「そういえば、それを調べてるんだったね。今日は冒険者ギルドいってきたんでしょう? どうだった?」

「そうだなー……」


そういうわけで、トーリはまだ戻っていないが、今日の成果を二人に話すことになった。

なにかしら、警察のほうでいい情報があればいいんだが。





ちゃんとリエルやデリーユもウィードで働いているという一面。

あと、ユキうらやましね。というわかりやすい図。


こういう日常の描写が嫌いな人もいるかもしれないけど、俺としては外せないので、勘弁ねがいますわ。

ただ主人公のたちの周りだけで物事が動いているわけではないって感じかな?


あと、28日に本編とは別に「簡易人物紹介」を最上部に挿入しましたが、ご覧になったでしょうか?

なぜか知らんがアクセスが倍ぐらいになって驚いたのよ。




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