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第402堀:新大陸の事後処理報告と本当の真実

新大陸の事後処理報告と本当の真実





Side:セラリア




「あー、疲れた」

「でも、ヒフィーさん綺麗でしたね」

「私達もあれ着ていたんですねー」

「ユキさんには感謝ですね。あんな綺麗な格好をさせてくれたんですから」


私達は結婚式の余韻を話しながら、執務室で今までのことを話し合っていた。


「はぁ。本当に無茶苦茶やってくれたわね」

「本当ですね」

「ま、お兄さんらしいですけどね」

「そうね。今回はユキさんらしくないと思っていたけど、最後は結局ね」


私たちお嫁さんズは、夫からの今回の顛末をまとめた報告書を見て、一息ついていた。

あの怒涛のエクス王都、ダンジョンの完全制圧からの、クイズ大会と結婚式をやって、2次会まで大騒ぎしてから、凡そ3日。

報告書をまとめた夫は執務室で爆睡してしまったので、リーア、ジェシカ、クリーナ、サマンサに部屋に送らせた。

護衛の奥さんがいると助かるわよね。


「ですが、これで私たちは新大陸に戦力を割かずに済みます。旦那様が今回のように無理することは無くなるでしょう」


キルエがお茶を入れながらそう言う。


「そうね。まさか、これで私たちの新大陸への手出しがほぼ終わりになる手を打つなんて思わなかったわ」

「旦那様は無茶苦茶ですから」

「まあ、言われれば納得なんですけどねー」

「私たちが全てを背負う必要はなかった。それだけの話ですけど、私は全部やらなければいけないと思っていました」


エリスの言葉に、全員が頷く。

言葉の通り、私たちが新大陸へ干渉することは、これから極端に減るのだ。

あのエクスの一件で全大国の繋がりができ、現地の神様やダンジョンマスターとも繋がりができた。

簡単に言えば、現地の人がいるのに、下手に部外者が手を出すべきではないという話になったのだ。

以下が大まかなまとめだ。


●新大陸は今後どうなるのか?

新大陸の魔力枯渇問題は、大国を率いるノーブルを頂点に調査研究をして、戦争などの問題が起こった場合、各国への調停も頼むことになった。

ノーブルたちは、技術的、知識的、現実的な問題から、あの行動を取らざるを得なかっただけ。

私たちの協力を得られて、正しい認識を得た結果、素直に協力してくれた。

今後、新大陸はノーブルたちが守っていくという認識になる。

無論、問題があればウィードというか、ユキは協力を惜しまない。

正直な話、これ以上、ユキが忙殺されるのはやめてほしかったし、ユキとしても仕事が減るので万々歳。

正義感とか使命感全開で、支え切れる仕事量じゃないしね。分担分担。


●ヒフィーたちの立場はどうなったのか?

国力乏しいヒフィー神聖国では、各国の調停役には不向きであり、ノーブルたちと協力しつつ、技術的なサポートを主に行っていくことになっている。

あと、新婚さんを盟主とか可哀想だし、ノーブルを盟主にすればヒフィーに罰を与えたという感じにもできるから。

とは言いつつ、新大陸随一の天才コメットはウィードに引きこもりをして研究をすることになる。

エクスのビンゾもウィードに来て研究することになっている。

つまり、ヒフィーとタイゾウは新婚2人でいちゃいちゃしてろって話ね。


●聖剣使いたちやピース、ポープリたちは?

ノーブルが盟主になることを承諾して、今後の活動のサポートを主に動くことになっている。

聖剣使いたちのほとんどは各国の動向調査、戦争の気配とか、犯罪とか色々。本当の意味で世界の為に働きだしたといえるだろう。一部はウィードで新しい人生というのもある。

ピースは、昔と同じように、コメットの護衛として働くことになる。

ポープリとララはランサー魔術学府で、コメットたちとは違う視点で魔力枯渇の研究を始めたり、魔力集積による魔物の監視、エクス王国の各国への口利きといった感じでクソ忙しい。


●エクスが暗躍していたという、各国の不信感はどう払拭するのか?

単純明快。ウィードが今までやってきた、同じ外交戦法を使う。

まあ、エクス国内のダンジョンを使って暗躍している謎組織が存在した。というでっち上げを作って、ゲートなどの超技術を無償提供することで、国内に謎の組織がいたことを謝罪する姿勢をとり、物流を活発化、経済の発展を各国に持ちかける予定。

暗躍の件でいい顔はされないが、ゲートによる経済の活発化は見逃せないし、情報のやり取り、各国の行き来の簡略化など莫大な利益を見逃すことは考えにくい。

というか、エクス王国以外は全部繋がりがあるので、どうとでもなる。

ジルバ、エナーリアではなぜか王位継承権はないが、王族認定。

ローデイ、アグウストはお嫁さんの生まれ故郷で公爵家、宮廷魔術師という繋がり。

ホワイトフォレストに至ってはコメットを神と崇める集団なので問題ない。

クリーナとサマンサの生まれの国は私たちの関係で多少優遇するつもり。


●ホワイトフォレストで持ち去られたコアはどうなった?

それが、サクリ確保につながった。

エクス到着後、すぐにサクリに持って行って、それを監視していた霧華の部下を通して、スラきちさんの部隊に連絡が行って、コアの部屋とダンジョンマスターが特定された。


●一応領土として認められたベータンはどうするの?

領主のホーストが優秀なので、其方に代官を任せたまま。

ウィードでの技術や生産品を新大陸で試すには良い土壌になっている。

無論、何かあればすぐに対応はする。


●ジルバとエナーリアに出向しているスティーブやミノちゃんは今後どうするの?

そのまま繋ぎをしてもらう。いざという時、口出しできる立場がありがたい。

仕事は多いけど、その分給料もいいから問題無し。


●最初にいた亜人の村はどうなるのか?

特に何も、ベータンとの交流が増えてきたぐらい。

ああ、モーブとトーリたちが入れ替わった後に反乱があったけど、それは即座に鎮圧。

謎の組織が暗躍していたという証言、証拠に加える予定になっているので好都合。

この、謎組織は、今後の仮想敵として、扱われることになるわ。


●王都内で待機していたモーブたちは?

特に何事もなく、任務を終えて帰還。

ロゼッタ傭兵団や商人のトーネコ、行きつけのお店の看板娘とは仲良くなっているので、その伝手で情報は得られるだろう。

作戦当日はいつでも逃げられるように身構えていたみたいだが、それは無駄に終わり、色々な意味でモーブたちの予想を裏切った結果といえなくもない。



「報告書を見る限り、もう私たちができるのは、各国への橋渡しぐらいよね」

「それも何か問題があればぐらいですね」

「ですねー。基本的にはノーブルさんが頑張ってくれますし」

「仲介役としては、ポープリさんたちがいますから大丈夫でしょう。と、そう言えば、エオイドとアマンダはどうなるのですか?」

「ああ、それはポープリの判断だから記載はなかったけど、いずれちゃんと勉強して色々な意味で信用できるようになったら話して、こちらに引き込むそうよ。今はまだ駄目だから、そこら辺は内緒でね」

「わかりました」


エリスは未だにエクス王都にいるって設定だしね。

本日はこういった会議の為にデリーユとタイキを残してエリスがこっちに戻ってきている。

他の皆は特に監視もないから、後片付けとか調整に戻ってきて、忙しく動き回っている。


「しかし、長いといえば長かったのでしょうか?」


エリスがそう言いながら、報告書を持っていう。

紙の厚さはそれなりにある。これはそれだけこの新大陸で活動していたという意味だ。


「そうね。確か、私たちの妊娠が発覚したころだったかしら?」

「はい。旦那様の言いつけでここにいる私たちは全員お留守番でしたから」

「ああ、そう言われるとそうですね。セラリア、ルルア、エリス、キルエ、最後にラッツこと私。見事に妊娠しているメンバーですね。デリーユだけですね。この場にいないのは」

「ジェシカやクリーナ、サマンサもいませんでしたからね。ユキさんの護衛に四苦八苦した記憶があります」


ああ、そうそう。

リーアを四六時中張り付かせてなんとかしていたっけ?


「で、新大陸の探索の最中、子供たちは産まれて、歳も1歳になったし。2年ぐらいかしら?」

「うーん。改めて聞くと凄い話ですよね。旦那様は2年で新大陸の6大国全てとの繋ぎをして、魔力枯渇に対しての方針も決めてしまいました」

「そう言われると、物凄い早いですね。というか非常識ですねー。ま、お兄さんらしいのですが」

「ユキさんですから」


夫だからで納得できるのだから、私たちも十分に染まって来たわね。

ウィードの建国だって1年そこらだし、まあ、こんなもんだろうって思ってしまえる。

普通はあり得ないのにね。


「で、当分はのんびりするんですか?」


ラッツがそう聞いてくる。


「ええ。そのつもりよ。流石に新大陸とウィードの掛け持ちはかなりきつかったから、休憩しても何も問題ないでしょう。というか、キルエやサーサリ、部下の報告から、結構、聞き捨てならない噂もあるしね」

「はい。ウィードの在り方に不満を持っている諸外国が色々暗躍しているようですし、今後はそちらの対策ですね」

「まあ、分かりやすいことに、ウィードの代表たちへワイロとか脅しとか、色々なんですけど、残念ながら、お兄さんがいますからねー。全部私たちは蹴っていますから、ご立腹なのも多数いるようですね」

「セラリアやルルア、シェーラ、デリーユ以外は平民って足元を見られていますからね。お貴族様はいうことを聞かない私たちが気に食わないらしいですよ」

「はぁ……」


私はため息をつく。

やっぱり他国の介入があるか。


「あ、でもごく一部ですよ? 今まで何度か吊し上げとかしていますし。減ってはいるんです」

「はい。ですが、それに伴い、反発も高まっているようですね。私たちが代表の座から降りて、今の代表たちにまた性懲りもなく、アプローチをかけている連中もいたりはします。まあ、当然です。ウィードの影響力はそれほどあるということですから」

「……今の代表がその甘言に踊らされる可能性は?」

「うーん。絶対とは言えませんがほとんどないと思いますよ?」

「ですね。今まで一緒に仕事をしていた仲ですから、信頼の置ける人物たちです。というか、心配しだしたらキリがないですし、セラリアやラビリスが書類に不備がないか、などを確認しますし、そこら辺は愚衆政治にならないように監視、管理を厳しくしろとユキさんは指示していますから」 

「……そうね。いくら民に広く知識があろうが、実践しないことには経験にはならないものね。そこら辺は私やルルア、元王族、貴族がしっかりサポートする必要があるってことね。夫から聞いてはいたけど、大変ね。何事も初めてをやると前代未聞になるんだから」

「ですね。大変ですけど、やればやるほど、経験や知識を得て、次に生かせる。そう旦那様は言っていますし、私もそう思います」

「まあね。でも、この国の女王としては、大変だわ。みんなと違って任期とかないから」


私は恐らく、サクラがちゃんと政務ができるようになるまでは、ずーっと女王のままだろう。

いくら歳をとらないとはいえ、皆が羨ましい。


「ま、仕事が無い分。私の手伝いをしてもらうわよ? 代表でなくとも、夫の妻であることはかわりないのだから」

「はい。微力ながらお手伝いさせてもらいます」

「勿論ですよー」

「当然です」


皆の協力は得られるし、各代表という強みはないが、仕事が減ったぶん私のサポートに回れる。

良いこともあるし、悪いこともあるという話ね。


「と、そう言えば、話は変わるけど、ミリーのアレ、知っているかしら?」


私は代表ということで、現在も冒険者ギルドの代表を続けているミリーのあることを思い出して、それを皆に聞いてみた。


「はい。知っていますよ」


ルルアは知っていて当然よね。なにせウィードでは医者でリリーシュ様と病院の切り盛りしているし。


「私も知っていますよー。ミリーとはよくお酒ものみますし、直接聞いていますよ」


ラッツはミリーから直接聞いたのね。私も同じだったわ。あと、お酒は減らすように言っておこう。


「無論です。だってミリー大喜びしていましたから」


ああ、あの時、一緒に健康診断受けていたのね。


「知らないのは、アスリン様、フィーリア様、それと旦那様ぐらいでしょう」


キルエが御代わりのお茶を入れながらそう言ってくる。


「まあ、そうよね。夫には黙っててって言ったもの。ミリーの妊娠」


そう、ミリーはめでたく妊娠していた。

妊娠が発覚したのは、エクス王都への作戦を展開していた初期の頃。

夫が知ったら無理をするに決まっているから、ばれないようにといわれて、黙っていたのだ。

皆も同じように説得されていたみたいね。


「気持ちは分かります。旦那様は私たちの為なら、簡単に無理をしますから」

「それには同意します。お兄さんは私たちが大好きすぎますからね」

「そこだけは嬉しくもあり少し不満ですね。ユキさんの健康が第一なのに……」

「困るわよね。夫が私たちを大事にしてくれるのは分かるけど、それで一国とかを一瞬で畳み掛けるんだか……ら?」


私は自分でその言葉に違和感を覚えた。

皆も同じようだ。

私の顔を見て目を真ん丸にしている。

一瞬で畳み掛けたわよね? エクスは文字通り一瞬で終わった感じよね?

そう思っていると、ミリーからコールが届いた。

ミリーは妊娠がばれないように、冒険者ギルドに赴いて仕事をしているふりをしてるのだが……。



「ミリーどうしたの?」

『ユキさんにばれてたみたい』


やっぱりか。


『今、ユキさんが来て、妊娠のことありがとうって、体は大丈夫かって……。ぐすっ。すごく、嬉しかった……』

「そう。よかったわね」


やっぱり、夫の為とはいえ、妊娠のことを夫に言えないとか苦痛以外の何物でもないから。


「って、ちょっと待ちなさい!? 夫は3徹して、ぶっ倒れたところを、さっきリーアたちに布団に運ばせたのよ!?」

『え!? そ、それ本当!? だって、今から私の好きな晩御飯作るからって、出ていったわよ!? そういえば、リーアたちもいなかったわ。お、追わないと!?』

「ちょっと待ちなさい!! ミリーは妊娠してるでしょう。無理な運動はしないように。私たちが追うから」

『あ、うん。お願い』

「任せなさい」


さて、皆と顔を見合わせ、頷き、同時に席を立つ。



「皆、無理する夫を捕まえに行くわよ」

「「「はい」」」



因みに、リーアたちも同じように3徹していたので、寝ていた隙をついて逃げられたみたい。

本当に、困った夫よね?



もうわかりきっているけど、エクスが一瞬で陥落した理由は、ミリーの為。

夫にとって家族は一番大事なモノ。愛は偉大ね。

これにて、一旦新大陸のお話は終わりです。

新大陸での担当が生きていたならば、もうユキたちの出番はないのです。

情報交換や協力は惜しみませんが、大部分は担当達がやっていくべきという至極当然な話。

物語にあった通り、各国への伝手などから、ごり押しで各国へのゲート繋ぎはできるでしょうから、更に安定していって、なにかを起こしたい人物たちは暗躍ほうが主になるでしょう。

今のウィードのように。


というわけで、今後はウィードにちょっかいを出してくる、連合国以外の国のお話になります。

ゲートに反対で設営を頼まなかったところですね。


あと、御祝儀の件、色々なご意見ありがとうございました。

まあ、やっぱり友人だから1万~3万ですな。

友人スピーチも頼まれているから、非常に胃に悪いですが、頑張ってみますわ。



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