落とし穴64堀:仮説 召喚条件、およびアロウリトの傾向について
仮説 召喚条件、およびアロウリトの傾向について
Side:ユキ
先日は、新作のドラ○エのことで頭一杯だったけど。
今思えば、この前適当に発言した、召喚の話は結構、考慮する余地があるのではないかと思って、ここにまとめようと思う。
さて、まず、召喚という事柄について考えてみよう。
召喚とは、人を呼び出す事。上位者が目下の物を呼び寄せる。という、意味があり、この時点で、上下のついた関係があるということ。
つまり、基本的に召喚される側というのは、呼ぶ方にとっては、目下、格下という認識があるということ。
まあ、物語では大体、力を感じて、最初から主従を受け入れたうえで呼ばれるというのが当然である。という常識があったりする。
だから、王や、王女、召喚士など、呼び出す側が、呼び出した側は従うべしという態度であるのは至極当然ともいえる。
ということは、基本的に、呼ばれて礼を尽くされ、歓待される勇者という人物の方が召喚される側では珍しいということになる。
さて、召喚の言葉が持つ意味は分かった。
ならば、次はなぜ異世界より、召喚をするという、常識的に考えても人を誘拐するという愚行に出るのかを考えよう。
実際の所、呼び出す側は人を召喚対象としている時点で、誘拐という罪であることは理解しているのだ。いや、人でなくてもか。相応の知識と理性、社会性があればそれらは、誘拐と判断しなんらかの行動があるだろう。
だからこそ、異世界であるのだ。
例えば、現在の地球で各国の人間を誘拐したことがある某国はかなりの外交圧力を受けているし、心証もよろしくない。
ましてや、人の手に負えない、ドラゴンなどがいる異世界で、召喚域を自らの世界のみとした場合、自国の手に余る、直接被害がでかねない、他国の王族や、怪物を呼び寄せる可能性があるのだ。
例え、他国の王族が、召喚に応じ、友好的であっても対外的にはどう見ても要人の誘拐であり、国としては絶対になあなあで済ませてよいことではない。
つまり、召喚をするのであれば、自分や関係各所に迷惑が掛からないところから呼び出さなければならないという、条件が生まれる。
好き勝手、自由に相手を選んで召喚できるのであれば、勇者ではなく、敵の将軍とか、敵の有力者をかたっぱしから呼び出して、万全の状態で倒してしまえばいいってことになるからな。
だから、ある程度しか条件を絞れないとなれば、この自分の世界から呼び出すのは避けた方がいい。なので、異世界からという条件が当たり前につくのだ。
さらに細かく言うのであれば、セラリアが言ったように、その異世界がこちらに干渉できる能力、技術が無いことが条件だ。
そうしないと、適当に理由をつけて攻めてくるだろう。
自国民が攫われているとわかったら、大義名分のもと、堂々と正義を掲げて動けるから。
これは地球も同じだと思う。
地球が異世界という、数多資源の宝庫と繋がるなら、これ以上ないぐらいの、干渉理由だ。
地球のどこの国とかは関係ない。
どこかの国の人が誘拐されているという事実があれば、同じ地球に住む人として許しがたいと言えばいいのだ。
まあ、その入り口はどこかの国限定で開くのであれば利権の関係で、内輪揉めだろうけどな。
これで、異世界という場所から人を連れてくる理由は分かったが、メリットとしてはまだ薄い。
更に条件付けが必要となる。
今のままでは「意思疎通ができる人」「向こう側から干渉できない異世界」これだけでは、国や召喚者が求めるモノの条件が含まれていない。
これらは全て、前提というやつである。これを決めておかないと話にならない。
つまり、次からが、呼び出す側にとっての希望の条件となる。
まあ、用途によりけりだが、単純に多いのは「強さ」だろう。
なぜかというと、文明レベルの低い所での絶対的な基準であるからだ。
知識もなくはないが、文明レベルの低い所が呼ぶのだから、自分たちより進んだ文明というのは想像できないのだ。
これは、逆の意味でもあり、進んだ文明の所が召喚技術を持っていても、召喚することはないのだ。
だって、どう言い訳をしようが誘拐である。
地球レベルの文明を持っている所では、どこをどうしても非難の対象であり、それを無差別に行える技術ができたということは、非常に恥さらしである。
まあ、悪いことに利用するというのも考えるが、前述にもあったが、それは個人を指定できればであり、下手をすれば国家間や星間戦争の引き金になりかねないことは、想像に難くないだろう。
一定以上の文明に至れば、自分たち以上の技術というのがあっても不思議ではないと判断できるが、文明レベルが低いと、自分たち以上の文明、技術というのは想像できないのだ。下地自体がないのだから。
なお、偶発的な事故などは今回の話に含まない。
というわけで「強さ」という条件がきて、知識なんてそこまで変わらないだろうという認識で条件に入ることは低い。
知恵はありすぎると呼び出した本人も脅かす可能性もあるからな。
なら、他には「こちらのいうことを聞いてくれる。願いをかなえてくれる」という条件になる。
言い方を変えれば「何でもいうことを聞く」である。自分にとっての手足、兵隊、部下が欲しいのだ。
別の言い方をすれば「深く考えない」「単純」「平和的な思考」といってもいいだろう。
他の細かいことは色々あれど、大まかな、召喚するときに付けるべき条件であろう。
「意思疎通ができる人」「向こう側から干渉できない異世界」「強さ」又は「能力」「何でもいうことを聞く」
以上が、恐らくは文明レベルの低い世界が召喚に付けている条件である。
まあ、「強さ」については「能力」でもいいが、これは知識も他のモノも含まれるので、あまりよろしくない。
タイキ君は多分「能力」だったんだろうな。
さて、これらを踏まえて、どのような人物が相応しいか考えてみよう。
「意思疎通ができる」
これはお約束で、異世界へ移動する際に言葉が分かるようになるというおまけもあるが、そう言う意味ではない。
文字通り、言葉が分からなくても意思の疎通ができるかである。
言葉なんかなくてもボディランゲージでもいいのだから、つまりは一定以上の「知性」「理性」を持つということである。
「向こう側から干渉できない異世界」
これは、前述でかなり説明したので、簡略して書く。
高すぎる文明、技術があるところからは人を呼ばない。本人たちは意識していないかもしれないが、端的に言えばこんな感じである。
「強さ」「能力」
これらが無ければ呼び出した召喚者の望みは果たせない。
しかし、「強さ」「能力」はあくまでも、呼び出す側の基準、望みに合わせて左右されるので、明確に記すことはできない。
しかも、異世界から呼び出す者は、何らかの補正がかかる可能性もあり、元の世界での優劣など判断基準にならないだろう。
これらは、世界に等階級などをつけて、存在する世界そのものに力の基準があり、下位の世界から上位の世界のモノを引っ張ってくれば……などという説があるが、まあ今回の件には直接関係がないので省く。
「なんでも言うことを聞く」
最後にこれである。自分たちの言うことを聞かないのであれば、呼び出した意味がないからであり、重要な条件の一つである。
しかし、なんでも言うことを聞くという人物はどのような人なのかと問われると、それは人によりけりであり、「お人よし」「深くは考えない」などと、良い解釈と悪い解釈どちらも存在し、報酬の有無にもよりけりなので、呼び出す側のイメージに合わせていろいろ変わるのだろう。
さて、これらの条件を満たした者が呼び出されるわけだが、まあ、例外は省くとして、これだけでは「日本人」が呼び出される確率は決して高くはないだろう。
これからの、考察点はなぜ「日本人」が呼び出されるのか?という点である。
まあ、これはほぼ考察することもないのだが、一応説明する。
ドラク○の一件で「勇者」という条件が「日本人」に絞っているからだ。
特別な「勇者」という意味を知っており、前述にあった条件を満たしているとなると「日本人の学生」が多いわけだ。
世の中、世知辛い物で、勇者という者へ純粋に憧れを抱ける者は日本人であっても少ない。
言い方が悪いが「勇者」に憧れているやつは、現実を見ていないアホなのである。
全員が現実を見ていないとは言わない。その矛盾を抱えて、そのあり方に生涯をかけて「正義の味方」であり続けた人物も存在する。
そう「正義の味方」と「勇者」はある意味同じである。
この細かい説明はまた長くなるので割愛するが、どっちも、大人になるにつれ、その矛盾や難しさ、現実を知りあきらめるのだ。
ということで、「勇者」の負の側面を知っている者は、勇者と呼ばれて素直に喜ぶことはない。
それを考えない、愚か者が呼ばれるわけだ。
まあ、愚か者はその使われている事実にすら気が付かずに、自分の都合のいいように考えるから無縁の話ではあるだろうが。
更に「勇者」と呼ばれるか、名乗る「初めの人物」が呼ばれた経緯は、偶然と言うしかない。
鶏が先か卵が先かという話になってしまうからだ。
ここで話しても推測でしかないのだ。
勿論、「勇者」として呼ばれる「日本人」の話も推測でしかないが、今のところ状況による証明で事実に近い見解ではないと思っている。
以上が、アロウリトに「勇者」という名目で呼ばれる「日本人」が多い理由、推測である。
最後に、ドラク○の件で「自己責任」と切って捨てたわけだが、その理由は決して、ドラク○がさっさとやりたいという理由ではなく、ちゃんとした、考えの下、思考するに当たらないとして、切って捨てたのだ。
そう、深い思考の果ての答えなのだ。俺もタイキ君も。
それを説明したいと思う。
そもそも、人が言う「正しさ」というのは自然界に存在しない。
いや「善悪」というものが存在はしない。
この「善悪」は人が社会を作って生きる上で必要なだけである。
ある種の暴論ではあるが、人の社会で生きないのであれば「善悪」は必要ない。
「生」と「死」があるだけだ。
さて、これでわかると思うが、「善」も「悪」も人が用意した物に過ぎない。
つまり、その社会で生きる人たちの意思が反映されて「善」と「悪」が決まっているのだ。
これは歴史を見れば簡単にわかるだろう。
地球という社会では既に忌むべきあり方である「奴隷」も、遥か昔、ではなく、100年そこら前までは普通に存在していたのだ。
これは社会にとって「奴隷」を是としており、社会的に「善」であっただけだ。
しかし、これは現代にとって「悪」とも言うべき、忌むべき事柄として扱われているのは周知の事実である。
この話は詳しく話すと長くなるのである程度省略して、人権や、社会構造、その他のいろいろな要素が絡まって、覆されたわけで、ただ間違っている「悪」であるから正されたわけではないと言っておこう。
さて、難しい話をしたと思うが、これらは日本人の学生であるなら、中学どころか、小学校でも習う話だ。
歴史という知識として。これをどうとらえて、考えるかは個人次第だ。
既に、一般的な教育を受けているのであれば、考えられる下地は与えられている。
人の社会による「善」「悪」など、その時の価値観できまり、それに不満があれば革命などの反発でコロコロ入れ替わるモノだ。
以上の理由により、俺は勇者だから正しいんだ!! などという日本人が居れば、そもそも面汚しである。
諸事情により、タイキ君みたいに愚者を演じなければならないというのであれば仕方ないが、それを選び取ったのは他の誰でもない、本人である。
文字通り自己責任だ。
ただ、奴隷として召喚され従うしかない状況ならともかく、「勇者」という特別な存在として呼ばれた奴にほかの選択肢を手に取る機会がないわけがない。
こちらとしても、対峙すれば温情措置による勧告などはするが、一度だけだ。
自分で選んだ道に責任を持て。それだけの話。
というわけで、相手が日本人でもためらうことはないので、そこら辺の心配はいらない。
side:クリーナ
ユキがまとめた召喚に関する報告を読んで思った。
「……ユキがいた世界は怖い所」
「……ですわね」
隣で一緒に読んでいたサマンサも同じような意見らしい。
「このような話を、10そこらの子供が学習しているということが脅威ですわ」
「……しかも、学習の一部にしか過ぎない」
これに加えて、数学、科学、と細分化すると果てしない。
「つまり、ユキ様がいた世界にとってはこれが当たり前」
「……ユキの世界ではこれを当然として、さらに研鑽がいる。ごく一部がこの世界にとって使いやすいだけで、ほかは全てこの世界にとってはけた違いの知恵者ということになる。これは、セラリアの言う通り、召喚系に関する取り締まりが非常に大事」
「そうですわね。セラリア様はユキ様が同郷の相手と戦うことを避けるためでしたが、恐らくは……」
「この報告書には抜けているところがある。おそらくはユキがわざと記していない。呼び出される日本人が全て愚者か協力者の二択になっている」
「ユキ様やタイキ様、そしてタイゾウ様にとっての一番の難敵となり得るのは、自ら考え、進んで敵対する者」
「……そう。彼らと同じ、知識や思考を持つ、日本人に他ならない」
「恐らくは、この報告を読んで、私達が日本人に対する躊躇いを覚えることを察しているのでしょう」
「……だと思う。だからユキは記している。敵となるなら、容赦はしない。と」
私達が躊躇い致命的になる前に、さっさと殺すと書いてあるのだ。
……一度の勧告。
ユキにとっては少なすぎる温情措置だ。
ポープリ学長は何度も警告された。ヒフィーも同じ。しかし、ユキは相手が日本人の場合は一度と明確に記してある。
これは、ユキがマズイと思ったら、即座にやるということだ。
「私達はこの覚悟に口を出すべきなのでしょうか?」
「……わからない。でも、ユキはきっと苦しむ。それを放っておくわけにはいかない。私達は奥さんだから」
「そうですわね。それが愛というものですわよね!!」
「うん。そうだと思う」
明確な答えなどない、人によって善悪は変わる。
ユキの言う通りだ。
だから、私達はユキの側にいようと思う。
……それが私達の、私の気持ちだから。
前回、ちょっと詳しくというか、大事な話じゃね?
って言われたので、深く書いてみました。
自分で書いてみておもったけど、色々フラグになりそうだよねー。
あと、ドラクエ面白いです。
最後に、4巻明日発売のはずだけど、もう並んで買ってる人もいるみたいね。
感想読んでびっくりさ。
おいらは、明日の仕事帰りにでも買ってくるよ。
あ、でオフ会みたいなものは東京でって話があるけど、自分はまったくそこら辺の地理とかないから、代わりというわけではないけど、予約とか、案内とか幹事を手伝ってくれる人がいるべ。
だれかいる?
ではではー