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第348堀:内通者

内通者





Side:ユキ






「貴様ら、何をしている!!」


ホワイトフォレストの王様がそう怒鳴る先には、聖剣を収めていた箱に手を伸ばす、狐人族、エルフ、兎人族がいた。


「ははっ!! これで、この大陸から、人を排除できる!!」

「王よ!! あなたの人との協和にはうんざりだ!! もう400年近くも停滞したまま!! 我ら亜人は日々追いやられるのみ!!」

「これからは、私たちがこの国を導く!!」


なんか、急展開に見えるが、昨日の内に既にダンジョン化していて、警戒網を張っていたから、特に慌ててはいないし、驚くべき展開でもない。

いや、予定より行動が早かったけどな。

門の救援要請には応えないようにと言ってたのに、勝手に向かわせた挙句、たどり着いてないって、トーリたちからは連絡が来たし、こりゃ内通者がいるかなーと思ってたら案の定。

この3人、全員ホワイトフォレストの重臣らしい。

なんとまぁ、と言いたいが、どこにも反発する者はいる。

というか、この400年、よく押さえられてたものだ。


「何を馬鹿なことを!! あなたたちは男です!! 聖剣が使えるわけはない!! さあ、こちらに投降しなさい!!」


そう言って、兵を指揮しているのは、宰相ヒーナさんの娘のトモリ。

カーヤに似ているのだが、性格はクソ真面目で母親譲りだろう。

一部の隙も無い包囲をしている。


「はははっ!! そのような事、百も承知よ!! 馬鹿な小娘が!!」

「だから使えるようにするのだよ!! こうしてな!!」

「なに!?」


そういうと、三人はすかさず聖剣の箱を開けて、懐から、なにやら宝石を取り出し、それを剣に押し当てると……。


バリバリ……!!


そんな電気がショートしたような音を立てて、閃光が迸る。

あー、目が痛い。

サングラス持ってくればよかった。

しまったな、相手が閃光弾みたいなのを使ってくる可能性を考慮してなかった。

専用のゴーグルの支給とか考えるかね?

やられることはないだろうけど、逃がす可能性が多少はある。

しかし、そんな考えは目の前の3人にはなく、閃光が収まり、俺たちの目がよく見えるまで待っていたようだ。


「ふははは!! よく見るといい!!」

「我らが、この国の支配者に相応しい所を!!」

「この、おっと、聖剣が我らにひれ伏すことを!!」


あ、お前等も閃光で目がやられてたのな。

足元がふらふらしてるし、こっちに剣を向けているようで、実はちょっと方向がずれている。

だめじゃん。

そうして俺が呆れている内に、馬鹿たちは剣に魔力を注ぎ込み、刀身を中心に、炎、水、岩と渦を巻く。


「ふははは!! どうだ!!」

「我らこそが、聖剣を受け継ぎし者!!」

「さあ、どちらがこの国の主に相応しいかわかっただろう!! 兵たちよ!! そこの偽の王と、聖剣使いの血縁を名乗る不届き者たちを捕らえよ!!」


そうやって、私たちこそが、正当な聖剣使いの子孫みたいに言っているが、兵士たちは微動だにしない。


「ええい!! なぜ私たちの命令に従わぬ!!」

「いきなり、無断で聖域に侵入した馬鹿どもに従う奴がいるものか。そもそも、お前たちが不満を持って、裏で色々やっているのは私たちも知っている。こうやって行動に移したのは失敗だったな」

「陛下の言う通り、あなたたちの手の者は、既に城内で捕縛しています。武器の不法所持などでですね。もうちょっと、考えるべきでしたね」


最初からこいつらは、王様、宰相共に睨んでいたらしく、行動を封じていた。

……謀反を起こすにも、もうちょっと考えない物かね?

あ、魔剣の精神制御のせいで、細かく考えられないのか?

確かに、命令を遵守し、士気高く、引かぬというのは、軍隊としては非常に強みはあるが、こういう手の読み合いには向かねーな。


「ふん、使えぬ奴らめ。まあいい。私たちの穏便に済ませようとの配慮だったが……」

「聖剣の錆にしてくれるわ!!」

「伝説を継ぐ者に逆らったことを後悔するといい!!」


ああ、聖剣が使えるって大前提があったから、ごり押しでOKって思ったのか。

でも残念。それ以上魔力を込めると……。


「「「あばばばばば……」」」


3人ともがくがくし始めた。

うん。感電ってのは漫画表現だと面白く、分かりやすいけど、実際はこんなもんだよな。

おっさん3人がびくびく痙攣してるだけだ。

絵的に汚い。

これがうちの嫁さんたちなら、エロく感じるんだろうが……。


ごらんの通り、この聖剣は偽物である。

聖剣が入っていた箱には間違いないし、ちゃんと本物が中に入っていた…昨日までは。今彼らが握っているのは聖剣のレプリカトラップバージョン。昨日、急遽用意した物ではあるが、そこは我がウィードが誇る魔術鍛冶師と、聖剣を作ったご本人が組めば、余裕で用意できるものである。

昨日の夜、既にホワイトフォレストの城と城下はダンジョン化してしまったので、さっさと、聖剣の確認に行って、物のついで、コメットの研究所だったダンジョン一角の全ての危険物は偽物と入れ替えた方が安全だろうという結論になった。

王様や宰相さんに反対されるかと思っていたが、そもそもコメットの物なのだし、偽物も用意して、別ルートから騒ぎを起こさずに入れ替えるのなら特に問題は無いと言っていたのでスムーズに、中身の入れ替えができた。

で、現在に至るというわけだ。

なお、3人が持った聖剣が最初使える風に見せかけたのは、偽物であれ、本物のシステムを持っている聖剣をどのような方向で使うつもりなのかを見たかったからだ。

ただ盗むだけなら捕まえるだけだし、ここで使おうとするなら、どういうプロセスをもって聖剣の個別認識などを破るのかと思っていたのだが……。

どうやら、ハックツールでも持っていたのか、それを使って個別認識システムを落としたように見える。

発光していたところから、ハックというより、無理に電圧を流してその機能だけを壊しているかんじだから、厳密にいえばショートさせている感じか?

ま、詳しいことは後で調べるとして、今はこの馬鹿どもを片付け……。


「やあやあ、遅くなってごめんよ。といっても、私の手助けは無用みたいだけど」

「最初から準備万端だったのですね」

「……相変わらず、どういう頭の構造してんのよ。あんた」


観光からコメットたちが戻ったようだ。


『こちらトーリです。門の鎮圧終わりました。魔剣と捕虜を確保しましたので持っていきます』

『こちら、ラッツ。リエルと共にダンジョン範囲外の探索したところ、魔剣とそれなりの兵を集めた場所を見つけて、襲撃、占拠しました。こっちには人員回してくれるとありがたいです』

「了解。ラッツの方はしばし待っててくれ、王様たちに言って援軍を向かわせる。休日にごめんな」

『大丈夫です』

『ええ。お兄さんの為ならば。あ、でも寒いんで後で暖めてくださいな』

『あ、わ、私も!!』

「わかったよ。あ、まだ終わってない可能性もあるから、警戒はしててくれよ」

『『はい』』


嫁さんたちの方も問題は片付けたみたいだな。

というか、ラッツとリエルが外の敵対勢力を見つけるとは思わなかった。

なるほどね、何でヒフィーたちやエクスの魔剣が城下に無いか不思議だったが、持ち込み検査が厳しくて、外に隠さざるをえなかったわけか。


「お、お待ちください!! コメット様!! カーヤ様!! クロウディア様!! そ、そんなに前に出ては、賊が!!」


で、コメットたちを追いかけるように、もりもりマッチョのエルフ、ストング将軍が軍服をはち切れんばかりに、ぴっちりさせて走ってきた。

なんで、サイズギリギリなんだよ?

なに? 服を「はぁーーー!!」って破るつもり?


「ああ、ストング君すまないね。でも、大丈夫だよ。もう終わっているみたいだ」

「そのようです。心配をかけました」

「あのね。ストングに心配されるほど弱くはないわよ?」

「そうですか、それは何よりです。しかし、カーヤ様。皆様が私よりお強いのは百も承知です。ですが、私は貴女様たちの迎えと警護を任されているのです、兵として、あの頃の時とは違うと見せる場面をいただければと思います」

「わかったわよ。私だってストングを信用していないわけじゃないわ。その筋肉みれば、どれだけ訓練したか想像つかないし……」


うん。

美形で細身のエルフが逆三角の見事なモリモリ肉体になるまで鍛えるって、どうやるんだろうな?


「しかし、見たところ、本命の賊は内通者のようだね。王様も宰相も大変だね」

「いえ。我が身の不徳を、このようなことで見せることになってしまい申し訳ありません」

「コメット様が築いてくださった、この国にこのような者を蔓延らせたのは私たちの落ち度です。いかようにでも処罰を」


そう言って、コメットに向かって罪人のように膝を折る。


「はいはーい!! さっさと立つ。すでにここは君たちの国だ。私がどうこう口を挟むことでもなし、罰することもない。私はここの手助けをほんの少ししただけだ。さっきの言葉は文字通り大変だねって意味でそれ以上の意味はないよ」

「はっ。コメット様の寛大な御心に感謝いたします」

「ありがとうございます!!」

「感謝いたします!! コメット様!!」


なんか王様と宰相、さらにストング将軍も混ざって膝をついている。


「……めんどいわー」


コメットがそう呟く。

その気持ちはわからんでもない。

コメットや俺などはある種の職人気質に近い。

だから、礼儀などは必要最低限でいいし、相手にそれを求めたりはしない。

だって、その分手間がかかるから。

今みたいに。


「あ、あの、陛下、宰相、将軍、コメット様もお困りのようですし、罪人も連行しないといけませんので……」


トモリちゃんだけはコメットの業績を耳でしか聞いていないためか、3人のように、絶対服従、神を崇めるという感じではない。

で、そんな時、突如としてダンジョンの灯りが消え、真っ暗になる。


「な、なんですか!?」

「敵!?」


クロウディアとカーヤの慌てた声が暗闇から聞こえる。

他の兵士もガチャガチャ音がなっているから、驚いているのだろう。


「エリス」

「はい。ライト」


俺と一緒にいたエリスに周りを照らしてもらう。

無論、リーアとジェシカ、クリーナ、サマンサはがっちり周りを固めている。

あ、因みに、サマンサの姉のルノウさんは万が一のために、すぐに脱出できるよう待機してもらっている。


「ふむ? 特に何も無いようだね。 ……となると」


コメットが俺に目配せをして、ダンジョンMAPを同時に開き、見る場所は……。


「「ダンジョンコアがない」」

「なっ!?」

「そ、そんな!!」

「だ、大至急、奪還を!!」

「はっ、はい!! 直ちに賊を追え!!」


ホワイトフォレストの皆さま方の顔はまさに顔面蒼白。

そりゃ、国の維持に必要なダンジョンコアを盗まれるのは一大事だ。


「ああ、大丈夫だよ。すぐに切り替わるから」

「切り替わる?」

「ええ。とりあえず、盗られると不味いものは全て本物に似たダミーに切り替えています。それは話しましたよね?」

「た、確かに。でも、ダンジョンコアもすり替えておいたのですね?く、国に影響は?」

「ああ。そこは大丈夫です。……ほら」


俺が話している内に、ダンジョン内の灯りがもとに戻る。

しかし、照明をダンジョンコアに頼っているのは問題だな。

さっきみたいに真っ暗になると何もできない。

あとで改善方法を話し合う必要があるな。

ウィードみたいに電気を持ってくるのは早すぎるし、ザーギスの研究品が妥当かね?


「おおっ。灯りが戻った」

「まあ、簡単に言うと。二重三重に本物を置いておいたのさ。そうすれば、一個取られても問題ないからね。今みたいに次のコアに切り替わるようにしている」

「なるほど。助かりました。しかし、我が国の命ともいうべきコアを盗んだ大罪人を逃がすわけにはいきません!!」

「その通り!! 全軍に追撃を……」


トモリとストング将軍が怒り心頭で追撃を命令しようとするが……。


「あ、ごめんよ。それは待ってくれ」


俺が止める前に、コメットがストップをかける。


「なぜでしょうか?」

「こっちのダンジョンの機能で追跡しているから、情報をもっと集めたい。なんでダンジョンコアを狙ったのか?とかね。相手は人族みたいだ。しかし、それだと変だ。現在に至っては人族にはダンジョンの情報を、殆ど持ってないはずだ。ダンジョンコアという物に何の価値が見いだせる?」

「……確かに。そもそも、この場所ですら秘匿としていますし、ダンジョンコアのことを知っているのはホワイトフォレストでも一握りです。警備も厳しい。盗むにしても、ほかに換金しやすいものや、足のつきにくいものは沢山あるはず……」


そう、つまり……。



「これは、相手に私たちの知らないダンジョンマスターがいる可能性が高いね」



コメットの言う通り、ダンジョンの特性を知り尽くしている誰か。

ダンジョンマスターに近い者がいる可能性が高い。

しかも、相手方に。



「ということで、ダンジョンコアにも色々細工して、音声とか、映像を送ってもらえるように防犯はしていますので、捕まえるにしても、少し時間を空けてほしいのです」



まさか、ダンジョンコアが盗まれるとは思ってなかったけど、何事も備えはだいじだねー。




さてさて、結構面白い方向に流れてきたと思います。

まさか、第三者のダンジョンマスターの存在が出てきました。

まあ、山ほどダンジョンマスター任命していたらしいですし、どうにか残っているのがいてもおかしくないわけですが。

さあさあ、どうなる!!


で、最後に。

最近、誤字脱字が多くて申し訳ない。

物語の構成とか考えていろいろ書いてると、なんか誤字脱字が多くなっている。

あと、ほかにいろいろやっているせいやな。

「俺たちは自由にやる」「東方文集録」と変に手を広げているからオーバーヒート状態らしい。


しかーし、見直しをしてこれだから、多分俺には誤字脱字編集能力がない!!

勝手に脳内変換してるんだろうな。同人の小説も書いているし、4月の1日ぐらいまでは忙しいから、そこら辺まで我慢してくれい。



本当に、誤字脱字で読みにくいのすまんとおもっとる。



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