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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
新大陸 学府編

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第283堀:再会?

再会?




Side:アルフィン 聖剣使い




私は独りぼっちになっていた。

気が付けば、誰もいなくなっていた。

原因は私自身。

ほかの人とは違う、この白い肌、白い髪、赤い瞳。

白髪ではなく白。真っ白。

父と母はそんな私を愛してくれたが、私のこの容姿に目を付けた貴族から守るために死んでしまった。

悲しかった、憎かった。

でも、父も母も、私の幸せを最後まで願っていた。

だから、復讐を選ばず逃げることを選んだ。

でも、よその村、街に行っても私の容姿は目を引くようで、変なのが言い寄ってきたり、災いの原因だと言われて石を投げられたり、同じように貴族に追いかけまわされたりして、結果、私はひっそり、森の中に住むようになっていた。

でも、そこで私は自分の力に気が付く。

私は剣や、魔術の才能はなく、森の中で本当に逃げるように生きていたのだ。

盗賊や魔物に見つからないように、でも、そんなことはやっぱり無理で、ある日、一匹のゴブリンに出会ってしまう。

普通ならすぐに走って逃げるのだが、運悪く、転んでしまい。これで最期かと思った。


「いや、死にたくない」


そう、私は呟いた。

だって、父と母の願いを何一つ私は果たせていない。

私の幸せ。


『いつか、アルフィンを受け入れて、一緒に生きてくれる人たちが現れるから』

『ええ。パパとママのように、運命の人もこの広い世界に必ずいるはず。だから、生きて、生き抜いて、幸せになって』


こんなところで終わりたくない。

私のためにも、私を愛してくれた両親のためにも……。

でも、そのゴブリンは攻撃してくる様子はなく、こちらを見て戸惑っているようだった。

持っているこん棒も、振り上げることなく、だらりと下げたまま。


「……襲わないの?」

「ゴブゴブ」


私がそう尋ねると、ゴブリンは頷く。

頷く?

あれ、もしかして会話ができている?


「あの、私の言ってることわかるの?」

「ゴブ」

「そうなんだ。頭のいいゴブリンさんなのね?」


そう聞くと、ゴブリンは違うというように、首を横に振る。


「ゴブゴブ」

「え、私がゴブリンの言葉を喋っているって?」

「ゴブ」

「そう、なんだ」


そう、私はテイマーの才能があったらしい。

ゴブリンと意思疎通ができ、ようやくそのことに気が付いた。

そして、私はそのゴブリンに色々話を聞いた。

そう、色々な話だ。

食料はどこが豊富だとか、ゴブリンさんたちはどうやって過ごしているのかとか、友達に話しかけるように。

恐らく、私に初めてできた友達。そう呼ぶべき存在だった。

ようやく、父と母の願ったものに近づいた気がした。


でも、そんな暮らしも長くは続かなかった。

私がゴブリンさんをきっかけに、色々な魔物と話しては仲良くなっているのが、変な形で近くの街にばれたらしく、魔女討伐と言って、軍が押し寄せてきた。


「なんで? ただひっそり生きていきたいだけなのに……」


私はそう呆然と呟く。


「ゴブゴブ!!」


その呆然とする私の手を引いて、家から連れ出してくれるのは、最初のお友達のゴブリンさん。

私を守りつつも、集まってくれている、魔物たちへ指示をだしている。

でも、その内容は私に容認できるものではなかった。


アルフィンちゃんを逃がすから、それまで、囮になってくれ。


あの日の、父と母に重なって見えた。


「いやっ!!」


反射的にそう叫んだ。

もう、大事なものを失いたくはなかった。


「あそこに魔女がいるぞ!!」

「撃て撃て!!」


私が叫んだのが、相手にばれて矢が飛んでくる。

その一本が私にまっすぐ飛んでくるのが分かる。

ゆっくり、ゆっくり、私へ飛んできて、胸につきささ……。


「ゴブッ」


私を庇ったゴブリンさんに突き刺さる。


「ああっ!?」


私は叫びながら、ゴブリンさんに近寄ろうとするが、ゴブリンさんが指示をだすと、周りの魔物さんが私をそのまま猪の魔物の上に乗せる。


「ゴブゴブ」


すみません。おいらは一緒にいけないようっす。

そんなことを言って首を振る。


「いや、だよ」


涙が頬を伝う。

彼とは、この森であの日から、今日までいつも一緒に過ごしてきたのだ。

家族も同然だった。


「ゴブゴブ」


大丈夫っすよ。向こうの森でも沢山友達が増えるっす。

そう言って、彼は背を向ける。


「ゴブー!!」


お前ら、ここは死守するぞ!!


オオッー!!


周りの残ると決めた魔物さんたちが、彼の言葉に応えるように声をあげる。

そして、私と一緒に逃げると決めた魔物たちも、一斉に走り出す。


「まって……、彼を、ゴブリンさんを……!!」


名前すら付けていなかったことに、その時に気が付く。

私のバカ、自分の名前だけ教えて、彼に、彼らに名前の1つも贈らないなんて!!

叫ぶことすらできなかった。

叫べば、彼らの思いを無駄にしてしまうから。

でも、現実は厳しくて……。


「おっと、団体様だね」


逃げた先に、女性ではあったが、武装した集団が待ち構えていた。

数は多くない。

でも、わかる。強い、この人たち。

テイマーの力に目覚めてから、相手の内包する魔力が分かってきた。

周りの魔物さんたちは、威嚇の声をあげているが、戦端が開かれれば、やられるのはこっちだろう。


「みんな。落ち着いて。私が話をするから。ね、お願い」


私がそう言うと、威嚇していた子たちは大人しくなる。


「ほう。噂通りってことかな?」


彼女たちの前に立つ1人の女性はそう言って、私を上から下へと見る。

なんとか、この人と交渉するか、時間を稼いで、私について来てくれた魔物さんたちだけでも逃がさないと。


「あの、お願いします。私はどうなってもいいから、この魔物たちは見逃してください」

「へ?」

「人なんて襲いません!! お願いします!!」


私はそう言って、地面に膝をついて頭を下げる。

お願い、今のうちに逃げて。

彼女たちの目的は私なんだから。

そう、思っていたんだけど……。


「ああ、いやいや。君を、君たちを助けに来たんだ」

「え?」


理解ができなかった。

言葉そのものが。

だって、そんな言葉をかけてくれた人は今まで両親を除いていなかったのだから。


「さ、早くこのダンジョンの中へ」

「ダ、ダンジョンに、ですか?」


そして、逃げ込めというのは人を食らう穴、ダンジョン。

意味が分からない。


「あーあ、やっぱり理解が追い付いていないよ」

「そりゃそうでしょう。相変わらず、無茶苦茶なんですから」

「と、言ってもどうやって説明すれば、理解してもらえるのか? という問題もあるがな」


私が混乱している間に、彼女の後ろに立つ、武装した女性たちが口々にそう告げる。


「ふふん。世の中には百聞より一見という言葉がある。百を聞くより、一つを見よ。という話だ。さあ、魔物君たち、彼女を連れて、ダンジョンの中へ来てくれ。私たちは彼女に触れない。ダンジョンに入れば、敵もうかつに追ってはこない。そうだろう?」


彼女はそう言うと、踵を返して、ダンジョンの中へと入っていく。


「さ、お早く。私たちが、追手の方はごまかしておきますわ」


そう言って、武装した女性たちは、私たちの横を通り過ぎて、彼らが死守してくれている場所へと足を進める。

その様子を見た、周りの魔物さんたちは、困惑した感じでどうする?と見つめている。


「……ダンジョンの中にいこう。駄目だったらまた逃げればいいよ」


それが、私とダンジョンマスターの出会いだった。





強い日差しが、目を閉じていても感じられる。


「朝、か……」


そう言って体を起こす。

懐かしい夢を見たものだ。


『お母さん、起きたの?』


直接頭に響くような声が届く。

それは、つい先日、今まで集めたDPを使って呼び出した最大最強の魔物。

グラウンド・ゼロの声だ。


「ええ、おはよう。グラド」

『うん。おはよう。お母さん』


空には青空が広がっている。

とても気持ちのいい朝だ。

その空とは相反して、私の心の中は大雨だった。

かつて、彼女、ダンジョンマスターを斬ってまで、人と亜人と魔物が暮らせる世界を目指した私たちも、残るは私だけになってしまった。

いまでも、あの日を鮮明に思い出せる。



『今回予想される、魔物の大氾濫だが、私たちは干渉しない。いいね?』


彼女はそう言ったのだ。皆が楽しく暮らせる世界を目指していたのに、人も亜人も魔物も多くが傷つく大氾濫を見逃すといったのだ。

それを防ぐ術も、能力も、あったのに彼女はわざと見逃すといったのだ。

私たちは納得できなかった。

だから、彼女を斬った。

多くを救うために。

私のような子供や、あの優しいゴブリンたちが1人でも多く救われるために。

斬られた彼女は、驚きはしたが、こちらを確認して、にっこり笑っていた。


『君たちのしたことを、非難はしない。ごほっ、さあ、私のことは捨ておいて、望む未来のために頑張ってくれ。ピースには、かふっ、私から言っておくから……』


でも、ピースの怒りは収まらなかった。

そして、この大陸を戦乱で包んだ。

多くの悲しみ、恨みをこの地に振りまいた。

……必死に、ピースを倒しても平和は手に入らなかった。

国という形が、私たちの願いを阻んでいた。

だから、国を滅ぼし、国に侵された人を殲滅し、偏見も何もない、選んだ次代の子に未来を託すと決めたのだ。

でも、その夢を見ていた仲間も既におらず。

私1人になっていた。

原因は、エナーリア襲撃を防いだ、傭兵団だそうだ。

容姿は黒髪の男を中心に、私たちから見ても美女と呼ぶべき女性を侍らせた傭兵団。

その傭兵団の力はすさまじく、エナーリアで仲間がやられたのを聞いて、リーダーが万全の体制で、残る聖剣使いを私と1人を残して、倒しにいったが全員戻らなかった。

ポープリの学府で工作をしていた1人も戻らない。

……おそらく、全員死んだのだろう。

彼女たちの実力は知っている。

捕らえられるというのは、この衰えた大陸の実力ではありえない。

なので、殺されたと見るのが普通だ。

だから、リーダーは残った私に最後の作戦を残していた。


『アルフィン。お前に、今までのDPを必要分以外、全部を預ける。私たちに何かれば、最大最強の魔物を呼びだして、かたき討ちと、世界の一掃を託したい。……一番魔物と仲がいいテイマーのお前に、魔物を道具として呼び出せと言うのは酷だとは思うが……』

『いい。わかっている。その時は、そうしないと今までのことが全て無意味になる』

『……すまん。必ず戻ってくる。お前を1人にはしない』



青い空を見ながら、もう戻らない友人との会話を思い出す。


『お母さん。空、青いね』

「そうね」


グラウンド・ゼロ、いやグラドは流石というべきか、その魔力と力に恥じない能力を持っていて、生まれてすぐ、私の言葉を理解し、こうやって会話をしている。

惜しむらくは、グラドが子供の精神ということか。

だから、不安が出てくる。

グラドを残して、私は近いうちに死ぬことになる。

そうなったとき、彼がこの世界を破壊しつくようなことはしないだろうかと。

私が死ぬ理由は簡単。

グラウンド・ゼロを維持できる魔力がないのだ。

今はまだDPが残っているからいいが、DPが尽きれば、魔力を持っていかれる。

魔力が足りなければ、生命力を注ぎ込まなければいけない。即ち死ぬ。

制御から離れれば助かるが、それではグラドは野生に戻るだろう。

私のテイマーの実力では、このグラドを御しきれないのは分かっている。

誤算だった。

最大最強の魔物がここまで凄いとは。

だから、せめて制御を離れる前に、傭兵団だけでも殲滅することにした。


「……私は、穏やかに皆で暮らせる世界が欲しかっただけなのに」

『お母さん?』


私は何をしているのだろう?

こんな、母親にべったりな子供を戦いの道具に使おうとしている。

子供に、恨みを託して死のうとしている。

……私は、なにを目指してここまで生きてきたのだろうか?


ゴゴッ。


私が考えていると、そんな音が辺りに響く。


『お、お母さん!? 地面がゆれっ!?』

「え?」



ズズーン!!



そんな崩落音と、衝撃で私の意識は途切れた。




Side:アスリン



「到着!! ドラゴンさん、お母さんさん、どこですかー!!」

「どこなのですー!!」


森が開けた場所には、大きな岩山が、大きな水溜りに沈んでいました。

多分、これは地下水湖とかいう物だと思います。

さっきの音は大岩が、地下水湖に落ちた音なんですね。

すると、大岩の先がこちらに、向かって動きます。


『ここだよー』

「ふあっ、大きいんだね。ドラゴンさん」

「大きいのです」


大岩かと思っていたら、その大岩がドラゴンさんだったみたいです。


「お母さんはどこですかー?」

『お母さんは、僕の背中の上にいるんだ。丁度真ん中ぐらいだと思う』

「背中に登ってもいいですか?」

『うん。大丈夫だよ。お母さんを助けてあげて』

「任せて。よいしょ」


ドラゴンさんに許可を貰った私とフィーリアは直ぐに背中に飛び移ります。

でも、スティーブがこっちに来ていません。


「スティーブはやくー。スティーブの方が診察確実だからおねがいー」

「早くくるのですー」

「くそっー、やってやるっすよ!!」


なにかわからないけど、スティーブはお兄ちゃんやセラリアお姉ちゃんと訓練試合をするような顔つきで飛び移ります。

それを確認したあと、魔力を探しながら、ドラゴンさんの背中を駆けあがっていきます。


「あ、アスリン。あっちなのです」

「本当だ。ドラゴンさんとは違う魔力を感じるよ」


フィーリアちゃんが見つけた魔力の所へ近づくと、白いお姉ちゃんが、足を庇って座っていました。


「来てくれたのね。って、声から予想はしていたけど、随分可愛い子たちね」


白いお姉ちゃんは私たちを見てびっくりしていました。

うん。仕方ないとおもう。

だって、お兄ちゃんの訓練がなかったら、こんなところに来られるわけないもん。


「と、ごめんなさい。私はアルフィンっていうの。この子、グラドの母親代わりね」

「私はアスリンっていいます」

「私はフィーリアなのです」


そして、遅れてきたスティーブが自己紹介をします。


「……スティーブっす」


なんかスティーブは緊張しているような感じがする。

あ、アルフィンお姉ちゃんが美人さんだからだ。

だめなんだよ。怪我してるお姉ちゃんに変なことしちゃ。

そう言おうと思ったけど、アルフィンお姉ちゃんは驚いた顔でスティーブに近寄ろうとしていた。


「あ、うそっ」


そう言って前に歩こうとするが、足が折れているので、すぐにパタリと倒れる。


「うぐっ」

『お母さん!?』

「大丈夫ですか!?」

「スティーブ、早く足を見てください!!」

「わ、わかったっす!!」


スティーブは直ぐに、アルフィンお姉ちゃんに断りを入れて、足を診察する。


「ふむふむ。……これはただの骨折。と言いたいっすけど、落下の衝撃で結構骨が粉砕されてるっすね。痛いってレベル越えてると思うっすよ?」

『お母さんは助かるの!?』

「うおっ!? なんすかこの声!?」

「あれ? スティーブには聞こえていなかったの? このドラゴンさんの声だよ?」

『ああ、ごめんなさい。ゴブリンさん、グラドっていいます。お母さんと同じような人に呼び掛けていたから、今まで聞こえなかったと思う』

「ああ、なるほどそう言う事っすね。それでアスリン姫やフィーリア姫には声が聞こえたわけっすね。と、自己紹介が遅れたっす。ゴブリンのスティーブというっす。で、お母さんは大丈夫っすよ。ちょっと待ってるっす」


スティーブはそう言うと、すぐにハイヒールの回復魔術を唱えます。


「こ、れは、回復魔術? 足の痛みが消えている?」

「うん。そうだよ。スティーブはすごいんだ」

「そうなのです。スティーブはすごいのです」


スティーブの回復魔術が終わると、アルフィンお姉ちゃんは直ぐに立ち上がり、足に違和感がないか調べている。


『お母さん、大丈夫?』

「ええ。治ってるわ」

『よかった。ありがとう!!』

「よかったねー」

「よかったのです」


私たちがそう言っている間に、アルフィンお姉ちゃんはスティーブに抱き着きます。


「はい!?」


抱き着かれたスティーブは驚いて目を白黒させています。


「よかった!! 本当によかった!! 生きていたんだね!!」


そう言って、アルフィンお姉ちゃんは涙を流しながら喜んでいました。


「どういうことなのです?」

「よくわかんない? グラド君知ってる?」

『たぶん、お母さんが話してくれた、ゴブリンさんだと思ってるんじゃないかな?』

「「ゴブリンさん?」」


よくわかんけど、お母さんも助けられたことだし、お兄ちゃんに連絡しよう。

グラド君もこんな体だとすぐ疲れちゃうし、クロちゃんでも呼んで、体を小さくする方法を教えなきゃ。

そうしないと、ダンジョンに入らないからね。




Side:ユキ



「何がどうなっている?」


俺は目の前の急展開について行けないでいる。

誰か、話の流れを教えてくれと視線を振るが、全員首を横に振る。


「ま、どう見てもスティーブが何かしら絡んでいるようね」


セラリアはモニターを見ながらそう呟く。

確かに、アルフィンに抱き着かれているのはスティーブだ。


「とりあえず、私がダンジョンマスターとして会ってくるわ。どうやら、アルフィンはアスリンたちを敵と認識していないみたいだし、私から説得すれば指定保護下に置けるかもしれないわ」


ラビリスはそう言って、俺の膝から降り、会議室の出口へ向かう。


「大丈夫なのですか?」


ラッツが心配そうに尋ねるが、ラビリスは笑って、振り返り……。


「私の親友たちが、あそこまで頑張ったんだもの。親友たちのあの優しさに報いるために頑張るわ。ユキ、止めないでね?」


そこには、覚悟を決めたラビリスが立っていた。

邪魔しても無駄だと。

アスリンとフィーリアのために、自分は行くと。

そして、名乗りを上げるのは、彼女たちの親友の最後の1人。


「ならば、私も向かいます。私も彼女たちの親友です!! こんな時に手を差し伸べなくて、なにが親友ですか!! 兎人族もいるとわかれば、話を受け入れやすいでしょう」

「ふふっ、そうね。シェーラ行きましょう」


そして2人は手を繋いで会議室を出ていく。


「凄いわね。どんどんあの子たちも成長してるわ」

「はぁ、今回は完全に俺のミスだな。相手がやばすぎるから、会話という手段を真っ先に斬り捨ててたわ」

「それも仕方ないでしょう? 私たちの面は全て割れている可能性があったのだから」


セラリアの言いたいことはわかるが、それでも、この結果があり、これを目指した手段を講じなかったのは確かだ。

こればかりに固執するのは良くないが、捨ててかかるのも問題だな。

うん。

今回の件は勉強になった。


希望は捨てるな。


そう言うことだな。

ああ、タイキ君にも偉そうに色々言っていたが、自分も変わらないな。

そう思いながら、モニターの向こうには、必死にアルフィンから逃れようとするスティーブの姿があった。


「でも、スティーブにはあとで尋問が必要ね」

「だな。どこで会っていたとか、なんで今まで黙っていたとか、色々聞かないといけない」


しかし、あんな美人さんが、しかも聖剣使いが、スティーブの強さに気が付かないか?

というか、黙ってる理由もスティーブにはないよな?

……ああ、マジでよくわからん。





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