第275堀:戦いに必要なモノ
戦いに必要なモノ
side:ユキ
「もう、かっこよかったわよ。あなた」
そう言って抱き付いてくるのは、なぜか撮影班として青いジャンパーを着ているセラリア。
変なことろでノリがいいよな。
「そりゃどうも。で、アマンダはどこなんだ?」
「えーと、確かデリーユの所よ。あの子はエリスとデリーユに師事していたから、あっちが安心するんでしょう」
「なるほどな。ちょっと様子を見てくるよ」
「はぁ、他人の恋路はここまで頑張るのに、自分のことはダメダメよね」
「うっさい」
「ま、愛しがいがあるからいいのだけれど。あ、あのから揚げ本当においしいわね。鶏の飼育はウィードが歓迎すると思うわよ」
「あ、セラリアも食べたのか」
「ええ。気のいいおじさまね。宿屋の経営も見事。とくに食事はすごいわね」
「だろ」
「あの、おじさまだから、鶏ぐらい譲ってくれそうだけど。と、そこは後日ね。今はアマンダの様子が先ね。いってらっしゃい」
「おう」
セラリアとそういって別れる。
普通にカメラを使えているみたいだな。
何というか、本当に興味のあるものは一気に覚えるよな。
「ん? なんじゃ、ユキか。押し倒されにきたか?」
「いや、なんでそうなるんだよ」
気が付けばデリーユの所まで来ていたのだが、なぜかデリーユの発言が明後日の方向だった。
「全く、あんな濡れるシーンを見せておいてこれじゃ」
「ま、ユキだし、仕方ないわね。夜にでも襲えばいいのよ」
「そうじゃな」
「いやいや。と、それよりアマンダはどうした?」
「ん、アマンダならそこで青くなっておるぞ」
「青く?」
そう言われて、デリーユの視線の先に目を向けると、アマンダが文字通り青くなって震えている。
「なにがあったん?」
特に外傷は見えないから、なにか嫌なことがあったか?
「いえ、普通に今までの試合を見てただけよ。何かしら外部から脅しもなければ、アマンダが怪我したとかはないわね。ま、近くで話を聞けばわかるわよ」
ラビリスはそう言って、俺に抱っこしてと両手を伸ばす。
それを抱き上げて、そのままいつもの肩車の状態になる。
「さ、アマンダのところへ行きましょう」
「ついてくるのか?」
「ええ」
「デリーユはどうする?」
「ん? 妾は残るぞ。カメラもあるしのう」
「そっか、撮影準備頼んだよ」
「おう。任せておけ。アマンダは頼んだぞ、ああいうのは苦手でな」
しかし、ラビリスの胸はなんかまた重くなったな。
また大きくなったか?
頭にかかる重さが昔と違う気がする。
「そうよ。ユキに揉んでもらって、ちゃんと大きくなっているわ」
「成長は止まるんじゃないのか?」
「不老は年齢経過の劣化が止まるだけで、胸の大きい小さいは成長という劣化より、子供へのおっぱいをあげるためだから、たぶん違うんじゃないかしら?」
「ああ、そういうことか。体調が変わるみたいなものか」
「たぶんそうじゃないかしら。よかったわね。頑張れば、フィーリアもあのサイズのまま、私以上のおっぱいになるかもしれないわよ?」
「うーん。ラビリスも大きいのは大きいで面倒なことはあるだろう? でも、大きくなる可能性があるっていうのはよかったかもな。フィーリアもいつか不老化するんだろうけど、そのあと大きくなるかもしれないなら、子供に遠慮しなくて済むかもしれないしな」
「あー、そういえばアスリンも、フィーリアも、子供たちにおっぱいを吸わせようとしてそっぽ向かれてたわね」
「子供はご飯のためにおっぱいを吸っているからな。出ないのと、平すぎると、おっぱい、ご飯って認識できない。というか、ご飯求めている子供に、偽物というか出ないおっぱいに吸わせようというのがダメなんだが」
「……それはあの子たちには酷よ。というか、クリーナやサマンサだっておっぱいでないのに吸わせようとしているんだから。あの子供たちを見て母性を刺激されない女性はいないわよ」
うん。それはわかる。
子供たちは全員、嫁さんたちのおっぱいを吸わされている。
でようが、でまいが。
かわいいから、したくなる気持ちはわかる。
けど、きっと子供たちには迷惑だろう。
出ない乳なんか出されてもなー。
「ま、ユキの言う通り。子供たちには迷惑かもしれないけど。ちゃんと他のお世話や、おっぱい自体はちゃんと上げてるからいいでしょう。というか、ペタンコの子たち以外は子供たちから吸わせろって要求するのよ?」
「え、そうなのか?」
「私だって、子供たちを抱えると、おっぱいをペシペシって叩いてくるの。で、毎回飽きるまで吸わせているの。でないけどね」
「ふーん。子供たちもみんなが母親っていうのはうっすら認識してるのかね?」
「どうかしら? まだ自意識がはっきりしていないから、私も心が読めないし。と、アマンダに話さなくていいのかしら?」
「あ、そうだった」
なんか、嫁さんたちと一緒だと家庭の話になるよな。
特に子供たちの話題が多くなる。
ま、それはいいとして、今はアマンダのことだ。
「……ううっー」
なんか唸ってるな。
本当にどうしたんだ?
「あの、アマンダさん」
「えっ、あ。ユキさん」
でも、俺が声をかけるとすぐに反応するから、深く考え込んでいるってわけでもなさそうだな。
「どこか具合が悪かったりしますか?」
「い、いえっ。その、決闘見てました。すごかったです。勝利おめでとうございます……」
「どうも、ありがとうございます」
……ああ。
たぶん、エオイドが心配になってきたか。
「……おそらくそうだと思うわ。別の意味で演出を過多にしすぎたわね。きっと、アマンダはエオイドが死んだりしないかで不安なんだとおもうわ」
ラビリスもそう思うか。
「エオイドのことが心配ですか?」
とりあえず、切り出さないことには始まらない。
ラビリスは、頭の上から降ろして、膝に持ってくる。
「……はい。ユキさんや、タイキさんみたいに、エオイドは、その、凄くないですから」
うん。
その気持ちはよくわかる。
俺もタイキ君も、こっちの世界に来てから何度思ったことか。
分不相応な評価を受けて、それでも、やらなければいけない状況に陥った。
「……色々指導をしてくれる、ユキさんやタイキさんには申し訳ないんですが、エオイドは普通の人なんです」
「普通……ですか?」
普通ねー。
俺も普通って叫んでいい?
「ユキ、あきらめなさい」
ちぇ、膝の上の爆乳幼女はそう言う。
そんな小さなラビリスの声は不安になっているアマンダには届かず、話が続く。
「普通の人です。私はずっとエオイドを見てきたからわかるんです。ただ、普通に魔術使いにあこがれて、この学府に入った。でも、普通の人だから、才能がなくて……」
アマンダはそう言うと、目から涙をぽろぽろ溢れされる。
えっ、ちょっとまった、どこにさっきの話にアマンダが泣く要素がある!?
「……私が、竜騎士になんてなっちゃうから、エオイドが、私のために強くなるって。でも、それが、嬉しくて。そう浮かれていたら、やっぱり現実はとても危険で、ユキさんやタイキさんみたいにエオイドが立ち回れるとは思わなくて、エオイドが、し、死んじゃったらどうしようって」
ああ、俺たちの戦いぶりを見て、エオイドが危険だから心配。という考えより、エオイドが死ぬ。と思ったわけか。
ま、ずっと一緒にいたんだから、こういう心配は当然か。
良くも悪くも、エオイドを知っている。
彼がただの人だと。そう普通のどこにでもいる人だと。
うーん、どういえば安心させられるんだ?
何を言っても逆効果な気がしてならないぞ。
俺が、そんな風に思考を巡らせていると、膝上の爆乳幼女が口を開く。
「で、アマンダはエオイドが死んじゃいそうだから泣くだけなの?」
「え?」
「私は違うわ。ユキが死にそうなら、この身に代えてでも助けて見せる。エオイドが普通? そんなのユキだって同じよ。ただ、人より立場が特殊なだけで、転べば怪我をするし、死ぬ危険は普通の人より格段に高いわ。傭兵をやっているのだから」
アマンダは、会話にいきなり乱入してきたラビリスの発言に驚いて固まっているが、そんなのをお構いなしに、ラビリスはまくし立てる。
「アマンダは竜騎士になって少し勘違いしてるんじゃないかしら? アマンダが竜騎士になったところで、別に死なないわけじゃない。むしろ危険が増したってエリスから教えてもらったはず。そして、アマンダの思いを汲み取って、エリスとデリーユが色々教えてくれている。聞いたはず、エオイドが誰のために強くなろうとしているのか」
「……そ、それは」
「その成果を見せるためにエオイドはこの舞台に立つことにした。何があってもアマンダと一緒にいるって、それを自身でアマンダに伝えるために。確かに、愛しい人が死ぬことを考えると、私だってぞっとするわ。でも、ユキは止まらないの。こう見えて、とても強い人だから。なら、私はユキと一緒に生きていくだけ。ほろほろと涙を流して、彼の行動を見守るとか、遠ざけるとか、そんなことはしないわ。私はユキの隣にいて、精一杯、ユキと生きるの」
「ラ、ラビリスちゃん?」
ようやく、ラビリスの名を口にするアマンダだが、それはラビリスの正体を確かめるようなことだった。
ま、こんな年下に、遠回しに正論でバカと言われれば当然か。
「こら」
そう言って、ラビリスの頭をコンと叩く。
「きゃん。ユキひどいわ」
ラビリスは痛くもないはずなのに、叩かれた箇所を押さえて、大人しくなる。
とりあえず、このままラビリスの毒舌を放っておくと、アマンダがエオイドと添い遂げるのをあきらめそうなので、止めておく。
「すみません。でも、ラビリスの言う通りだと思います」
「え?」
「確かに、愛しい人が死ぬことを想像するのは怖い。ですが、すでにエオイドはあの舞台に立っている。幸い、今回は死ぬ危険性は限りなく低い。ま、アマンダさんの言う通り、ほぼ死ぬことが確定している場所に行こうとしているなら、縛りつけてでも、両手足折ってでも止めるべきです」
「い、いや、そ、そこまで……」
「いえ、やるべきです。愛する妻と子供を残して逝くというのが分かっているなら絶対に」
「あ、愛する妻!? こ、子供!?」
「ええ。そのアマンダさんとの未来をつかむために、エオイドは今日まで必死に訓練をしてきて、あの舞台に立っています。で、彼が今一番欲しいのは何だと思いますか? 愛しい彼女の心配する涙でしょうか?」
そこまで言って、ようやくアマンダの瞳に理解の色が広がる。
ま、心配して涙するのもわからんでもない。
でもな、この場で必要なのは心配する涙じゃない。
……戦いに必要なのは、相場が決まっていて。
「エオイドーーーー!!」
突然、アマンダは席を立ち、とても綺麗な大きな声で、最後の決闘に胸を躍らせ、騒ぐ決闘場に響き渡る。
そして、その声を聴いた決闘場の人々は静まり返る。
……うぉい。一発で静まり返るって、どういうレベルの声だよ。
ただ大きいだけじゃない、声音がとても綺麗だからだ。
俺がそう考えている内に、アマンダはこちらにエオイドが気づいてみているのを確認すると、更に言葉を続ける。
「頑張れ!! 負けるな!! 私は信じてるから!!」
あ、思い出した。
この状況って、歌が綺麗な人に起こる現象だ。
どれだけ群衆が騒いでいても、一発で静まり返るのは、数度見たことがある。
それは地球でのコンサートや、学園祭などの舞台で、飛び切りが出てくる時だ。
そう、同じ声なのに、どこまでも澄み渡るような声。
普通に話す分には変わらないのに、伝えるという強い意志を持った場合に、発動する、歌姫能力。
……おいおい、竜騎士なんて目じゃないレベルの能力だぞ。
そして、この効果が一番でるのは、歌われた対象だ。
この場合、声援だから、無論……。
「わかったよ!! アマンダ見ていてくれ!! 俺、頑張るから!!」
くっそ、砂糖を口から生産していいでしょうか?
確かに、こういう状況は狙っていましたよ。
公式の場で恋人宣言や、それっぽい行動を中継で流せば、この2人にちょっかいを出すバカ者は減ると思ったからさ。
でもね、直に当てられたくはないんですよ。
やっべ、愛の波動を感じて俺の心がつらい。
弄ろうと、ネタにしようと、企んでいた俺が矮小で心が小さい人間だと思ってしまう。
「私たちもやる?」
「やめてください、死んでしまいます」
俺が精神的にな。
ラビリスだけならともかく、どう考えても嫁さんたち全員にやらなければいけないわけで、公衆の面前で告白を10回以上とか、どう考えても拷問です。死んでしまいます。
と、そこはいいとして、会場は突然のアマンダとエオイドのやり取りに湧きあがっていた。
やはり、どこでもこういう恋物語の一面は好かれるのか。
『さあ、本来なら後に紹介する予定でしたが、こうなったら先に紹介するしかありませんね。学府第236位、エオイド選手です!!』
わあぁぁぁぁぁーーーーー!!
エオイドは、その歓声に驚きつつも、先ほどの緊張とは違って、堂々と舞台に上がっていく。
けっ、愛は偉大ですねー。
「そうよ。愛は偉大なのよ。というか、何でそんなに心が荒んでいるというか、子供っぽいのかしら?」
「他人のストレートな幸せは妬ましい。いじれないから」
「……はぁ。そこら辺、変に歪んでいるわよね」
「いや、これも様式美でな」
「はいはい。エオイドの紹介が始まるわよ」
そう言って、ラビリスにぶった切られる。
あー、嫁さんたちも俺の扱いに慣れてきたよなー。
『さて、みなさん不思議に思ったでしょう。なぜ、こんな順位の低い者が決闘の祭りにでたのかと?』
ラッツがそう言うと、同意するように周りが静まり返る。
『それは、先ほど声援を送ってくれた女性のためなのです!!既に、ご存知の方も多いかもしれません。彼女はワイバーンを手なずけ、伝説の竜騎士の称号を賜った今話題のアマンダさんなのです!! そして、それがエオイド選手とどう関係しているのか?』
そのラッツの言葉に全員が息を飲む。
いや、俺は無いけどね。
『2人は幼馴染。今の今までずっと一緒に過ごしてきました。しかし、ある日突然訪れた運命のいたずら。アマンダは伝説の竜騎士へ……、エオイドは悩みました。彼女がいきなり有名になり、その実力も兼ね備えていると、彼は彼女を祝福するべきなのに、素直に喜べないでいると……』
あー、そっちの原稿を読むのね。
可哀想に、幸せ者への嫉妬は無くなったわ。
公開処刑開始やな。
作戦名:観客に今回の決闘の趣旨を伝えて、逃げ道をなくそうぜ!!
聞いての通り、この決闘のいきさつを説明して観客に、エオイドが告白するための通過点と伝え、もう逃げ道のない状況に追い込む。
こうすれば、2人の仲を引き裂くような真似をすれば、絶対噂になる。
『エオイドは、その時ようやく自身の気持ちに気が付いたのです。幼馴染としてではなく、一人の男として、アマンダの傍にいたいと。だから決心しました。彼女に並び立つ、相応しい男になろうと!! 私の愛しい夫とタイキさんに頼み込みました。強くしてくれと。彼女と添い遂げるために!!』
ひゅーひゅー!!
そんな歓声が広がる。
この街にいる人たちなら、エオイドとアマンダの喜劇はいつもみてるだろうしな。
だから素直に祝福の声がいたるところから上がる。
「やっと気が付いたか幸せ者―!!」
「あんたたちがいつ、付き合うかとやきもきしてたわよ!!」
「エオイド、よく頑張った!!」
「そうよ、アマンダが竜騎士なんてことは気にしなくていいのよ!! アマンダにはエオイドしかいないんだから!!」
ですよねー。
俺たちが出会ってすぐわかったんだから、街の人や学府の仲間が気が付かないわけねーよな。
そして、ラッツに代わりエリスがマイクを持って告げる。
『さあ、聡い方はお気づきかもしれません。この最後の勝負こそ、この決闘祭りの本当の目的です。……エオイド!! 相手はとても強いです!! この事実を知ってなお、手加減をしてくれるような相手ではありません!! というか、そんな甘ったれた決闘を望んではいないでしょう!! この場はあなたの強さを確かめるための舞台!! アマンダに相応しい男だと全ての人に伝えるため!! 男を見せなさい!!』
エリスはそう綺麗な声で告げる。
アマンダの時と同様、周りが静まり返る。
見た感じ、エリスは大人しく見えるからな。
しかし、この決闘の趣旨が理解できたのか、徐々に上がり、歓声が広がっていく。
「エオイド!! 男を見せろ!!」
「そうよ、相手がどんなに強かろうと、エオイドとアマンダの愛を見せつけなさい!!」
「勝っても負けても逃げるんじゃないぞ!! お前はもう、立派にそこに立っているから、なにも恥じることはないんだからな!!」
「ええ。あとは全力で挑みなさい!!」
そう、これこそこの決闘祭りの本当の目的。
しかし、ここまでやって、相手は誰がでてくるのかね?
『さて、このエオイド、アマンダの恋路を邪魔する相手ですが……』
『実はすでに、皆さんも最初からご存知です』
どういうことだ?
学府のシングルナンバーはそんなに有名なのか?
いや、でもソエルのことも聞いたことなかったし、第1位も第2位も名前すら聞いたことがない。
『では、舞台へお願いいたします。エオイド選手の相手はこの方!!』
ラッツの宣言で、誰かが舞台に飛び降りる。
……飛び降りる!?
なに、その過剰演出!?
で、その姿を認識して納得した。
『ランサー魔術学府が誇る、最強の大魔術師!! ポープリ・ランサー!!』
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!
おいおい、そうか。
アーデスに特訓したのは、自分が参加者になるためか。
確かに、ほかの生徒に任せるとこの舞台はつらすぎる。
どう考えても悪者だ。
でも、学長が相手なら、負けても仕方ないし、勝てば文句なし。
悪者とも思われないだろう。どう見ても、生徒の成長を見守る教師なのだから。
『紹介にあずかったポープリだ。だが、ラッツさんが言われた通り、加減を期待するな。竜騎士アマンダと添い遂げたい気持ちは、お前さんたちが幼馴染で仲良くやっているのを昔から知っているからよくわかる。だが、ただ相手に依存するだけでは意味がない!! 夫婦とはお互いを支えあっていくものだからな!! エオイド、お前がユキ殿やタイキ殿から教えてもらった全てを見せてみろ!!』
姿形はまるで幼女なのに、それを否定せざるを得ない迫力がそこにある。
エリスや俺相手に、ビービー泣いてた同じ人だとは思えんな。
『はい!! 全力で行かせてもらいます!!』
エオイドも、ラッツの拷問で少しやる気がそがれていたが、ポープリの言葉で完全に持ち直したな。
うん、負けて当然。
ここで、負けてしまったらという不安が掻き消えたのだ。
ならば、後は全力を出し尽くすのみ。
『ララ、開始の合図を』
そう言われて、ララ副学長が2人の間に立ち、片手を振り上げる。
「最後まで全力を尽くし、魔術をつかえ!! それが最強に、多くの人を守る力に至る道である!!」
そして……。
「これより、ポープリ・ランサー対エオイドの決闘を開始します。……始め!!」
腕が振り下ろされ、決闘が始まった。
「エオイド!! 頑張れ!!」
幼馴染の声を上げ、祈る。
そう、戦いに必要なモノ。
勝利の女神。
これが王道だろう。
さあ、前座のあとの本命です。
エオイドVSポープリ
修行の成果は?
あと、連休に入るから、執筆速度が落ちるかもしれないので、そこら辺はご了承ください。