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第238掘:エナーリア聖都襲撃事件!!

ネクスト・コ◯ンズヒント「大臣」

さあ、犯人はわかったかな?

エナーリア聖都襲撃事件!!




side:ユキ



さてと、もう1人の聖剣使いも送ったことだし、あとは大聖堂に顔をだして、そのあと、城で止めだな。

しかし、流石に街中で全裸になれと言うのはアレだったから、服を着たままスィーアの方に送った。

スィーアも全裸は流石に可哀想になってきたので、合流したら服を着るように命令してあるから大丈夫だろう。


「と、あそこが大聖堂か」

「そうみたいね。人が一杯」


セラリアと小走りに、大聖堂に近寄るが、とてもじゃないが、中に入れる様子ではない。

大聖堂の周りは人であふれている。

見た感じ、大聖堂の前にある噴水の広場に集まっていて、怪我人が大聖堂の中に運ばれているといったところか?


「あ、ユキさんよかった」

「お、ミリー、どうした?」


ミリーが俺を見つけて近寄って来たんだが、どうも様子がおかしい。

ラッツは要救助者がいないか探しにいって、ミリーはここの護衛……。


「あれ? そう言えばエリスはどうした? あと、ルルアは到着していないのか?」


エリスも要救助者の捜索にいってるのか?

そう言えば、ルルアが広範囲の回復魔術を使ってるなら、既に怪我人はいないはずなんだが。


「それで問題が起きてるんです。こっちに来てください」


俺とセラリアは手を引っ張られて、大聖堂の裏へ向かう。


「これはミリー様」


大聖堂を守る兵士なんだろうが、なんでミリーを様呼び?

そして、こちらに視線を向けて訝しい表情を見せる。


「こちらの方々は?」

「私の夫と妻の1人です。問題ないので通してください」

「はっ」


そう言って、兵士は扉を開けるが、俺をなぜか凝視してくる。


「……この男がミリー様たちの?」


あ、そういう事ですか。

ええ、どうせ釣り合っていませんとも。

俺はどっからどう見てもフツメンですよ、自覚はあります。

そこはいいとして、ミリーの後を追って礼拝をする場所みたいな所にたどり着く。

あそこが、人が出入りしていた表の方か。

そんな風に視線をあちこち向けていると、なんか変に人が集まってる場所がある。


「エリス、ルルア、ユキさんが来てくれたわ!!」


ミリーがその人が集まってる場所に声をかけると、その人だかりからエリスとルルアが飛び出してくる。

ついでに、2人の腕を引っ張ろうと腕を掴んでいた奴らは、ステータスの違いでふっ飛んで壁に叩きつけられた。

……え、なに?

怪我人増やしてどうするよ?


「さわるなっ!!」

「そうです!! 私たちは治療をしに来たのです!!」


そう言いながら2人は俺の両腕に抱き付く。

この2人は嫁さんの中で胸はでかい方、というかルルアが1番でエリスが3、4番なので腕に当たる。

でも、人前でこんな事はしないタイプなんだが?

と、思考していると、すぐになぜか怪我をした人ではなく、神官服をきた人たちがわらわらと辺りを取り囲む。


「貴様!! 聖女様たちからはなれんか!!」

「不敬だぞ!!」

「そうです、早く離れてください!!」


いや、片方は聖女様で間違いないけど、元な。

で、なんで嫁さんと引っ付くのを他人に口出しされないといけないんだ?

ここって、宗教的に男女別じゃないといけなかったりする?

でも、目の前には神父さんもシスターさんもいるしな……。

俺が混乱していると、エリスとルルアが叫んだ。


「この人が私たちの旦那様なんです!!」

「そうです。もう子供もいますんで、聖女とかになるつもりはありません!!」


そう言うと辺りが静まり返る。

いったいなに?

なにが起こってる?


「よくわからんが、まだ怪我人はいるし、ルルアさっさと一緒にやってしまうぞ」

「あ、はい」

「エリスとミリー、セラリアは回復しきれない人がいないか確認」

「「はい」」

「わかったわ」


と言うわけで、ルルアと一緒にこの大聖堂と外の広場ぐらいを覆う範囲で即座に回復魔術をかけた。

おなじみのエフェクトが出るので、怪我している人も回復魔術を行ったと理解できるだろう。

この大陸じゃ、ここまでの回復魔術なんてないだろうから騒ぎにはなるだろうが、良い恩を売れるからわざと姿をみせておこう。

……ああ、エリスやルルア、ミリーも回復魔術を使ったから、こんな風に色々崇められてるわけか。

しかし、処置の邪魔をするってどういうことだ?

あとで、詳しく話でも聞いておくかな?

余計な面倒事で嫁さんに手を出されたら、エナーリア無くなりそうだし。


「ふう、ルルアまだ余裕はあるな?」

「はい、大丈夫です」


とりあえず、見た感じ怪我人たちの傷は治ってる。

まあ、見た感じだけなんで、エリスたちが歩き回ってこっちに戻ってくるのを待つ。


「大丈夫みたいね」

「はい、治っていない患者は私たちの手で治しました」

「あとは、大聖堂の人たちでもどうにもなると思います」


3人とも問題なしの報告。


「よし、ならラッツと合流して城に戻るぞ」


俺がそう言って外に出ようとすると、神父さんから声をかけられる。


「待ちなさい。君が本当に聖女様の夫であるなら、権力者に、特にあのエナーリアの王族にかかわるべきではない」


いや、嫁さんたちは聖女じゃないって、純潔は散らしているし、ここのメンバー全員子持ちですよ。


「あの王族たちは聖女様、聖剣使いさまたちを……」

「あ、ユキじゃないか、様子を見にきたのかい?」


神父さんがなにか言いかけたが、エージルの姿を見るなり、口を閉ざした。

……聖女様だわーい、利用してやろうって感じじゃないな?

どういうこった?

しかもあのセリフは王族への謀反とも取れるぞ。

……関係を霧華たちに洗わせるか、とエージルに返事をしないと。


「ああ、でも問題なさそうだな」

「うん、って言いたいんだけど、正直ユキのお嫁さんたちのおかげだよ。本当に、とんでもない強さだね」

「ラッツ、外回ってたみたいだけど、どうだ?」

「ええ、魔物は片付けましたし、あとは人手がいりますね~」

「そっか、なら俺たちは引き上げよう。これ以上、違う国の所属が色々やるのはまずいからな。そうだろう、エージル?」

「あ、うん。あちゃー、本当にまずいね。僕も城に一緒に戻るよ。報告と、部隊を派遣してもらわないといけないし」


そう、成り行きで色々助けはしたが、これ以上は内政干渉と受け取られる可能性がある。

それは、停戦をよしとしない相手には、丁度いい非難できる所になるのだ。

まあ、俺はこの騒ぎに乗じて手をまわさせてもらったけどな。


「と、すみません。神父さんこういう感じで、俺たちはジルバ帝国の一団なんです。何か色々話があったようですが、ここにいると変な意味でとられかねませんので、後日改めて、許可を取ってから伺わせてもらいます」

「あ、ああ。その時にゆっくりお話しいたしましょう。その奥様たちもご一緒に」

「わかりました」

「って、ユキ、この人は大神官様だから!! 失礼だよ!? す、すみません!!」


エージルが慌てて、その神父さんに頭を下げる。

いや、見た感じ変にゴテゴテして服着てるなーと思ったけど、大神官か、地球で言うところのロー◯法皇みたいな?


「いえ、頭を上げてください、エージル殿。私たちもユキ殿の奥様たち、エリス様、ルルア様、ミリー様たちに助けていただいたのです。この騒動でお互い名乗る暇もありませんでしたし、お互い様ですよ。と、ユキ殿が言われたように、お礼を申し上げたいので、こちらにくる許可を陛下たちにいただけますかな?」

「わかりました。ちゃんと正式に訪問できるように取り計らいます。あとは、僕が城に戻り次第、すぐに人員や資材を運ぼうと思います。一度こちらに集めますので、分担の予定を立てていただいていいですか?」

「はい、お任せください。このような事態になっても迅速に動いてくれる陛下に感謝いたします」


エージルと大神官の爺はそんな感じのやり取りを数度して、俺たちと一緒に城へ戻る。

まあ、お城の中も大混乱なんで、兵を派遣できるか分からないけどね!!

一応、ミノちゃんたち魔物部隊とデリーユ、ピースが一掃してて、既に仕上げ状態だとは思うけどね。

で、城へ戻る途中に霧華とすれ違った。

別行動というか、お城の連中には霧華は内緒だしな。


「主様、これが例の物です」

「ありがとう。あとは、場所を押さえててくれ」

「はい」


さて、準備は整った。

あとの仕上げは俺しだいか。



「さあ、大人しく斬られるがいい!!」

「大臣なにを……」

「陛下正気に戻ってください!! 彼奴らは停戦なぞ望んでいません!! このように、あの汚らわしい魔物と手を結んで、陛下たちを亡き者としようとしたのですぞ!!」


さーて、玉座の間に戻ってみれば案の定、停戦否定派がこの機に乗じてミフィー王女やミノちゃんたちを一気に捕縛か殺害しようとしてるね。

で、囲まれているミフィー王女は必死に弁明している。


「陛下、私たちはそのようなことを企んではおりません!!」


まあ、それぐらいしか言えんな。


「ならばどうして、ミフィー王女は魔物に襲われなかった!! なぜ、この陛下がおわす玉座の間に帯剣した護衛を連れてきた!!」


いや、普通にこの乱戦の中なら、王の周りが一番安全な場所だろうよ。

合流しようとするのは当然だと思うけどな。

というか、城の地理はミフィー王女にはないし、そこにとりあえず行くしかないだろうよ。


「なーにをいっとるか、妾たちが魔物を一掃してきたからに決まっておろう。何のための護衛と思っておるか」

「それも怪しいのだ!! 我らの精鋭ですら怪我を負っているというのに、お前らは傷一つ負っていない!! まさに、城を襲った魔物と手を結んでいた証拠ではないか!! また、魔物の部隊も同様だ!!」

「大臣貴様っ!! 我らと必死に戦って、ここまで来たミノタウロス将軍たちに向かって、その口の利き方はなんだ!!」


あ、ミノちゃんたちと一緒にいたハインさんが切れた。

あの人に手伝ってもらおうと思ってたから、流石に冷静さを無くしてもらっては困る。


「あのー、いったい何が起こってるんですか? 魔物を退治してよかったねって感じじゃないですが?」

「ちょっ、ユキ!?」


飄々とこの空気の中で発言した俺にエージルは目を白黒させている。

まだまだ甘いな。


「はっ、白々しい!! お前たちがこの惨状を引き起こしたと言っておるのだ!! ええい、なにをしておる、さっさとそいつらを捕らえんか!!」


大臣はそう言って周りの兵に指示をだすが、王様も迷っているようで顔色を窺って動かない。

さーて、仕上げを開始しますかね。


「えー、なに言ってるんですか? 俺たちは停戦しに来たのに、こんなことするわけないじゃないですか。まあ、そこは置いといて、さっき街に行った嫁さんたちが心配で追いかけたんですけど、なんか変な物を拾ったんですよ。これ、読めますかねハイン殿」


俺はそう言って、ある紙をひらひらさせながら、ハインさんに渡す。


「そ、それはっ!! か、返せ!!」

「なにをそんなに慌てているのだ大臣? むっ、これは……なるほど。ユキ殿感謝いたしますぞ」

「いえいえ、落し物を拾ったんですが、誰の物かわからない以上、信頼のおける人に相談して渡すのがいいでしょう?」


俺がそう言ってハインさんにニヤリと笑うと、ハインさんもニヤリと笑う。


「なるほど、その通りですな。いやー、これは私にも分かりませんな。そうだ、陛下ならわかるやもしれません。ほらこの通り、武器は外しました。どうか誰の物か見ていただけませんかな?」


くっくっく、分かっていやがるぜこの爺さん。

あと、大臣、お前分かりやすすぎ。

さて、周りの嫁さんたちも俺とハインさんのやり取りを白い眼で見始めた。

流石に付き合い長いからわかってるよな。

そう、この状況は俺が仕組んだ。

いや、大臣さんが自爆してくれたのよ。

俺はわるくなーい。

で、その大臣の様子と、ハインさんの演技を分かっているのか、王様もわざとらしくその紙を受け取る。


「ふむふむ。なるほどな、これは本人に詳しく聞かねばならぬな? なあ、ノク大臣。ローデイ国の印とエナーリア王都の襲撃を協力すると書いてあるな、お主の署名入りで」

「そ、それは何かの間違いでございます!! そうだ、あ奴らが私を陥れる為にやったのです!!」

「ほう? わざわざジルバから来た護衛殿が、お主とローデイ国の密約の書類を拾ったと?」

「そ、その通りです!! なぜそのような書類が道端に落ちているでしょうか!!」

「確かに、ユキであったな? この書類はどこに落ちておった?」


さてと、次のセリフでどんな反応するかね?


「いや、普通に道に落ちてましたよ? だって、城下町も魔物の襲撃があって、あちこち壊れてますし。多分、そのノク大臣の家も襲われたんじゃないんですか? というか、ついでにノク大臣の身の潔白を証明するために、屋敷を調べてはどうですか?」

「ふむ、確かにそうだな」

「そ、それはっ」


おいおい、あからさまに動揺してるなおい。

霧華が前もって調べて、この大臣が他国とよからぬことをやってるのは知ってたが、屋敷を探すとなにか出てくるような下手をしてるのか?

こりゃ、霧華に証拠を置いてきてもらう必要はなかったか?

わざわざ、魔物を呼び出せるマジックアイテムとかを前もって渡したりしたのに。

しかし、アレだよな、俺たちがエナーリアの重鎮たちと仲良くなれる為の生贄が必要だったわけだが、スィーアたちが襲ってくれたおかげで、ある意味助かった。

だって、俺たちがエナーリアの人達をわざと襲わなくてすんだし、いや、城の人だけにとどめるつもりだったけどね。

城下町まで魔物を暴れさせてくれたおかげで、暗躍がしやすかったわ。


「どうした? お主が本当にエナーリアへ謀反していないのならば、調べられても問題はあるまい?」


で、王様のその言葉が止めとなったみたい。


「くそっ!! ローデイの奴らめ失敗しおって、覚悟しろお前ら!! 今日から私がエナーリアの王となるのだ!!」


そう言って、俺が渡しておいた魔物を呼ぶマジックアイテム、まあ見た感じ黒い水晶を掲げると、今まで暴れてた同じ魔物、グレーターデーモンが現れる。

いやー、使う魔物まで同じだったから、あの時は驚いたよ。

でも、ダンジョンを使ってたなら納得なんだよな。

グレーターデーモンは一定の魔力が溜まると分裂、まあ仲間を呼ぶみたいなことができるんだ。

低コストで沢山揃えられる。

ウィザード◯ィのグレーターデーモン狩りは間違いでなかったということだ。

まあ、そんな事しても、たかだかレベル90の魔物が集まったところで……。


ドサドサッ。


そんな音が響いて、最後に軽い音で、トサッと何かが落ちる音がする。


「ぎゃぁぁぁああぁぁあ、私の腕がぁぁぁぁぁあ!!」


俺と、嫁さんたちには意味がないけどね。

のんびりとノク大臣を押さえて、呆けている王様たちに言葉をかける。


「あの、この大臣さんどうします?」

「はっ!? た、助かったぞ。大臣を捕らえよ!! そして大臣の家を捜索にいくのだ!!」

「「「はっ!!」」」


これで俺たちの実力も合法的にお偉いさんに見せられたし、ちょっかい出してくる奴は減ると。

あとは、外でファンファン略を踊っている2人を回収して、調べ物して……あー、まだやること多いな。

あ、でもこれだけは言っておこう。


真実はいつも1つ!!


そして、俺はわるくなーい。

難しい事件だった。

ユキのナイスファインプレーでジルバ御一行は濡れ衣をかぶらずに済む。

しかし、大臣の後ろには、真犯人の影。

ユキたちはローディ国という巨大な相手にどう動くのか!!


いや、黒幕はユキとかいうなよ?

じっさい他の国も動いてたから、悪くない。

あと、前書きがヒントじゃなくて答えになってるとか言わないように。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 軽く暗躍しようとしたら結構真剣に暗躍してた奴らに先越されて、そこで丁度いいやって予定どおりに進めてしまう安易さ 陰謀論どこ行った?
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