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第181掘:ジルバ帝国の落日 ゴブリンの章

ゴブリンの章




現実にルール違反など存在しない。

ルールなんてのは人が勝手に規定しただけのもの。

なるべく、対等に見えるようにと、比べやすいようにと、人が人を測るための道具と言ってもいい。


つまり、対等なんてのはあり得ないし、同じ条件なんて存在しない。


そもそも、対等であるなら結果は引き分けしかありえない。

どちらかが勝ったり負けると言う事自体が、対等ではなかったという証だろう。


いや、こう考えるならありだな。

生き物全ては対等だ。どういう手段を取っても構わないと、世界が肯定してるのだから。

最初から、生まれた時から無数の選択肢が存在している。

その選択の結果が今だ。


だからな。お前も色々考えて生きていけ。

俺も色々教えるが、そんなのは世界の情報量に比べれば些細なもんだ。

お前自身で感じたことはお前だけの経験だし、情報だ。

そして、ゴブリンであるお前が弱い、卑しい生き物、それだけじゃないって、見下す奴に教えてやれ。



ま、それの第一歩として、俺との戦闘訓練を行う。



side:スティーブ



なんか、大将と訓練をしていたころを思い出すっす。

だって、魔剣使いの姉ちゃんの行動がいきなり目の前から消えたと思ったら。


「死ね」


後ろから声が聞こえてくるっす。


「なっ!?」


あ、今の驚きの声は俺じゃないっす。

魔剣の姉ちゃんからっす。

なぜかというと、必殺の不意打ちはあっさりおいらにかわされたからっす。


「んー。発想は悪くないっすけど、不意打ちするときに声だすなんて間抜けっすよ? それともスピードに自信があったっすか?」


おいらはさっと、魔剣使いの姉ちゃんに向き直る。


「……どうやって」


姉ちゃんはそんな風に不思議そうにしているので、普通に言っちまったっす。


「いや、前に逃げただけっすよ。目の前にいないなら、上か後ろしかないっすからね。前方が安全っす」

「……敵がいきなり消えて、そんな的確な判断ができるわけない……」


そう、普通はその場にとどまって辺りを探る。その場で周囲を確認したりって感じで。

しかし、残念ながらそんなことは経験済みっす。

大将と練習試合してた頃は、いきなり目の前から消えて、変な所から攻撃されるなんて当たり前っす。

というか、止まってるのがダメってことがよくわかったっす。

戦場では常に頭や体を動かし続けるのが大事っす。

だけど、これだけやっても大将相手にはいまだに一本取れないっす。

だって、魔剣の姉ちゃんみたいに斬りかかってくれないっす。遠距離からの狙撃とか躱せねーっす。

いや、勘でかわしてたデリーユの姉さんは凄いと思うっすよ? でも人やゴブリンにできる動作じゃないっす。


「何事も練習っす。その程度のことは大体経験済み……ってなにか悲しくなってきたっす」


はぁー、普通のゴブリンになりたいかと言われればノーっすけど、こんな多忙な職場もあまり……。

そうやって少し境遇を嘆いていると、魔剣の姉ちゃんはその隙にとまた消えているっす。


「もう、少しは自分に優しく出来る時間ぐらいくれてもいいじゃないっすか」


ガキン


そんな音が、左からする。


「甘いっす。そもそも、この盾すら傷をつけられないなら勝負にならないっす」


そう、わざと攻撃を受けたっす。

なんで盾を持っている左に攻撃したか理解に苦しむっすが、実はどこから攻撃されてもOKだったっす。

ナールジアさんお手製の大将を見習った多重障壁の術式がおいらの武具に付与されているっす。

だから、この新大陸のレベル帯の攻撃では通らないっす。

というか、流石に傷ぐらいつくかなーっと思っていたっすけど、それもないとか、酷い格差があるっすね。

これ、大将の故郷じゃチートっすよチート。

あ、ならこのセリフが合うんじゃないっすかね?


「ふふふ……」

「なにがおかしい!!」


お、おいらが含み笑いしたらのってきてくれたっす。


「この様じゃ、後が大変っすよ。この中でおいらが一番弱いっすから!!」

「なっ!?」


おお、驚いてる驚いてる。


「いや、それなにか違くね?」


横から大将が疑問を投げかけてくる。

片手間で魔剣使いの姉ちゃんを相手しながら大将と話を続ける。


「あれ? そうっすか?」

「それってさ、四天王の中で最弱!! って感じで言ったんだろう?」

「そうっすよ」

「それって、お前がやられてから、次の奴のセリフで死亡フラグだから」

「あれ、おいら死亡フラグたてたっすか?」

「いや、自分で一番弱いって言い切る敵はそうそう見たことないな。ある程度似ているっていうなら、私で十分です。とかいう側近みたいな奴のセリフだが……」

「おいら、進んで仕事は増やしたくないっす。その側近さん勤勉っすね」

「お前ならそうだよな。じゃ、やっぱ新しいジャンルだわ」

「どういうジャンルっすか?」

「あー、なんだろうな……」


そうやって会話をしていると、なぜか攻撃が止まった。


「ん? どうしたっすか?」

「ふざけているのか!!」


あれ、なにか怒っているっす。


「いや、ふざけるもなにもないだろう。なあ」

「そうっすね」


ふざけるもなにもないっす。


「それ以前の問題だ。スティーブを真剣にさせられない様な腕で真面目にやる理由もないわ」

「それは侮辱だ!!」


侮辱っていわれてもっすね。


「そこでボケっと傍観している王様」

「な、なんだ」

「俺たちが本気になっていい?」

「どういう……」

「いや、聞くなよわかってるだろ。そこの魔剣使いでその様だ。俺たちが全員動き出したらどうなるかね?」


ああ、大将がなんか脅しをかけてるっす。可哀想に。


「ふん。ただ倒せなくて戦いを引き延ばしているだけではないか。そのゴブリンは一切攻撃しておらぬ。攻撃ができずに守るのに手一杯なのだろう」

「おお、すげー。あの戦闘を見てそういうコメントが出せるってある意味スゲーわ。よし、スティーブさっさと片付けて良し」

「ういっす」


大将がそう言うなら情報収集は終わりっすね。

あの姉妹から聞いた通り、もう一人魔剣使いが王城に残ってたっす。

魔剣の能力は聞いてなかったっすけど、まさか転移系だとは驚いたっす。

でも、使うほうがこれじゃ残念っす。


「来るか!!」


意気込んでるところ悪いっすけど……。


ズドン


そんな音が響いたあと、魔剣使いの姉ちゃんは窓に突っ込んでいた。

いや、おいらがやったんすけどね。


「剣を振りかぶっておいて、蹴りとかお前も染まったね」

「どうも、大将のおかげっす。というか、剣で斬りつけたら真っ二つになるっす」

「ああ、やっぱそれぐらいある?」

「あるっすよ。手加減が凄い難しいっす」


差が本当にありすぎるっす。

会話しながらどうにでもできるって驚きっすよ。

あれほど転移の無駄使いは見たことないっす。

大将みたいに武器だけ体内に飛ばすとか、半分だけおいらを転移して真っ二つにするとか、色々考えがあるだろうに……いやないんすね。

やっぱ大将がズレてるんすよ。


「おい、なにか馬鹿にされた気がするんだが」

「いえ、大将は鬼畜だってことを再認識しただけっす」

「馬鹿にしてね?」

「それよりも、そこの王様と話はいいんすか?」

「あ、そうだった」


そう言って大将は固まっている王様に視線を向けて口を開く。


「はい、倒して見せたけど……今度は自分自身も含めて全員ああなってみる?」


窓に頭から突っ込むオブジェっすか。

女性ならお尻とか胸の見る価値はあるっすけど、男は気持ちわるいだけっす。

転移の魔剣使いエア敗れる!! 蹴りで。

いいか、俺がまともな戦闘を書くわけがねえ!!

いかに、簡単に終わるかを考える!!

いや、ユキのストーリーではね。タナカとかタイキとかは普通に戦闘かくよ。


さて、スティーブが普通に勝ちましたが、その過程に至るまでユキの相当な扱きがあったのです。

そして、ガンダムブレイカー2のコメントを多々いただいておりますが、いろんな機体を使うのはいい。

しかし、俺は一貫してジム、そしてガンダムサーベル、ビームスプレーガンで戦い抜く所存である。

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