表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/2174

第147掘:嫁さんたちへの説明と説得

嫁さんたちへの説明と説得





side:ユキ



「さて、ユキどうしたのかしら?」

「お兄さんが改まって皆に話があるってことは大体大事ですからね」

「ですが、旦那様に私はいつまでもついて参ります!!」


セラリアが疑問を言って、ラッツが真実を言い当て、ルルアが付いてくると言ってくれる。

あー、いい嫁さんたちだから、巻きこむのは気が引けるんだよな。

俺がこっそりやってもいいわけだし……。


「……皆、ユキが厄介事を1人で背負い込むつもりだわ」

「おい、ラビリスいつの間に……」


いつの間にかラビリスに体を掴まれ、頭の中を読まれた。

その瞬間嫁さんたちが剣呑な空気に包まれる。


「私たちは何処までも一緒に参ります!!」


シェーラがそう言うと、他の皆が同時に頷く。

同時って練習してるんじゃねーだろうな。


そこは置いておいて、ともかく、ルナに言われた内容をとりあえず説明する。


「何を考えてるのよルナは。ウィード自体はそれなりに安定しているけど、周りはまだまだよ」

「ですが、ルナの言っている事が本当でしたら、魔力の枯渇問題は放っておけませんよ?」

「というか、ユキさんの大陸を救うって言うのは魔力の枯渇を防ぐ事だったなんて初めて知ったよ。僕の考えじゃ及びもつかなかった」


セラリアは現在の大陸の状況を見て無理をいうルナに対して文句を言う。

ラッツは魔力の枯渇問題は放置すべきではないと言っている。

リエルは俺の大陸を救う真意を聞いて驚き、他の皆もうんうんと首を縦に振る。


「しかし、それなら各国に魔力枯渇問題を言わないのはなぜですか?」


エリスが当然の疑問を言う。


「そうです。大陸全体の問題ですよ?」


トーリもリエルの意見に賛同して同じように疑問形で聞いてくる。

だけど、それは色々問題があるわけなのよ。


「あ、そういう事ですか……」

「納得ですね」

「……っち、手を出さざるを得ないわけね」


トーリが大陸全体の問題と言ってルルア、シェーラ、セラリアが反応を示した。

流石、統治者、支配階級だっただけのことはあるな。


「えーと、どういう事でしょうか?」


リーアが首を傾げて、説明を求める。


「ルルア、説明お願い」

「セラリア、いいのですか?」

「私はちょっと調整をしないといけないわ。一応ウィードのトップだから」

「あー、そうですね。セラリアの立場ならそれをしないと身動きが取れないですね」


納得したのかルルアが説明を始め、セラリアは既に調整の為に部屋を出て行っている。


「では、エリス、トーリさんの疑問にお答えしますと……。そんな事信じられないと言われるだけです」

「「「え?」」」

「というか、むしろ下手にこの事を諸外国に告げれば無用な騒動を起こしたとして罰せられるでしょうね」


ルルアの答えに他の嫁さんたちが唖然としている。


「えーと、ユキさんやルナの説明が本当なら、魔力が無くなってこの大陸の殆どの生き物が死ぬかもしれないんだよ?」

「リエルの言う通り、そんな大問題への対応をお願いするだけで罰せられるのかしら?」


リエルとミリーが理解できないと言わんばかりに首をかしげている。


「理由は簡単です。それを信じられるかという点につきます。私たちが得たこの魔力枯渇問題が真実であると信じられるのはなぜですか?」

「それはユキさんやルナが……、あ、そういう事ね」


エリスは答えにたどり着いたのか、苦虫をかみつぶす様な表情になる。


「ルルアお姉ちゃん、私わかんないです」

「私もわかりません。兄様が嘘をつくはずないのです!!」


アスリンとフィーリアは分からなくて仕方ない。

非常にめんどくさいことだからなこれは。


「つまり、私たちがお兄さんやルナの言葉だけで忠告しても誰も納得しないと言う事ですね?」


ラッツもエリスと同じように答えにたどり着いたのか難しい顔をしている。


「えーと、ごめん僕もわかんないや」

「すみません、私もです」

「……私も」


獣人組にはちと難しかったか。

まあ、前提として大陸全土の問題という認識があるのがいけないのかね。


「そうですね。例えばウィードでこういう人が出たとしましょう。このウィードに住むと世界が破滅するから他所で暮らすのだ!! さて、ここの統治者である私たちはどう動くべきでしょうか?」

「そんな与太話でウィードの人を心配させるわけにはいきませんから注意して、酷いなら捕まえ……あ」


トーリは模範的な解答をして、問題が分かったようだ。


「そうです。現実的な問題が目に見えていない事を言われても信じられないのです。それが莫大な労力を必要とするならば尚の事、国は動きが鈍るのです」

「……それが間違いであれば損失がとんでもないから?」

「はい。例え真実であっても、納得できる証拠が無ければ絶対に動きません。私たちだって、常に情報を仕入れ証拠を集めてから動いてきたのですから」


まあ、ルルアの言う通り。

まだこの世界の文明レベルならリテアの宗教を利用してこの大陸だけなら浸透させる事が……無理だな。

魔力枯渇するからそれを防ぐため全員ダンジョンで暮らしてください。

うん、無理すぎる。証拠もないのに神から言われましたって言えば頭おかしい奴認定だな。

地球でも同じこと。日本の国会議事堂の前で1人が世界破滅を叫んでもなんだこの人ってなるわけだ。


「うーん、そういう事か。でもさ、それで何でこの新大陸に行くことが決定するの?」


リエルがいい質問をした。

なぜ、この魔力枯渇問題が上がっている中で、わざわざその枯渇している大陸に俺たちが足を延ばさなければいけないのか?


「それこそ簡単です。旦那様はザーギスさんを使って魔力の研究及び、一般道具化を進めているのは知っていますね?」

「……知ってる。魔力製のライトは電気ライトと同じぐらい便利」

「はい、それはユキさんが魔力枯渇の証拠を集める一環だったわけです」

「へ? どういう事?」

「旦那様から魔力枯渇問題を聞いて、ザーギスさんと積極的に魔力の研究をし、それを各国に情報、技術提供する計画の真意がこの問題の為だったのです」

「それは、今後の交易の為じゃないの? 色々道具が増えるといいって言ってたし、魔力の研究を他国でもやってくれれば面白い発想が生まれるかもって」

「それもあります。ですが、魔力を研究するに至って最終的に魔力が無くなればどうなるか? という研究もされるはずです。それの研究成果が各国で共通の答えとなれば、1人や1国の妄言ではなく魔力の枯渇問題が全体の危機として認識されるわけです」


そう、俺の当初の予定はそれだった。

まあ、ザーギスと協力して電化製品の開発をして魔力が枯渇した場合の対応もしているけどな。


「ですが、今日ルナによって、魔力が枯渇した新大陸を提供されたのです。これは、各国を説得する絶好の場所になると言う事です」

「あ、そういう事か。魔力枯渇の証拠を手に入れられるってことだね」

「はい。ですが、ルナの情報だとそこは私たちの大陸と同じく争いが絶えないそうです。そして、原因不明の魔力枯渇。これを私たちで調べ上げ、解決策を見出した上で各国へ見学してもらい、協力を仰ぐのがいいと思ったのでは? 違いますか旦那様?」


うひゃー、ルルアもズバズバ正解を言い当ててくるな。

そうなんだよ。丁度いいサンプルがあるから、研究場所に使おうってことだ。

だから、下手にウィードから繋いで魔力供給させるのをルナにやめてもらった。

原因を探るまで、新大陸への魔力供給はストップ。生態系になにが起こるかもわからんしな。

いきなりドラゴン大量発生とかしたら、国が落ちそうだし。


「正解、正解。とまあ、そういうわけで俺たち、嫁さん皆と少数の魔物でその新大陸を調べる事になる。ダンジョンを通じて大量の魔物軍団を送っても、この大陸から新大陸へ魔力提供しているようなものだしな。だから、新大陸で冒険をすることになるな」

「「「冒険!!」」」


元冒険者である嫁さんたちの目が光る。


「と言っても、群雄割拠だ。争いに巻き込まれるだろうな……。そこら辺がアレだよな」

「えー、ユキさんがもういっそ王様になって新しい国を作ればいいんじゃないかな?」

「……賛成」

「リエルとカヤもその国の警備仕事任せるぞ」

「「ごめんなさい」」


即座に頭を下げて謝る2人。


「あっはっはっは。そうですね、私もこれ以上、スーパーラッツの仕事が忙しくなってもアレですし。よくて将軍職に就くぐらいでしょうか?」

「まあ、必要以上に強い力は必ず権力者に目をつけられるからな。特にデリーユとリーアは気をつけろよ」

「「え?」」

「いや、2人とも魔王と勇者だからな?」


そういうと魔王デリーユと勇者リーアはお互い顔を見合わせて、此方に振り向き……。


「その前にユキの妻じゃしのう」

「はい、奥さんです」


向こうに行って、一番大暴れできそうな2人はそろって俺の奥さんという立場が最優先らしい。

まあ、権力者に思うように使われることは無さそうなので安心かな。

尤も、俺がそんな事させないけどな。



後は、どんな編成とローテーションで冒険するかだな。

流石に全員でウィードを空けるわけにもいかないし、セラリアは調整といって飛び出していったから冒険についてくる気まんまんなんだろうな。



頼むから、新大陸で建国することがありませんように!!

これがユキのルナから提示された、魔力枯渇に対する解決策です。

魔力の研究を促し、魔力枯渇の危機を自分達で認識させ、それに対する対策を自主的にするように誘導する。

ユキ個人や、たった3国でこの話を推し進めても無理があるからね……。

地球の環境問題とかが特にそうだべ、現在の地球でも改善できていない世界規模の環境問題をどうにかする為の策。

ある意味、文明レベルや個人の知識レベルが低いから、地球よりも改善しやすいのでは、とユキは考えています。


ま、新大陸を自由に安全に歩きまわれるようにしないといけないけどね!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ