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落とし穴26掘:デリバリーの定番

注文ができる地域で時間が間に合うといいですね。

デリバリーの定番





side:ユキ




今日もまだ暇な日々が続く。

セラリアはクッキーの開発で時間をつぶしているが、俺はセラリアの手伝いはせず縁側でのんびりお茶を飲んでいる。


「平和ですね」

「だな~」


リーアとのんびり縁側を眺める。

因みに、クッキーの時も会話には参加してなかったけどずっと傍付きでいたからね。

クッキー作りも手伝ったから。

あれだ、セラリアメインのダイジェストだからリーアのシーンはカットされた的な感じで、影が薄いわけじゃない。

と、リーアの姿云々はいいとして、俺と同じで、リーアもここ最近暇である。

まあ、お仕事が俺の護衛だしね。因みに給与は発生してます。他の嫁さんから捻出してる感じ。だけど懐は特に痛くもない。

だって、このウィードにいる限り、俺たちダンジョンの事実を知ってるやつはDPで何でもできるしな。

何でもは誤解があるか。ウィードの住人がいる限り、DPが毎日ガッポガッポでそれを使った物資を補充できる。

ここまでするのは苦労だが、できてしまえば無限物資と言っても過言ではないだろう。

と言う事で、わざわざウィードや他の国でお買い物をしない限りお金を使わないのだ。

まあ、嫁さんたちは重役なので色々お金を使って部下をいたわったり、交渉事で自腹を切ったりとやっているが。

と、話がずれた。


「リーアは買い物とかはいいのか?」

「特には、ナールジアさんに作ってもらった普段着も可愛いですし、ラッツさんからパンフレットを見せてもらって可愛い洋服は出してもらいましたし」

「あー、そうか」


リーアはウィードに来て日が浅いし、何から手をつけたらいいかわからないのだろう。

そして、大体の贅沢品はラッツやリエルから服やお菓子を散々もらっている。

この大陸の生活水準を見れば王族並の贅沢をリーアはしているわけで、これ以上なにかないかと聞かれても困るわな。


「……お布団いきますか?」

「いや、やめとこう。いい加減俺が干からびる」

「残念」


なんでこういう思考は嫁さんたちは皆同じかね。

痴女ってわけじゃないのだが、俺に対して積極的すぎる気がする。

嫌いではないが、俺だって体力は有限なのである。


「しかし、買い物に行くわけにもいかないしな」

「まだ私たちは魔王城で迎撃準備中ですから、建前上」


実際は、のんびりと身代わりで自宅勤務なのだが。

となると、ゲームをしてもリーアが楽しめないわけじゃないが、セラリアの二の舞になる可能性があるので、やめておこう。


「うーん、じゃあ新しい晩御飯でも考えてみるか」

「晩御飯ですか?」

「おう。リーアは意外とステーキ好きだったよな」

「あ、はい。お肉は祭りぐらいでしか食べられませんでしたから。ここでは違いますが」


リーアの好物は分厚いステーキに香辛料とステーキソースをかけたやつ。

トーリやリエル、ラッツ、ミリーも好きだよな。

皆で肉肉肉と連呼されると頭おかしくなりそうになるわ。


「そっか、こういう時代だとお肉は高級品になるのか」

「はい。もっとも、ユキさんが焼いたステーキは柔らかくてとろけるんですが、外のは固いです」


まあ、そりゃそうだろうよ。

この大陸の水準からすると、食肉用ってのは歳をとった家畜か、魔物の肉かって事になる。

前者の歳をとった家畜は食用にしてるわけじゃないので、肉が美味しくない。

いや、日本の基準で考えるとって前提が付くけどな。

基本的に食用とされる動物は食べること前提に育ててるから、日本とこの大陸の家畜肉は雲泥の差があるわけだ。

そして、後者の魔物肉。これは冒険者が仕留めた魔物を食うわけだが、これは一般に殆ど出回らない。

美味しい肉の魔物も確かにいる。しかし、そういうのは金持ちや貴族が持ち去ってしまう。

あと、肉が出回らないのは、長期保存には適さないから。

干し肉や燻製が精々と言ったところで、そのままの肉を使う料理がそこまで発展していない。

ウィードを中心に肉料理を色々広めてはいるが、まだまだ浸透に時間がかかりそうだ。


「じゃあ、ステーキも混ぜた料理にしようか」

「ステーキを混ぜる? 沢山料理を作るんですか?」

「あー、どうだろう。あっているし、間違ってもいる」

「どういうことですか?」

「俺が作る料理は1種類だが、それに沢山のバリエーションがあると言うべきかな?」


結局料理の名前は言わず、リーアにはお手伝いをしてもらう事になった。

俺が用意するのは生地、クリスピータイプと普通の厚いタイプが現在の日本では主流だ。

リーアは横で好きな料理を自分で出来る限り下準備や完成をしてもらっている。

後はその作った料理をその生地に乗せてチーズをまいて焼くだけである。



その料理はピザ、又はピッツァ。



子供から大人まで多くの年齢層に愛されている、日本ではおなじみのデリバリー食品の代名詞である。



「また変な料理を作ったわね」


とセラリア。


「これは、パイみたいなものですか?」


とエリス。


「いい匂いですね。ああ、冷凍食品にもあったピザですか」


とネタバレをするラッツ。

まあ、色々皆で感想はあるのだが、最後はここに収束する。


「「「食べていい?」」」


と言う事で、ピザの争奪戦が始まった。


まず真っ先に無くなったのがステーキを小刻みに乗せたピザ。


「その手を放してくれるかしら?」

「いや、僕が先だったよ!!」


睨み合いを続けるミリーとリエル。


「私たちは分けましょう」

「それがいいですね」


穏便な方法をとるトーリとリーア。


次に無くなったのはポテトサラダを乗せたピザ。


「まだ食べれそうです」

「ですねぇ、ジャガイモをこんな風にチーズと一緒に食べるだけでここまで変わるとは……」


エリスとラッツは驚きながらも、他のピザに手を伸ばす。


そして、ピザと言えばお約束の飲み物がある。


「くっはー!! ビールが美味しいです!!」

「そうね。ワインもいけるわ」


ナールジアさんとセラリアはお酒のツマミとしてピザを楽しんでいる。


そして何よりピザは……。


「お兄ちゃん、何かお祭りみたいです!!」

「……そうね。ピザがいろんな種類あるから、お皿を持って歩いて回ってるものね」

「ピザは素晴らしいお料理ですね。そして、ユキさんの手作り。最高ですねキルエ?」

「はい、とても美味しゅうございます。ですが、毎度思うのですが、私の立つ瀬がないというか……」

「皆あっちに美味しいピザがあるのです!! 兄様もこっちです!!」


そうやってフィーリアに手を引かれて、目標のピザへと歩いてく。

全員が楽しそうに食事をしている。

普段の料理とは違う趣。



そう、皆でワイワイやって食べる物だよな。



いや、1人で1枚ピザを独占するってのもある意味贅沢だけどな。

俺は悪くねぇ!!

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