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第134掘:覗き見

覗き見





side:ラビリス



この忙しい時に緊急招集がかけられたわ。

ユキの言った通り、すぐに部下に仕事を丸投げにして、指定された場所に集まったの。

そこは女性会議場。

旅館の一室を使った、妻たちの為のお部屋。ユキは原則立ち入り禁止。

そもそも、ユキが私たちのために用意してくれたの。


「で、どうしたんですか? 流石にこの会議場は私用ですよね?」

「セラリア、どうしたの? 緊急にしてはアレだと思うのだけれど」


私と同じく疑問に思っていたのか、ラッツにエリスが首を傾げて、セラリアに質問をする。

他の皆も同じ疑問を持っているようで、招集をかけたセラリアの答えを待っている。


「ん、あら? リーアさんはユキさんの付き人のはず。なぜここに?」

「あー! 職務怠慢だぞ!!」


エリスが横にいたリーアに気が付いて、リエルが非難をする。


「まあまあ、私が引っ張ってきたのよ。怒らないであげて」

「と、言うことはリーアさん絡みのお話ですか?」

「そうよ、ルルア。正解」


そうセラリアが答えて、今度はリーアに視線が集まる。

ああ、なるほど。落ちたわね。

まったく、流石はユキね。


「あ、あのっ、奥様方!! そ、側室に加えていただきたくっ、あ、あわ、わわわ」


今までとは全く違う可愛い表情に唖然とする皆。


「というわけよ。そして、彼女が今まで名前を呼ばなかったのは、名前だけが聞こえていなかったらしいわ。だから、集まってもらって自己紹介をしてもらおうと思ったわけ」

「……そういうことだったのね。リーア、よく頑張った。私はカヤ、歓迎するわ」


カヤが即座に返答する。

彼女が一番リーアの動向を心配していたわ。

それから皆、続くように自己紹介をしていく。


「リーア、これからよろしく。エリスよ」

「私はラッツですよ。お兄さんをしっかり守ってくださいな」

「私はトーリです。ユキさんの護衛を、私たちに代わってお願いします」

「僕はリエルだよ。みんなで頑張ろうね」

「私はアスリンです!!」

「フィーリアです!!」

「……私はラビリスよ」

「私はルルアといいます。お互い旦那様を支えていきましょう」

「シェーラと申します。妻同士頑張りましょう」

「シェーラ様のメイドのキルエと申します。リーア様よろしくお願いいたします」

「おう、その心意気じゃ。妾はデリーユじゃ」


そう言って、リーアが少し首を傾げている。


「あの、ミリーさんという方がいると聞いたのですが?」

「ああ、彼女が一番遠いし、忙しいから遅れてるんじゃないですかね?」

「多分わかると思うけど、ミリーは旅館に迎えに行った1人の人族の女性よ。冒険者区の代表をしていて、ギルドの色々で忙しいのよ」

「なるほど」


そうやって、ラッツとエリスがリーアに説明していると、扉が開かれる。


「ごめんごめん。遅れちゃった」


妻の中でルルア>エリス>私>の次に胸が大きいミリーが来たわ。

リーアはミリーの次ぐらいね。


「おお、ようやく来ましたか。今リーアがお兄さんの側室入りを許してほしいって言ったんですよ」

「私たちは承諾済み。あとはミリーだけよ」

「本当!? よかったー。リーア、ユキさんのことお願いね。あの人は本当に大事な人だから」

「はい!!」


ミリーはユキの護衛ができたのが嬉しいのか、キャッキャッとリーアの手を取って喜んでいる。

一番依存が高いからねミリーは、いや私もかな?


「あの、そのことで、ミリーさんにお願いがありまして……」

「何かしら?」


ミリーが首を傾げて続きを促すがリーアはなんとなく言いづらそうだ。

見かねたセラリアが笑顔で続きを喋る。


「簡単よ。今日はミリーがユキを独り占めの日でしょ。でもリーアも混ぜて欲しいのよ」

「ああ、なるほど。うん、大丈夫よ。でもリーアって初めてかしら?」

「あ、はい」

「うーん、それじゃいきなり複数プレイはアレよね。そうだ、私と代わりましょう。それがいいわ。ユキさんも驚くわよ」

「それはいいわね」


うん、それは面白いと思うわ。


「え、え?」

「ミリーが初めては2人っきりでって譲ってくれたのよ。頑張りなさい」

「は、はいっ!! がんばりましゅ!!」


そうやって、リーアが答えるのを皆嬉しそうに眺めている。

うん、私たちの絆は固いわね。


「そう言えば、リーアってユキさんのどんなところに惚れたのかな? 僕はね、ユキさんの普通に優しい所がいいんだよね。僕ってさ、こんな変な黒と白が混ざってる髪じゃん。ユキさんはメッシュみたいでカッコイイとか可愛いって言ってくれるけど、村ではいつも1人ぼっちだったんだ。だからさ、ユキさんは普通に接してくれて嬉しかったんだ~」


へえ、リエルがなんでユキを好きになったか、知らなかったけどそう言う理由なのね。

うん、ユキらしいわね。分け隔てなく接するいい所よ。


「え、えと。その、まだ特には話せていません。お仕事ばかりで、その、普通に話す事があまり……」

「え? じゃ、どうして惚れたの?」

「ふふ。リエル、リーアはねリエルと同じことを言っていたわよ。夫の自然な優しさがいいんですって。勇者様に見えたそうよ」


セラリアのその言葉に皆目がきょとんとなる。


「勇者様かー。うん、そうだよね。ユキさんって勇者様に見えるよね」


リエルが意外そうに、それでいて今まで何で気が付かなかったのか不思議そうに言っていた。

リーアの言葉は納得だ。

うん、ユキって皆に優しくて、多くの人を救って、それでもなお頑張っている。

これを勇者と言わずなんと言うのだろう。


「はい、そうなんです!! 奴隷だった私にも丁寧に仕事を教えてくれたり、気遣ってくれたり、沢山沢山優しいんです。伝説の武器とかスキルとかもないですけど、きっと勇者様なんです!!」


決まりね。リーアはユキの妻に相応しいわ。ユキの勇者の資質に気が付くなんて、凄い子だわ。


「そういえば、ユキさんには告白とかはしてないのよね?」

「……はい」


唐突にミリーがリーアにユキと関係は何処まで進んでるのか詳細を聞いている。


「あー、それは不味いわ。ユキさんも実はリーアのこと好きなんだけど、あの性格でしょ?」

「……そうね。ユキのことだから、下手に今日夜這いでもしたら、心配して逆に手を付けてもらえないわよ」

「ええ!?」


うん、あり得るわ。

ユキったら、変に優しいから、無理やりに奪う愛もあるのよ。

まあ、爆発付きだから仕方ないとは思うけど。

全員私と同じ考えに至ったのか、少し遠い目をしている。


「じゃ、じゃあ無理やりに既成事実を!!」


そっち方向はダメよ。きっとユキの寿命が縮むわ。いえ不老だけど。


「悪い手ではないと思うけどそれは最終手段にしましょう。リーアの初めてが襲う方なんて……いいかも」

「はいはい、エリス。変な欲求はユキさんに自分自身でやってよ」


エリスはエッチに関しては妻の中で一番飛び抜けてるから。

ユキが良く持つわ。いえ、大概気絶してるけど。


「ともあれ、まずはストレートに告白して夜に持ち込むのが一番だと思うのだけれど?」

「そうですね。お兄さんも正面向かって好きと言われて手を出さないほど、朴念仁ではないですよ」

「……そうね。じゃ、どうやって告白に持ち込むかね」

「あ、あの。よろしくお願いします!!」

「「「任せなさい」」」


ユキ、あなたはこんなにも愛されているの。

少し面白半分だけど。ごめんね。



『お、リーア。セラリアとの訓練は終わったか?』

『は、はい。ユキさん』

『お、名前で呼んでくれるのは初めてだな。深くは聞かないがよかったな』

『はい』


あらあら、ユキの名前呼ぶだけで真っ赤になっちゃって。

因みに妻達は現在覗き見中。

こんな面白いことをほっておくなんてできないわ。


『じゃ、こっちの書類分けてくれ。各部署に回さないといけないから』

『わかりました』


そして、しばらく仕事が続く。

うん、仕事はちゃんとこなしているようだし、こっちの方も問題は無し。


「さあ、リーア。2人きりのこの間に言ってしまうのよ。外に出ればチャンスは少ないわ」


ミリーがそう言って、コール越しに指示を出す。


『あ、あのユキさん!!』

『ん、何か問題でもあったか?』


頑張るのよリーア。

リーアは声をかけてから一気にユキに詰め寄る。

そして、唇を塞ぐ。

うん完璧よ。


『んっ!?』


ユキも驚いてるわ。


『あの、好きなんです!! どうか側室に加えてください、奥様方にも許可は取っていますから大丈夫です!!』

『……お、おう』


ふふふ、あまりの急展開についていけてないわね。


「これなら大丈夫そうね」

「ええ、ユキさんなら後は上手くやるでしょう」

「これ以上覗き見るのは無粋ね」


そう言って、最後に花が咲いたようなリーアの笑顔を見てコールを切る。



その後、ユキとリーアが旅館に戻ってきたとき、ユキがゲッソリして、リーアがツヤツヤだった。



……あら、あそこでやっちゃったのかしら?

勇者覚醒!!

ユキ喰われる。

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