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第116掘:各国の勇者への対応

各国の勇者への対応





side:ユキ



さてと、休憩もおわりましたし。

各国のランクスへの対応を聞いておこうかな。


今回のランクス姫の発言による魔族の動きは偵察が来る程度になりそうだし、本格的に構えなくてよさそうだ。

王達への魔族の情報を渡すこともできたし、上々の成果と言っていいだろう。

正直、ある意味ではランクスの姫には感謝しないといけないな。

お蔭で、魔族関連の情報をスムーズに開示できるようになったのだ。

ただ紹介しただけでは、即刻処刑や、情報に聞く価値無しとして処分を回避するのに大変だっただろう。

だが、ランクスの姫によって、魔族の動きを聞かないといけない状況になった。

相手の動きを知る為に、いや、普通はどの状態でも情報収集をしないといけないのだが、この大陸は根底から魔族は悪と決まっているので、話を聞ける状況を作らないといけなかったってわけだ。


もしかすると、魔王が軍勢で攻めてくるかも、という事態を使ってな。


こっちから、魔族を捕縛してこき使ってますっていうと、ウィードを良く思わないやつは魔王と繋がっていると要らぬホラをばらまくだろう。

そんな事で、亀裂がそうそう入るとは思えんが、個人的な危険度は増すのだ。

暗殺とかな。

変に正義感の強い馬鹿を煽って、俺を殺しに来るのは別に構わんが、嫁さんに牙をむかれたんじゃ、心配でたまらない。


そんな事を休憩中、嫁さん達に話すと……。


「「「貴方が心配でたまりません」」」


と声を揃えて言われ。


「「「早急に護衛専門の妻を探さなくては」」」


真面目にもう一人嫁さんを探し出すつもりでいやがる。

魔物でいーじゃんって言えば。


「「「貴方の命令に逆らう人じゃないとダメなんです」」」


ああ、なるほどね。

守るってのは暗殺とかじゃなくて他の方面もあるのか。

今までモテてなかったから考えてもなかったけど、真面目に変な女に責任とれっていわれると、立場上大問題だよな。

それを防ぐために24時間警護の相手がいるわけだ。

兵士だと俺の命令に逆らえないし、プライベートだと言えば簡単に追い払われる。

しかし、妻となれば話は別。

ずっと一緒にいることになにも問題がない。


これは、俺からも探しておくべきだな。

護衛も兼ねるから、しっかりした人じゃないとだめだ。

俺に惚れた腫れたでは務まる様な事じゃない。

オリエル、クアル、キルエ、アンナ、そんな忠義厚くそれなりの武力と知力がいる。

……どこにいるわけ?


この四人を引っ張れない事はないが、全員専属の主がいるしな。

しかも仕事持ちだ。


ま、これはすぐにどうにかなる話じゃねーな。



そんなこんなを考えていると、全員が席につき始めていたので俺も席に着く。



「さてと、次の議題は各国の魔族とランクスへの対応ね。これを確認しておきましょう」


セラリアがそう言うと皆が頷く。

各国の王も異論は無いようだ。


「そうね。お父様、お姉様から聞いてもいいですか?」

「そうじゃな。アーリア、どう判断するべきだと思うか?」

「はい、魔族に関しては警戒を引き上げるべきかと、ウィードだけに偵察が来るとは限りませんし、なにか心変りがあって、国を攻めないとは言えません」


ふむ、アーリアの言う通りだな。

あくまでも信憑性のある情報なだけで絶対ではないのだ。

国境近くの監視を強めるのは当然だな。


「ランクスにはつきましては、正直こっちは下手に手の出しようがありません。ウィードの勝利は疑っていませんが、ですからと言って最初から味方をするわけにはいきません。相手は勇者様ですから。できるとすれば、そうですね。すべてが終わったあとのランクスへの支援物資でしょう。その時、そこがランクスと呼ばれているか疑問ですが」


ロシュールとしてはこれ以上は手の出しようがないな。

前から支援をしているガルツならともかく、庇護もしていない国に口出しはできないだろうな。


「なるほど、お姉様ありがとうございます」

「いいえ、国を治める者の責務です。セラリアも大きくなったわね」

「お姉様の苦労が今、骨身にしみております。ですが、よき夫や側室もいますので、なにも問題はありません」


セラリアがそうアーリアに言うと、アーリアは嬉しそうに顔をほころばせる。


「コホンッ。次は、そうですねリテアの対応を伺ってよろしいですか?」


そういって、顔を赤くしたセラリアがアルシュテールに次を促す。


「はい。リテアとしても、国境の警戒を上げるぐらいしか魔王や魔族への対応策はないですね。ランクスに対しては、もう早馬で実行していますが、ランクスにある教会へ人員を派遣し、多くの人をなるべく救い支援するよう言っています」

「教会をつかって人々を支援か、助かるわ。いくら勇者様が手を回したとしても限りがあるから」


ここはアルシュテール率いるリテアが持つ宗教国家としての力だな。

この大陸にリリーシュの息がかかった教会は山ほどある。

愛や慈愛を司るから、結婚式関連ですくなからず教会が各国にあり、司祭を派遣している。


「ですが、直接的な支援はロシュールと同様、すべてが終わってからですね」

「当然ね。アルシュテール、協力感謝するわ」

「いいえ、此度の事はどうみてもランクスに非があります。私も協力はできる限りさせていただきます」


リテアとしてはこのぐらいだろうな。

思った以上に動いてくれている。

タイキ君の心配が少しでも減るといいな。


「で、最後はガルツですが」

「魔族に関しては2国と同じで警戒を引き上げるぐらいしかできんな。だが、ランクスに関しては、行軍の関係で、民に宣言を出さねばならんし、駐留するであろう村などで略奪が起きないよう監視の派遣も必要。ことが済んでも勇者様を支援してランクスの平定に協力せねばなるまいな」

「そうですね。頭の痛い事です。その為の経費をどこから捻出するべきか……」


ガルツ政務のシャールが頭を抱えている。

ランクスの軍事行動を認めるにあたって、ガルツは領内の通過を認めなければいけないし、通るルートも指定しないといけない。

そして、駐留箇所近くの村々に被害が及ばないための措置も必要だ。

いくら戦争が終わったとはいえ、いや、終わったからこそこの出費は痛いだろう。


「こちらの問題でもあるから、お金は出しても構わないわよ」

「嬉しい申し出ですが、ランクスの件はガルツの失態ですから」


セラリアが協力を申しでるが、ガルツの体面上援助を受けるのはよろしくない。

ランクスが負けると決まっているならなおの事。

下手にウィードから援助を受ければ、不審に思われるし、ガルツの国力を疑われることになる。

しかも、今回のランクスの挙兵。

ガルツがランクスをウィードへ案内したのだ。

自らが招いた客の失態を他人に、しかも主催者に押し付けるのはどう見ても外聞が悪い。

かといって、ランクスに手を貸すわけにもいかない。

もう、ランクスの悪行はガルツが身をもって知っているし、ここでランクスが瓦解してくれるならとても有りがたい事なのだ。

だから、今回の事はなんとしてもガルツ自身で処理を行わないといけない。


「そうですね。ならば、事が終わったあと勇者様を介してこちらから技術提供というのはどうでしょうか?」

「へぇ、ラッツいい案ね。それならばウィードが援助したことにならないし、勇者様からガルツへの返礼としても使えるわね。どうかしら?」

「それならば、返事は控えさせていただきますが、多分問題ないかと。しかし、技術提供ですか……いったいなにを?」

「そこら辺はそこの夫と勇者様が考えるわよ。まあ今ある技術提供でも構わないけど。まずは夫達が色々するのを待つほうがいいと思うわ。発想が明後日の方向だから」


酷い言われようである。

物作り日本。

なにがいけない。

皮むき器のピーラーとか便利なんだぞ!!

おろし金とかも!!

あ、これ作ったら売れるんじゃね?

一般雑貨は色々あるけど、調理器具は包丁とかまな板、鍋とか基本的な物しか売ってないしな。


「ほら、何か思いついたみたいよ」


セラリアの奴、嬉しそうにこっちみるなよ。

俺の不満顔を見てご満悦なのか、更に笑顔になる。


「そういえば、セラリア。各国の対応は分かったがウィードはどうするのじゃ? いや、大方わかっておるが、一応な」

「そうですね。お父様の言う通りです。ではウィードは、今回の件で魔族がウィードに偵察に来ることが予想されるため、出入口の警備を強化。特にウィード入口の外側の町には力を入れ、民には注意を促します。尚、ランクスに関してはどの程度の規模かわからないので、明言は避けますが、確実に潰します。交易に関してはガルツへランクス軍が到着の報告を聞いた時点で停止いたします。再開はランクス軍壊滅後一週間を空ける予定です。更に、ランクス軍は一人残らず捕縛及び殺害する予定ですが、逃げる者がでるかもしれません。それがロシュール、ガルツ両国内で盗賊になる可能性もありますので、それの警戒もお願いします」


これで、各国の対応を聞き終わり、交易の話へと移って行った。

お金関連だから、白熱するわするわ。

国家栄達にも関わるから仕方ないけどな。



「さてと、次はなにをするべきか」


書類に目を通しながら、次にするべき事を考えていく俺であった。

今回の事で、魔族も動き出す可能性がでてきました。

ランクス、非常に迷惑ですw

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