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第110掘:お祭りと住人達 その2

お祭りと住人達 その2





side:ラッツ



「いらっしゃいませー。レジはこちらになります。利用方法はそちらの店員にお聞き頂くか、パンフレットの中にスーパーのご利用方法が載っております」

「はい、こちらの商品の使い方は……」

「購入していない商品は開封しないように……」


そんな慌ただしさの中私は警備部隊と一緒にあることをしています。


「な、なんで……。体が」

「それは、パンフレットの通り支払いの済んでいない商品を持ち出すとそうなります」

「ですね。窃盗罪ですね。トーリ後は任せていいですか?」

「はい、ラッツもお店頑張ってね」

「ええ、トーリも忙しいでしょうが頑張ってください」


トーリとそんなやり取りをして、トーリの部下が馬鹿者を引っ張っていく。

祭りの日。

そして、一般の受け入れを始めればこうなるか。


昨日から建国し、一般の受け入れを開始して忙しすぎる。

唯一の救いは、住民区はほぼ住民だけなので、とりあえず問題は起きていない。

問題は冒険者区と商業区に置いてある商店です。

と、商業区は冒険者区と同じ階層にあるのですが、冒険者と隣り合わせで非常に馬鹿が多い。

しっかり、説明を施し、パンフも渡したのですが、それじゃどうにもならないですね。

一応、冒険者ギルドに依頼をし、治安維持の為の人員を雇うという形になっています。

前からウィードにいた冒険者のほとんどはこの依頼を受けて商業区、冒険者区の警備をしてくれています。


今回は初めてのお祭り、及びウィード全体のイベント、有力者も来ていただいているので、コール回線をひらっきぱなしで、指定しない限り、全員に話す内容が聞こえる様にしています。

担当が動けなくても、他がフォローできるように。


「ちっ、なんで私が槍なんて持ってるんでしょうね」


私は代表として商店を守る義務があります。

ですが、腕っぷしで守るという意思の表れである武器を携帯するのはウィードでは忌避されます。

そもそも、武器の携帯自体を基本認めていませんからね。

ですが、今回初めて大量の一般人を入れ、冒険者達には武器にパラライズの札、こちらの指定した袋に入れて持ち歩くようにしてあります。

それでも、ケンカや脅しで武器を抜いて、パラライズになって這いつくばる阿呆がこの2日で25件。

商店での窃盗は72件。

出店でのトラブル54件。

貴族関係トラブル5件。

この内容は……まあ、トーリたち警察の報告を見たほうがいいでしょう。

とまあ、件数から言っても私が代表を務める商店関連のトラブルは多いんです。

なので、私も個人権限と言う事で槍の所持を認められています。

いや、拳で十分にどうにでもできますが、私たちの実力は隠しておくべきと話がまとまっていますので、槍を背負っているわけです。


『商業区のスーパーラッツ4号店で窃盗事件発生。ラッツ、よければきてー』


またですか、今事務所に戻ったばかりなのに……。

しかもトーリと入れ違いにリエルが来たみたいですね。


「はい、今行きます」


そうやって返事をしながら、槍を握って事務所をでていきます。


「代表、私だけがいってもいいんですが……」

「私がいるなら私も出るべきです。同時にトラブルがあるなら、ここはカーリーに任せますがそれが無いなら私が出向かないと代表としての立場が怪しまれます」

「そう……ですね。すいません。昨日から…いえ、このお祭りの前から準備や何やらで代表働き詰めだし……」


この私と一緒に来ている人族、カーリーと言うのですが、ロシュールからの移住者、つまり最初の300人なのです。

この子も私と年齢はそんなに変わりません。

普通に仕事をしながら雑談をしたり友人でもあります。

私と同じ奴隷でもあったことから色々共感もできますし、一緒に商店を頑張って支えています。

だからこそ、働き詰めの私を心配しているのでしょう。


「いえ、気持ちは嬉しいですが今が頑張り時ですよ」

「はい。でも本当に無理はだめですよ。ご結婚してまだ2か月そこらですよね?」

「ははっ、結婚と言っても正式に書類を庁舎にも出したわけではないですがね」


そう、このウィードの法律に則るならまだお兄さんとは夫婦ではない。

色々忙しいですからね。

ルナさんのおかげで、夜は満足できるようになりましたが、ただ書類をポンと出して結婚しました…とはいかないのです。

一応、私も他の皆も代表を務めていますので、結婚式を大々的にあげて、住人の皆に宣伝する必要があるのです。


「でも、ユキさんはそんな事は気にしませんよ。あの人はラッツさんや他の皆を大事にしてます。お腹は大事にしてください。もうユキさんとの子供が宿っていてもおかしくないのですよ? もしもの事があれば皆悲しみます」

「……そうですね。お腹は何としても守りますよ」


自分のお腹を撫でてみます。

特に膨らんでもいないので、どうなっているかは分かりません。

彼の子供がいるなら全力で守ります。

と、いっても指定保護でこのウィード内なら傷つくことはないのですが。


「あの時のラッツ代表の嬉しそうな笑顔忘れません。普段はしっかり仕事をこなしているのに、あの日はもう凄かったんですから」

「それはもう言わない約束ですよ」


そう、お兄さんと初めて致した日、次の日仕事があったので普通にしていたつもりなんですが、しっかり舞い上がってたみたいで、全員からいいことあったんですね。おめでとう。

と、言われてしまった。

というか、お兄さんとラブラブしてたのが完全にばれてました。


「仕事終わりの飲み会とかで、いつもユキさんとの事は聞かされていましたからね。正直あの時はラッツ代表が帰った後、皆でおめでとう会を開いたぐらいですよ」

「うわ、マジですか!?」

「マジです。いつもラッツ代表、飲み会ではユキさんを籠絡できるか相談してたじゃないですか。しかも真剣に。いつも聞いてる私たちにとってはラッツ代表の幸せは乾杯したくなるぐらいの物ですからね」

「それは、なんというか……ありがとうございます」

「ええ、ですから体に不調が出たりしたらすぐ言ってください。ユキさんに申し訳ないですし、私たちも悲しいです」

「わかりました。しっかり頼らせてもらいます」

「ええ、頼ってください」


そんな話をしながら、店舗の前にでます。


「あー、やっと来た。僕も忙しいんだからね」

「すいません。で、犯人は?」

「こっちこっち」


リエルの後を追うと、路地のあたりにお巡りさんが数人立っています。


「どう?」

「はい、身柄は拘束してますが、色々と……」


リエルの部下が現状を伝えようとすると……。


「離せっ!! 私が○○国の公爵としっての狼藉か!!」

「こんな感じで、自分はやってないの一点張りでして」

「うへぇ、なんで貴族が一人でこんな一般客向けの所にいるんだよ。しかも窃盗って」


リエルは関係各所に連絡を取りながらこちらに視線を向けてきます。

私たちからの証言が必要なのでしょう。


「で、一体どういう状況で?」

「あ、店長に代表」


店員の一人も証人として呼ばれていて、私たちに説明をしてくれます。


「はい、それが……」


店員の話を簡潔に言えばこうです。

他の窃盗の奴らと同じように、店舗外5mを超えてパラライズ発動。

倒れたのを警備で雇っている冒険者が発見拘束。

リエルたちを呼んで引き渡し、そして私たちと合流。


「あの店の店員が解除し忘れたんだ!! 俺は悪くない!!」


当の阿呆は、パラライズになったのはレジの通し忘れだという。

しかし、そんな馬鹿な事を言うのはお見通しです。


「そうですか、ならレシートを見せていただけますか?」

「は? れしーと?」

「はい、購入記録が記載された紙です。買い物をしたなら受け取っているはずです」

「そうですね。それを持っておくのが大事とパンフレットにも記載されてましたよね?」


そう、レシートを渡して、不備があってもすぐわかるようにしているのだ。

ここの住人ですぐさまレシートを捨てる馬鹿はいない。

さらに、まだまだこの阿呆を責める理由もある。


「しらん!! そんなの渡されていない!!」

「そうですか、じゃあ、買ったの何時ですか?」

「は?」 

「レシートには、このように買った時刻が記載されているので、貴方が買ったかどうかすぐ確認できますよ。見たところ、馬鹿みたいに商品を抱えているようですし。すぐわかるでしょう。買っているなら。おっと、そう言えば袋はどうしましたか?」

「袋?」

「ほら、見てください。買い物客は皆同じ袋を持っていますよね。私達の店舗で購入しましたってわかるようにしてるんですよ。レジで会計すれば渡されます」


私の言いたいことが分かったのか、顔を青くする。


「貴方みたいに、品物を抱えている人はいないんですよ」


さて、いい加減問答もめんどくさいですね。


「ま、貴方が否定するのは結構です。ですが、これは貴方の付き添い、及び、他国の使者の前で説明をする必要があります。なぜ、拘束をし逮捕になったのかを。事情を説明したとき全員の意見はどうなるでしょうね?」

「そ、それは」


確実に状況から貴方が犯人だと思われるでしょうね。

他国の祭での狼藉、評判は悪くなり色々とまずいのではないでしょうか。

他国の工作……なんてのも可能性が無いわけでもないですが、窃盗ですからね。

それぐらい唆されずどうにかしてください。


「さて、これ以上暴れても無駄なので。大人しくしてくれれば温情措置はあるかもしれませんね?」

「……」

「はい、じゃお願いします。リエル後はまかせましたよ」

「はいはい、僕に任せといて」


そういってリエルが引っ張っていく。

残念でした。

すでにリエルが関係各所に連絡取ってますから、手遅れです。

精々反省してください。


「さて、戻りますか」

「そうですね」


カーリーとそう言葉を交わして、店へ戻っていく途中。


「お、ラッツ」

「ラッツお姉ちゃん!!」

「ラッツ姉様!!」

「あら、外でどうしたのかしらラッツ?」

「ラッツ、ご飯買いにきたわよー」


お兄さんとちびっこ、そしてミリーがこっちに歩いてきてました。

なんでわざわざ、お祭りの日にスーパーに来ますかね。


「ではでは、ラッツ代表。私一人でお店は問題ありませんので、どうぞ楽しんでください」

「あ、カーリー」


そういってカーリーはさっさと店に入っていく。

あらら、変な気を使わせましたね。

でも、ありがたいので有効活用させてもらいましょうか。


「そうですね。一緒にご飯と行きましょうか。でもスーパー以外で」


笑顔で答えてお兄さん達に駆け寄ります。



うん、やっぱりこの人の周りが一番心地いいです。

昨日、投稿機能がマヒしてたんでさぁ。

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