落とし穴14掘:妄想 ドキドキ学園編 その1
妄想 ドキドキ学園編
side:セラリア
『ああ、勇樹!!』
『由依!! ごめん、でももう大丈夫だ!! 俺が来たから!!』
テレビ画面で、若い男女が抱き合っている。
そして、画面が切り替わり、エンディングが流れていく。
「ふわぁ~。見入ってしまいましたね」
「ええ」
ラッツが言ってのとおり見入ってしまっていた。
私達は今、夫が持っているDVDをみている。
最初は箱の中に人がいるとばかり勘違いをしたが、これはコールの様な映像を記録していつでも見ることのできるモノらしい。
魔術かと思ったが技術だと言っていたが、イマイチピンとこない。
まあ、夫が嘘をつくわけないのだし、言っての通りでしょう。
で、その内容は、私達が今夫と一緒に経営している学校を舞台とした、ラブストーリーだった。
これが、夫が言っていた学校の姿なのね。
勉学に励み、将来好きな職をめざす。
そして、その勉学に励む中で、友を作り、遊び、怒られ、そして恋をする。
とっても素敵だったわ。
「はぁ~、学校ですか。私は修道院でずっと勉学ばかりでしからね」
「へぇー、ルルアは修道院ではそんなんだったんだ。僕は勉強は苦手なんだよな。けど運動部はいいかもね」
「そうだね。けんどう部ってのは私興味あるかな。刀を使った部活動なんでしょ?」
「……購買部とか面白そう」
ルルアやリエル達も学校の話に興じている。
「シェーラちゃんはどうだった?」
「うん、凄いと思うわ」
「デリーユ姉様ー」
「おお、どうしたフィーリア?」
シェーラやデリーユもアスリンやフィーリアとお話に夢中だ。
「私は生徒会というのに入ってそうですね」
「そうだね。私はさしずめ、エリスの補佐かな?」
「……それなら私もかな?」
エリスにミリー、ラビリスも同じだ。
ふむ、いいことを思いついたわ。
「ねぇ、ついでだわ。夫はいつかテレビも浸透させるつもりらしいし、何を映すかも当然議題に上がるはず。ここで、自分達で少し物語でも書いてみないかしら?」
「ふむふむ、面白そうですね」
「でしょう? でも、バラバラだと一々読むのが大変だから、そうね…今見た学校での話なんてどうかしら?」
「さんせーです!!」
フィーリアが勢いよく手を上げて賛成してくれる。
他の皆も否定的な意見はなさそうだ。
夫が何事もチャレンジだって言ってたわよね。
※ここからは各自のお話になります。かなり適当に端折ります。
著者:セラリア
私はこの学園に来た時運命の出会いを果たしたの。
いつもなら、姫ともてはやされ、敬遠され、壊れ物の様に大事に扱われる。
もう覚悟していた、為政者としての立場。
でも、その学園に行った初日。
「今日からここに通うのね」
「はい、お父上の御意向ですので」
「多少は親心があったわけね。でも……」
辺りを見回すと、私の正体を聞いているのか、皆遠巻きから、私を見ているだけ。
誰も私と積極的にかかわろうとはしない。
その時だった、彼と会ったのは。
「なんだ? そこ立ってると邪魔なんだが。どいてくれないか?」
私が何者かもどうでもいいような、只の一言。
傍から見れば只の無礼な一幕。
それがユキとの出会いだった。
私の日々はそれから鮮やかに彩られていく。
……詳しくは本編で。 ※そんな本編はありません。
「どう?」
「ふむふむ、王女様と一般人のラブストーリーですか。王道ですね~」
「うんうん、いいと思います」
「ふっふっふ。ではこれはどうでしょうか?」
著者:ラッツ
「困りましたね~、まさか寝坊するなんて」
私は慌てて家をでる。
今日は転校初日だっていうのに、まさか寝坊をしてしまうなんて。
「けど、走ればなんとか……」
なんとか、間に合う時間帯。
急げ、もっと早く。
そんな事を考えていたから、注意が散漫になっていた。
「あの角を曲がって……」
向こうに人がいるなんて考えもしないで全速力。
そんな事注意散漫な事をすれば当然。
ドンッ
ぶつかった。
「あだっ!?」
「うおっ!?」
そのまま受け身も取れずにバランスを崩す私。
でも、地面に転がることはなかった。
「大丈夫か?」
それは、彼が私を抱き留めていてくれたから。
「あ、ありがとう」
それが、私とユキという彼との出会いだった。
そのあと、なんとか学校に間に合い、なんと彼と同じクラスだっり。
それから色んな事が起こっていく。
……詳しくは本編で。 ※ないから
「どうですか?」
「いいわね。こう刺激的な出会いね」
「印象に残りますね」
わいわいと自分達が書いた物語についてあーだ、こーだ話が弾む。
とても心地の良い時間。
さあ、この場にいない夫はどんな評価をくれるのかしら?
コメント:ユキ
ん? 物語的にはありなんじゃねーの?
俺的にどうかって?
ないわー。
まったくないわー。
俺がわざわざ、お姫様に声かけますかって。
そのまま少庶民を貫いて、のんべんだらりと生活ですよ。
ラッツの話もな、お話としてはありだろう。
だが、角でぶつかるような事はいたしません。
そも、学校に時間ぎりぎりで通うような事はしませんとも。
万が一遅刻しそうなら、そのまま遅刻するわ。
……あれ?
なんだよ?
セラリアもラッツもなんか機嫌悪くね?
まて、俺はちゃんと俺の意見を言った。
何が悪いんだ!?
いや、ちゃんと言ったじゃん。
お話としては面白いって。
俺が現実にあったら無視するだけで……。
あ、それがいけない?
なんで!?
その他の学園妄想はまた別の機会に。
いろいろ更新が遅くて申し訳ない。
色々バラバラと書いていると、なんだか途中でやる気が…。
なんとか頑張ります。
というわけで、どうでしたでしょうか。
妄想編です。
学校でユキと出会っていたらと女性陣は妄想しましたが、ユキはバッサリ斬っていきますw




