第18話 何故こうなった?
最近、学校が上手くいかず今後は更新が遅くなります(ーー;)
読んで下さっている皆さんにはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません((((;゜Д゜)))))))
転移で設定したのはこのあたりだな。
「それにしても、やり過ぎた‥‥かな?」
俺が今いるのは、王都ファティマから走って1時間ー常人なら半日以上ー程の道から外れた森の中で、不自然に木が切り倒され開けた場所だ。よく見れば焼け焦げたようになっている所もある。
それ以上に、倒れた木や植物には鮮血が広がり、緑色の植物とのコントラストになっている。
どうしてこんな事になったのか、少し記憶を遡って思い出してみる。
王都から出た俺は直ぐに魔物に襲われた。
出だし悪過ぎだろ!!と、ツッコミを入れつつ逃げていたのだが、数も多かったし、流石にイライラしてきてここで倒しちゃったんだよな……。
別に大した事件が起きた訳ではない。
死体は他の魔物に荒らされる前にアイテムボックスの中にしまっておいた。街で換金すればそれなりのお金にはなると思う。
それにしてもーー
「‥‥」
ーー王都での聖剣は兎も角、今回魔物と実際に戦闘をしてみて明らかに俺が弱くなっているのを実感した。
戦闘から3年離れていたのだから多少腕が鈍るのはしょうがないと思ったが、魔力を使う時にまるで制限をかけられているような違和感を感じるのだ。その所為で、魔法が前に召喚された時よりも弱い。
今は魔力に物を言わせて威力と効果を無理矢理上げているが、それは体へ負担がかかる。
しかしそれも付け焼き刃に過ぎない。
もしも、強敵と戦ったらこれでは勝てない。
いずれ近い内に戦争が起こる。それに俺が参加しないとしても、今のままでは不安だ。
俺も死ぬのは恐いしな。
つまり強くなるしかない。その為にも、何とか魔法を前の様に使えるようにならなければいけないな。
その時ーー
「来たな」
ーー転移の魔法陣とその光が現れた。
俺は咄嗟に実力偽装を解く。
正直、あいつらが無事に転移出来た、と言う証拠は何もない。死んではいないだろうが、転移してきたのが聖王国の騎士や魔導師と言う可能性もある。
もしも、あの2人が死ねばこの契約術が反応する筈だしな。
俺は左手で自分の胸に一度手を置き、拳を握る。
あの2人を地下牢から逃がしたのは、無能な異世界人が逃亡するより死刑囚が逃亡した方が目立つと思ったからだ。つまり、カモフラージュだ。
そして、もう一つ理由がある。
それは俺の過去に関係する事だ。
「‥‥」
すると、光の中から赤髪金眼の少女、白髪赤眼の幼女と幼女を頭に乗せる白虎の獣人がほぼ無傷の状態で現れた。
「……」
何だ、これ?
俺は魔法陣の書き換えを間違ったのか?
‥‥いや、俺の目の前に3人が立っているのを見ればその可能性は低い。
だったら何故、
「こんなに大勢いるんだ?」
俺は少しの魔力を込めれば魔法陣の中央にいる者を転移させる様に書き換えた筈だ。
それなのに、俺の後ろの方には恐怖に震えたり地面に蹲っているクラスメイトと聖王国の王女と戦闘不能の騎士と魔導師がいた。
色々な感情を込めた目で3人を見る。
呆れた表情で隣を見るヴィルヘルム。
ヴィルヘルムの頭から降り、『隠遁』を解いてアワアワしているメデル。
露骨に俺から視線を外すリツェア。
やっぱり、お前の所為か!
「全く面倒な事になったな」
「リツェアさんの所為ですよ!」
「やり過ぎちゃった、テヘ!」
可愛い仕草でそう言ったリツェアにメデルも我慢出来ずに叫ぶ。
「テヘッ!‥じゃ、ありませんよ!私は少しの魔力で良いって言いましたよね!?」
「やってしまったものはしょうがないだろ!」
「逆ギレですか!?」
仲良く騒ぐ3人の元に近づく。
「おい、お前ら」
俺がどんだけ苦労したと思ってんだ。
もう一度3人の様子を見る。
我関せずのヴィルヘルム。
もはや世界の終わりの様な表情のメデル。
「失敗は誰にでもあるだろ」と言って笑うリツェア。
この2人を見ていると、2日間の俺の努力が無駄だった様に感じてしまう所為で余計にイライラする。
「何でそんなに余裕そうなんだよ!」
思わず叫んでしまった。
「「「そっち!!?」」」
確かに牢獄の1番奥にいたから只者ではないと思ったけど、聖王国の騎士や魔導師相手に無傷で、しかも「簡単だった」はないだろ‥‥。
‥‥口に出していないが、3人の目が俺にそう語っている。目は口ほどに物を言うんだぞ!
こっちは、契約をした手前、2人が脱出しやすいように魔法陣の書き換え、封印の扉への細工、安全かつ最短の道のりの模索、騎士たちの配置を睡眠時間を削ってまで調べ、私怨は入ったかもしれないがクラスメイトが魔法陣の授業で召喚魔法陣を見に行くのを利用したりと色々やったのに……‥。
「‥‥あー、その主、転移については怒っていないのですか?」
「‥‥それについては後で話そう」
聞いてきたメデルと2人に口元を吊り上げた笑みで返す。
俺が3人と会話しているとやっとクラスメイトたちが現状を理解し始めた。
おせーよ、自殺志願者かこいつら。
「あれって、一乃瀬?」
「何であいつがここに?」
「‥‥まさか、あいつの仕業じゃないのか?」
1人の男子生徒が気付いた様だが、考える前に武器くらいは装備しろよ。
俺のそんな気持ちが届く事はなくクラスメイトたちの話はヒートアップしていく。
「確かに、あいつなら俺たちの授業の事も知ってるよな」
「でも何で?」
「海堂に虐められてた腹いせだろ!」
「そ、それじゃ全部あのゴミの所為か?!」
「そうだ、きっと俺たちに復讐するつもりだ!!」
ふーん、少なくとも復讐される事をしていた自覚はあるんだな。
そうこうしている間に地面に蹲っていた我らがクラスのイケメンヒーロー澤輝が親衛隊の女子に支えられ股を押さえながら立ち上がる。
「おい、澤輝のーー」
「ーー私が蹴った」
リツェアが「ピーピー煩かったから黙らせた」と続けて言った。
‥‥そですか。
「澤輝君大丈夫?」
「ああ、大丈夫みたいだ」
どうやら、無事の様だ。
立ち上がった澤輝が俺を睨み付けて来る。
「一乃瀬、これはお前が仕組んだ事か?」
うーん、さてどうするか。
少しの間だけ悩んだが、直ぐに応えが出た。
‥‥よし、決めた。