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aster

死ネタです。
苦手な方はご注意ください。
好きなんだ


通算10回目の告白に、あたしは呆れた顔を向けた。

数えてるあたしもどうかと思うが、ここまで彼を執着させるのは一体何なのか。


知ってるよ。


そう言うと彼は穏やかに微笑み、小首を傾げる。

返事を、待っているらしい。


あたしの何が好きなの?


10回目にして初めての問い掛けに、彼は口角を上げる。


哀しい顔で笑うところ


彼はそう言った。

普通、笑顔は陰のない方が慕われると思うのだけど。

イマイチ彼を信用できなくて、
あたしは10回目の告白を、無下に断った。


翌日-。
彼は学校に姿を現さなかった。
まさかフラれたショックで、なんてわけじゃないよね。
らしくない。

同じ人間にたった数ヶ月で10回も告白できる精神力の持ち主が。

けど。
その翌日も。
またその翌日も。
彼は学校を休んだ。

そして。
彼はこの世を去った。

彼は、余命いくばもない病に冒されていた。

啜り泣く声が教室に広がる。



彼が、いない。



ただそれだけが、あたしの心に深い後悔とともに胸に突き刺さる。


なんで。

どうしてそんな大事なこと、黙ってたの。


いつも教室の隅で穏やかな笑顔をあたしに向けていた彼は、

10回目の告白を最期に。

あたしの前から突然消えた。


1回目は体育館の裏だった。

2回目は音楽室の前。

3回目は実習室。

4回目は朝の教室。

5回目は花壇の前。

6回目はバス停。

7回目は体育館倉庫。

8回目は図書室の前。

9回目は実験室。


そして、最期となった10回目の告白は、
あたしの家の前だった。


1回くらい、ちゃんと答えてあげればよかった。

あんなにも好きだったのに。

人気者の彼と、目立たないあたし。

からかわれてると思ったのは、最初だけだったのに。

彼があたしを見つけてくれるのが嬉しくて。
毎回違う告白の場所も、
毎回同じ告白の言葉も、
全部嬉しかったのに。


彼は、もう、いない。


木村さん。

彼によく似た女の子に声をかけられた。

彼女から手渡されたのは、
11回目となる告白。


好きなんだ
俺のこと、忘れないで
ばいばい。


ありがとう
あたしも、あなたが好き


そう、言いたかった。

間に合わなくて、ごめんね。

何度も振って、ごめん。

素直になれなくて、ごめん。

最期まであなたを傷つけて、ごめん。

溢れる涙が止まらない。


彼の妹が、彼そっくりな笑みをあたしに向けた。

兄を、好きでいてくれてありがとうございました。


瞬きを繰り返すあたしに、彼女は笑う。


兄は、ちゃんと気付いていたみたいです。


そうなのか。
バレて、いたのね。


あたしは、彼が、好き。


もう、あの穏やかで優しい笑顔に、二度と会えない現実。


今年もあたしは、彼が眠る場所で哀しく笑う。


12回目の告白を、今でも待ってるの。


今度はちゃんと答えを用意してあるのよ。


あたしも、好き。


素直に、なりたいから。
aster ギリシャ語で星を意味する言葉。
学名Aster tataricus は、紫苑。
花言葉は「あなたを忘れない」


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