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純愛ラブストーリー♪
感想よろしくお願いします。
雨のち晴れ
作:桜好き



昨日の夜から雨が降り続いてる。
今は昼の12時。
雨は勢いを弱めず降っている。

この雨はいつ止むのだろう…

もしかしたらこのまま止まないかもしれない…

それもいいかもしれないな…


雨の音とじめじめする部屋の中で気がおかしくなったのか、そんな事ばかり考える。


俺はもう21歳。
今の俺は仕事もせず、毎日寝てばかりだ。

すべてにやる気が起きない。

何度死のうとした事か…

手首には無数の傷がある。

自殺しようとした時の傷だ。


俺はヘタレだ。

リストカットして、痛みに耐えかね叫び、母に助けられる。


俺は死ぬ勇気もない男なのだ。

それなのに、なぜ何度も死のうとするのか、自分でもわからない。

いつのまにかカッターを持ち、手首を見たら血が溢れ出して叫ぶ。


俺の精神はおかしいのか…

いや…おかしいのだ。



俺はいつものように窓の外を見る。

俺の家は少し田舎の方にあって、あまり人が来ない。


すると、人が右の方から歩いてきた。

どうやら女の子らしかった。

その子は傘も指さず歩いていた。
手首にはリストバンドをしていた。

白い無地のリストバンド。


俺は無償にその子が気になった。
顔が見たい…。


その瞬間、女の子が悲しそうな目をしながら俺の方を見た。


窓越しに目が合う。


真っ黒な瞳。
吸い込まれそうだった。

…泣いて…る…

女の子は雨でびしょびしょだったが、俺にはわかった。


一秒一秒が長く感じられた。
約一分くらいだろうか…

俺達は見つめあっていた。

そして、とても微かに女の子の口が動く。

俺は急いで窓を開けた。

だが、女の子は声を発していなかった。

ただ微かに口を動かしていた。

何度も

「ご・め・ん・な・さ・い」と泣きながら。

気が付くと俺は女の子の前に立っていた。

どう来たかわからない。

窓から来たのか

玄関から来たのか

わからないが俺は確かに女の子の前にいた。


女の子は俺を見つめたまま動かなかった。


「………どうして謝るの?」

無意識に俺の口から発した言葉。

その言葉に女の子は首を振る。

「……どうして泣いてるの?」


「……どうして俺を見るんだ?」


女の子はすべて首を振った。



そして女の子の口が微かに動く。

「じゃぁ、あなたは…どうして私の前に立つの?どうして私を見たの?」

綺麗な声…だけど、どこか悲しい。

女の子の目にはこの雨のようにずっと涙が流れてる。


どうやってここに来たかさえわからない俺に、その質問を答えられる訳がなかった。


俺は同じように首を振った。


何分後だっただろう…


なぜかはわからない。

わからないが、女の子は俺の胸に顔を押し付け泣いているのは確かだ。


俺はただ立っているだけだった。



     ***


母は仕事でいない。


誰もいないような静かな家で、外から聞こえる雨の音と、シャワーの音が響く。


俺は雨で濡れた体を拭いた後、コーヒーを一人分入れた。

今、シャワーを使っているのは俺ではない。
さっきの女の子だ。


ガチャン

お風呂場の方からドアの閉まる音が聞こえた。

どうやら風呂から出たようだ。


俺は自分の入れたコーヒーを眺めていた。


すると、お風呂場の方から女の子が俺の母の服を着てリビングに来た。

女の子の着る母の服は、別の服のようで、とても輝いていた。

少し濡れた長い髪と母のぶかぶかな服を着た女の子は妙に可愛らしかった。

さっきよりも目も少し明るくなって、溢れ出さんばかりの悲しさも、あまりなかった。


俺はそっとコーヒーを渡す。
そしてチラッと手首を見た。
手首にはやはりリストバンドをつけていた。

「あ…りがと…」

そうこぼすと、女の子はぎこちない小さな笑顔を見せた後、大事そうにコーヒーカップを持ち、コーヒーにゆっくりと口をつけた。


俺はそんな女の子を知らず知らず見つめていた。


俺の視線に気付き、コーヒーを置く。

「お…風呂…入らないん…ですか?」

俺の目を真っ直ぐ見て、心配するように言う。

「…………は…入るよ…」

俺は一瞬、声に気付かなかったが、慌てて答えた。

そして、急いで風呂へ行こうとしたら、テーブルの足に小指をぶつけてしまった。

「くっぅ………」

俺はしゃがんで悶絶した。

女の子は俺に駆け寄るが、あたふたしていた。

その姿があまりに可愛くて、痛み何か忘れて女の子を抱き締めていた。



抱き締めたのは俺だけど…


どうしよう……


驚いた。

俺が抱き締めた後、女の子も俺を抱き締めたのだ。

そして、俺の胸の中で女の子はすすり泣いた。




     ***

俺は今、病院にいる。

患者は……あの女の子。



女の子は今、集中治療室にいる。

女の子は病気だったのだ…それも死ぬほどの。


あの子は病院を抜け出して来てたらしい。


俺はロビーにいた。


さっきあの女の子の母らしい人が来たからだ。

何時間たっただろうか…。


時間がとても長く感じられる…。


俺はふと病院の外を見た。


雨があがって、太陽が見えていた。

さっきまで雨だったのが不思議なくらい晴れていた。


その時、集中治療室へ入っていた医者がロビーの俺の元へ来た。


「あ、あ…あの子は…?」

俺は今までで一番緊張した。
胸が張り裂けそうだった。

「助かりましたよ。あなたが連れ戻してくれたおかげです。」

医者がにっこりと笑う。

連れ戻す…

俺は連れて来ただけだ。

家で抱き合って、すすり泣く女の子の望みを叶えただけ。

あの時、女の子は俺の耳元で囁いた。

「わ…たしを…病院に…連れてって…」

弱々しく、だがどこか嬉しそうにあの子は囁いた。


「病院へ来たのはあの子の意思です…」

俺は自分でも驚くほど穏やかに、落ち着いた声で言った。

医者は驚いていた。

そりゃそうだろう。

死にかけの女の子が病院を抜け出したのに、数時間で、しかも自分の意思で帰ってきたのだから。


すると、さっき見た女の子の母らしき人が俺の元へ駆け寄ってきた。

「あなたが…美沙を連れて来てくれたの?」
美沙…。

あの子は美沙って名前なのか…。

俺は頷いた。

すると、美沙の母は俺の手を引っ張り走り出した。

「え…ちょ…」

俺は驚いたが、そのまま行くことにした。
少し嬉しそうに。

医者は軽く頭をさげてどこかへ行った。



美沙の母に連れてこられたのは、予想通り美沙の所だった。

普通の病室だ。


そこには寝ている美沙がいた。


「あら…もぅ寝ちゃった。……美沙を連れて来てくれてありがとうございました。」

美沙の母は暖かい目で美沙を見た後、俺に頭を下げた。

「いや…俺は連れて来ただけですから…」

俺は戸惑った。
お礼で頭を下げられるなんて産まれて初めてだったからだ。

「か…加賀見…さん…」

誰かが俺の名を呼んだ。
美沙だ。

「な…何?」

俺は美沙の横に移動してしゃがんだ。

美沙の母は俺の後ろで小さくピースサインを美沙に見せて病室を出た。

俺はこの時、美沙が何で俺の名を知っていたのか気にもしなかった。

「…バカ……」

美沙は照れたように言った。

「え………バカ…?」

俺は完全に自分が言われたと思って、少しばかりショックを受けた。

そんな俺を見て、美沙はかすかに笑った。

「加賀見さん…じゃないよ…。」

小さな声で言いながら布団から手を伸ばした。

「え…?」

俺は訳が分からなくて、思わず聞き返した。
そんな俺を見て、美沙は楽しそうに笑った。

「…やっぱり…加賀見さんで…いいや」

笑顔で言いながら、美沙は俺の手を握った。

俺は何か恥ずかしくなって笑いながら、手を握りかえした。


そして、美沙は体を起こして俺にキスをした。

俺は静かに美沙を抱き締めた。






     ***


その後、美沙は退院した。

俺が何かと思っていたリストバンドは、やっぱりリストカットの傷を隠すための物だった。


そんな物、俺にはどうでもよかったが。


そして美沙は俺を俺の家の近くの公園へ呼び出した。


退院するまで、ずっと病院で会ってたが、退院した後に会うのは初めてだった。


「…どうした?」

俺は今日のために買った新品のスーツを着て、ベンチに座る美沙に声をかけた。


「何、その格好」

美沙は俺を見た途端、笑いだした。

ただ公園に来るだけでスーツを着てくるなんて、たぶん誰でも笑うだろう。


「これしかなかったんだよ…」

俺は照れながらわかりやすすぎる嘘をついた。

「嘘つき」

美沙は立ち上がり、俺の両手を掴んだ。

「う……」

見破られ、唇を尖らせる。

「私…坂本 美沙は今からあなたに告白します」

美沙は俺の目を見て恥ずかしそうに、笑った。

「告白?…何をいまさ……」

「だめ!!ちゃんとするの!!」

俺の言葉を遮って両手をぶんぶん振り回した。

「はぃはぃ…」

俺はやさしく美沙を見つめた。


「あなたの事が大好きです。私と結婚してください!!」

美沙は赤くなりながら俺を見つめた。

「そ…それってプロポー……」

「これも告白なの!!どっち!?」

俺の余計な言葉を遮って照れ隠しに頬を膨らませながら言った。


「……喜んで」

俺はそう言って美沙を抱き締めた。

美沙は少し目に涙を浮かべながら、抱き締めかえした。

「泣くなよ…」

「うるさい…」

そして俺達はキスをした。



キスを終えた美沙は恥ずかしそうにうつむいて、俺から離れた。


「そういえば…」

俺を離れた美沙に近付きながら言った。


「何?」

美沙は俺の方に振り向いて首を傾げた。


「病院で…何で俺の名前知ってたんだ?」

俺は今さらそんな事を聞いた。

「名前?……表札」

沙夜は真面目な顔で言った。


「表札か…」

なるほどと俺は腕を組んだ。

「えへ、嘘だよ」


「うそ〜!?じゃなんだよ?」



「本当は……ヒ・ミ・ツ♪」





晴れわたる空の下で、美沙はそう言って、照れたような嬉しそうな、今までで一番可愛い笑顔を俺に見せてくれた。



















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