最近、新しく遺跡が発見された。宇曽遺跡という比較的小規模な遺跡らしい。
俺は口崎教授の助手のレイニーだ。名前の通り、ヨーロッパ生まれだ。
教授が宇曽遺跡をどうしても見に行きたいと駄々をこねるので、今日は朝から大忙しだ。まぁ俺も少しは興味があったからちょっと仕度が楽しかったりする。ちょっとな、ちょっと。
「楽しみですね、教授。」
さっきからソワソワしている教授に聞く。それにしても落ち着かないなぁ、教授。
「そうだなっ。興奮しすぎてもれそうだ!・・・ま、もれそうなのはあながち嘘じゃないけどな。」
そうですね、と言いかけて考える。”あながち嘘じゃない”?俺の考え過ぎか?でもそう考えると妙にしっくりくる。
「教授、まさかと思いますけど、もれそうってまさかトイレに行きたいってことじゃ・・・。」
「その、まさかだ。」
妙に速く教授が返事をした後、車が急に止まった。目の前には、なるほどこれが宇曽遺跡か!
「教授・・・。」
隣を見てみるも教授はもうそこに居なかった。車を降りて辺りを見渡すと、教授が遺跡の入り口の石に放尿をしていた。あのバカはあそこがトイレだと思ったらしい。
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「はー、スッキリした。」
教授がスカッとした表情で暗い道を歩く。このバカが立ちションしたせいで俺は現地の人に意味の分からん言葉で怒鳴られてしまった。ヘコヘコ謝りまくってやっと解放された。
「スッキリしたじゃありませんよ!これからは逃げないで教授が自分で謝って下さいね。」
俺がそう言った後、教授が走って行ってしまった。
「レイニー君、来たまえ!大発見だぞこれは。」
俺の言葉を聞いてくれたのかは分からないが、教授が大声で叫んでうるさいので小走りで教授のもとへ行く。
「見ろ、これだ。」
教授の指差す方向を見るとそこには女性が立っていた。教授が馴れ馴れしく足の辺りに手をついている。変態め。
でも、なんか不自然だ。ひとつも身動きしないし、瞬きもしない。失礼して右肩の辺りに手をかけてみた。ゴツンと鈍い音が響く。これは、すごくリアルだがただの塗り壁のようだ。
「完成度の高い塗り壁ですね、教授。」
でも、これがどうしたんだ?確かにリアルですばらしいものだとは思うけど。
「実はな、これはしゃべる塗り壁なんだ。」
声が出なかった。驚いて、ではなくアホらしくて、だ。いくらリアルでもこれは石だ。しかも色はなんだか分からん古代の果実だろう。そんな”物”がしゃべるわけがない。こいつは救いようのないバカだな。
「私の研究では古代の人は黒魔術を使って人を殺したり、石の大巨人、ゴーレムを使役してたりしたんだ!こいつはその一種さ。」
教授が熱く語る。もしかしたら本当かもしれない。教授は研究熱心だ。毎日夜中まで研究している。どんなにバカでも俺の唯一尊敬できる人だ。本当に違いない。
そう思うとこの石がしゃべる姿を見てみたくなった。
「教授!どうやってしゃべるんですか?見てみたいです!」
ドキドキして尋ねる。
「よーし見てろ、レイニー君。これには呪文が必要なんだ。」
そう言うと教授がメモ帳を開いて、その呪文とやらを探す。
「いくぞ、レイニー君。・・・ンーヨピソッウ!!」
・・・しーん。何も起こらない。
「返事がない、ただの塗り壁のようだ。」
テヘ♪と舌を出して恥ずかしがる教授。
やっぱりこいつは救いようのないバカだ。 |