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君のブラックボックス

作者:はむち
「じょう―に―いま―した―。」
部屋の中でワンセグは電波の受信感度が悪い。
音声も途切れ途切れでブロックノイズが発生している。

僕はひとり暗い部屋の中でその放送を見ていた。
震えが止まらなかった。
居ても立っても居られなくなった。
何か―何かしないと…。


何からしていいかわからない僕は、着の身着のままで町まで飛び出した。
そこから聞こえる声声こえこえ。
「いやー凄い事になったけど良かった良かった。」
「こんな大事故だったしなぁ。」
なんで…だ。何がだ。何が良かったんだ。
大勢の人が大変な事になったんだぞ。
彼女も…また…



―遡る事半年前―

「おーい!こっちへおいでよ!一面が原っぱだ!」
「ほんとだ!すごーい!」
二人で青々と茂る草原の上を転がりまわった。
抱きしめあって笑顔で、大きな声で笑ってた。
間違いなく二人だけの世界。誰にも邪魔されることのない世界。
そんな世界の真ん中にいる気分だった。
それなのに、それから3カ月後に僕は大きな過ちを犯してしまった。

「なんで!?どうしてよ!」
「どうしてったってしょうがないだろ!こっちにも都合があるんだ!」
「そんなの知らないわよ!相談位してくれたっていいじゃない!」
「相談したら何か変わるのか!?変わるなら教えてくれ!」
「もういい!知らない!私出ていくから!」

そういって出て行ってしまった彼女。
実家に帰ってしまったのだ。まぁいい。これで終わりなら終わりなんだろう。
自分の中でそういい聞かせて気持ちを落ち着かせた。
手に入れた物は本当に大切だった。だけど売ってるものでもない。
苦し紛れに歌を歌って紛らわせた。
しかしこの時、僕は何も知らなかったのだ。知る由もなかった。
事実を知るのは…
それを知るのは…



一か月前。彼女から連絡がきた。
急な連絡だった事もあり正直戸惑った。だけど嬉しかった後悔していたからだ。それを正直に話した。
あの時喧嘩したのは、色々事情があったんだと。
それを含めて両親に説得され、また一緒に暮らして結婚したいと言う事だった。
その言葉に僕は快諾した。



そして今日、彼女が帰ってくるはずだった。
そう。はずだったのだ。
だけどテレビでニュースキャスターが繰り返し言っている。
「本日、某○○便がテロにより墜落、乗客に日本人はいなかった模様です。」
耳を疑った。彼女が今日帰ってくる便じゃないか。
チャンネルを変えてほかのニュースも見た。見て見て見まくった。
情報が欲しい。情報が欲しいんだ。
しかしどこもかしこも
「乗客に日本人は乗っておらず」「乗客に日本人はいませんでした」
これを繰り返すばかり。規模の大きさで生存者はいないと…

あんなに楽しみにしてたのに。
喧嘩してちゃんと仲直りして一緒にいたかったのに。
会いたい会いたい逢いたい逢いたい!
だけど、無残にもその気持ちが打ち砕かれた。
墜落した飛行機の残骸。生存者ゼロの報道。
そう。彼女は日本人じゃない。だから良くないんだ。僕にとって良くないんだ。



その後、彼女の両親から殴られた。そして聞かされた。
彼女のお腹には…

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