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game×over
作:保科 郁






真っ赤に染まった視界の中、ただひたすらこの激痛から解放される事を願うが、その思いも空しく 今度は肩に激痛が走った。



竜は容赦なく 僕の体をえぐっていく。
痛みは途切れることなく続き、僕はすでに息も絶え絶えになっていた。



 このままじゃ‥

このままじゃ、本当に死んでしまう‥!!



僕は後ずさった。
もう痛みで動くことなど出来るはずもないのに、生存本能なのだろうか…体は無意識に動いていた。



その背中が後ろの壁にぶつかると 辺りに軽快な音が響いた。



 ちゃらりらら〜〜ん♪

 おめでとうございます!

 あなたは見事、旅立ちの扉の前に来ました!


 さあ、扉を開く呪文をどうぞ!!





……呪文!!? 何だそれ!!??


こんな扉の事は攻略本にも載っていなかった。
でもここから…、この世界から抜け出すには この扉を開かないといけないのだろう。



断続的に襲ってくる激痛に耐えながら その呪文を考えるが、頭が朦朧として 思いつくことが全く出来ない。


「ひ‥開け……」


声を張り上げることもできず、弱々しく呟いた僕の言葉に……



 ぶぶ〜〜っ!

 呪文が違います!!

 もう一度 お考え下さい。





機械的で冷淡な音が返された。


「家に……かえ‥して…」



僕の悲痛な声に、返ってきた答えは 又しても冷淡なモノ。






「…ッ!ぁ゛あぁ゛ああ!!!!」


もはや体中激痛だらけで 逆に痛みを鈍く感じていた僕の体に、いきなり 今までとは比にならないぐらいの痛みが走った。



竜が僕のさらけ出された脇腹の内部を、鋭く長い爪で掻き回したのだ。



 ぐちゃ‥






……ぐちゃ…









 く゛ぢゃり‥



湿った音が頭に響くが、そんな事を気にする余裕もない。



 いたい痛いいたいいたいいたいいたいいたいイタイいたい痛いいたいいたいいたいイタイ!!!!!!!



壊れたテープのように、同じ言葉が頭の中を駆け巡る。



 もうイヤだ…
嫌だいやだいやだ嫌だいやだイヤダ!!!!!



 こんな世界なんて、こんな…ゲームの世界になんて居たくない!!!!



「ゲームなんて…

 ……もう、


 した‥く ない………」



僕は知らず知らずのうちにそう呟いていた。


その瞬間、もう聞き慣れてしまった軽快な音が辺りに響いた。



 ちゃらりらら〜〜ん♪

 おめでとうございます!

あな…は見事に…を………






僕は薄れていく意識の中で、背後から溢れてきた暖かな光に 体が包まれていくのを感じ……。

そして痛みも何もなく、安らかな気持ちで 真っ白な世界に落ちていった。



 ああ‥

これでやっと帰れるんだ‥



そんな安堵を胸に抱き、僕は静かに眼を閉じた。












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