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第二章
「じゃからちゃんと人間サイズも造るぞ」
「ちゃんとですか」
「わしは完璧主義なのじゃよ」
 誰も望んではいない完璧主義である。
「じゃからな。こうして人間サイズのロボットも造るのじゃよ」
「それでどれだけ造るんですか?」
「千体じゃな」
 また随分ととんでもない数字であった。
「それだけは造るぞ」
「また迷惑な数を造るよなあ」
「全くだよ」
 千体と聞いて顔を顰めさせざるを得ないライゾウとタロだった。
「それだけ造ってまた碌でもないことするんだろうな」
「いつも通りね」
「巨大ロボは一体じゃ」
「一体ですか」
「ただしその一体はとりわけ強力なものにする」
 何の手も抜かない博士だった。やはり余計な完璧主義である。
「では。今から開発と製造に取り掛かるぞ」
「それじゃあ僕も行きます」
「ああ、それはいい」
 小田切君が手伝おうとするのは止めるのだった。
「わしが全部やるからのう」
「だからですか」
「小田切君は電話番をしておいてくれ」
 これまた随分と楽な仕事を伝えられた。少なくともあまりにも危険な殺戮ロボの開発や製造に比べればかなり楽なのは確かである。
「朝の八時から夕方の五時までのう」
「それから後はどうするんですか?」
「電話は切るし来訪者にはロボットが応対する」
 それで済ませるというのだった。
「ヤクザ者や暴走族狩りのロボットを出しておいてのう」
「そんなの出したら危ないじゃないですか」
 博士の開発したそうした人間狩り用のロボットは実に恐ろしい。いざとなれば相手をミンチにしてしまうこと位ざらというとんでもないロボットなのだ。博士は時々気が向けばそうしたとんでもないロボットを暴力団の事務所や暴走族の集会に送り込んで実験用の素材を調達させたりさらに気が向けばそこで虐殺を行ったりするのである。
「あんなのを置いていたら」
「普通の来客ならそんなことはせんよ」
 実に信用できない言葉である。そもそも世界でも最悪の危険人物の一人とまでされている博士の研究所に尋ねて来るまともな人間もまずいないからだ。
「まあ普通ならばのう」
「普通ならですか」
「暇ならネットでもテレビゲームでもしておるとよい」
 これまた随分と気楽な話であった。
「それで電話番をしておればよい」
「博士はその間に開発と製造ですか」
「二日じゃ」
 期限も自分で区切ってきた。
「二日でできる」
「二日ですか!?」
「左様、二日じゃ」
 期限を聞き返す小田切君にまた答えるのだった。
「二日あれば巨大ロボットに人間サイズが千体できるわ」
「二日でそれだけできるんですか?」
 それが極めて疑問であった。小田切君はいぶかしむ顔で博士に再度問うた。
「あの今から設計、開発して製造ですよね」
「うむ」
「それで千体って」
「まず設計と開発に一日じゃ」
 それでまず一日なのだった。
「そして製造にな」
「一日ですか」
「これで二日じゃ」
 言葉に出せばそれだけである。もっともその言葉の中にあるものは途方もないものである。だが博士はあくまで何でもないといった様子のままであった。
「それで終わりじゃ。二日じゃ」
「本当にできるんですか!?」
 小田切君はそれがとても信じられず再度博士に尋ねた。
「本当に二日でそれだけのことが」
「わしは天才じゃ」
 有無を言わせぬ口調であった。
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