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18話「敗北」
東の部屋で両親の仇であるイオータと対峙(たいじ)したマユ。
復讐のため、激しい攻撃を仕掛けるものの、無傷で立っているイオータ。
自分の魔法が全く効かないことに絶望するマユは、言葉を失っていた。


「俺が使ったのは『残像』のコードさ〜」


 『風短剣(ふうたんけん) AG』


「親のところに行かせてやるよッ!!」

イオータは2人に向かって、緑がかった短剣を勢いよく振り下ろした。
だが、その攻撃を見えない壁が弾き返した。

「この子には手出しさせないわよ」
「チッ、『風流壁(ふうりゅうへき)』か・・・・・・」

ミドリはマユの前に立ち、イオータを(にら)みつけた。

「金髪美女もいいねぇ〜。 喰らえッ!」


 『連続鎌鼬(れんぞくかまいたち) ZCAP−GH』


イオータの周りに複数出現したのは、ブーメラン形状の薄い半透明の刃。

「行け」

イオータは2人の方を指さすと、刃は四方八方へと飛んでいった。
そして、360度全方位から2人を目がけて刃が襲いかかる。


『風流壁 O@X@B』


ミドリとマユを、ドーム状の半透明なバリアが覆った。
刃はそのバリアに傷をつけ、旋回して再び2人に襲いかかった。


 『水流鎌鼬(すいりゅうかまいたち) F−X@AP−GH』


ミドリの周囲に水で出来たブーメラン状の刃が多数出現。
水流鎌鼬はイオータの放った鎌鼬とぶつかり合い、いつしか全ての刃は消え去った。

「へぇ〜、水と風の特性なんだ」
「・・・・・・この子の心に傷を負わせたからには、あなたを許さないわ」

いつもは優しいミドリの表情も、今回ばかりは怒りに満ちた表情をしている。
ミドリはコードを入力し、携帯を頭上にかざした。


 『水流 F−X@』


ミドリの背後に天井まで届きそうなほど高い水の柱が現れた。


変化(へんげ) 海王(かいおう)  A A−/@』


水束縛(みずそくばく) QFCMC』


その水の柱は少しずつ形を変えていき、王冠を被り、三又の矛を持った海の化身となった。

「行けッ!」

ミドリが命令すると、海王は矛を振り下ろす。
回避しようするイオータだが、両足を水で出来た足枷が動きを封じていた。

「チッ・・・・・・使うしかないか・・・・・・!」

イオータはローブのポケットから桜の花びらがついた小さな枝を取り出して、海王にかざした。
その瞬間 イオータは姿を消し、海王はただの水となって床に零れ落ちた。

「悪いけど、長々と遊んでる暇はないんだった」

姿の見えないイオータの声が部屋に響き渡り、最下層へと続く扉が勝手に開いた。

「では、また会った時には遊ぼうじゃないか」

その言葉を境に、部屋からイオータの気配は消え去った。
ミドリは、部屋の隅に座ったままのマユに駆け寄っていく。

「大丈夫、マユちゃん?」
「仇・・・・・・討てなかった・・・・・・」

マユの顔は今にも泣きそうな顔をしている。
そんなマユの体をミドリは優しくそっと抱き寄せた。

「安心して、私が後を追うから・・・・・・」
「・・・・・・」

マユは大粒の涙をこぼしながら、両親の仇を討てなかった自分の非力さに泣いている。
頭を撫で、ミドリは部屋を後にした。








同じ頃、南の通路の途中にある部屋ではすでに戦闘が起きていた。


 『雷 AQJX』


アキラは若干赤みのかかった髪の毛をイジりながら、魔法を発動させた。
頭上にバチバチと電気が(ほとばし)る雷の球が現れた。

「こんな子供まで魔桜団にいるとは世も末だな」

アンナは目をギラつかせながら、両手で持った黒い薙刀(なぎなた)を頭上で回転させている。

「子供だからって甘く見てると、すぐに殺しちゃうよ!」


 『変化(へんげ) 雷鳥(らいちょう)  A W−H@』


アキラの頭上に浮かんだ雷の球は、電気を纏った大きな鳥へと変化。
行け!と命令するアキラに従い、雷鳥は宙を舞ってアンナに突撃していく。

「フンッ、戦法が幼すぎるぞ、小僧!」


 『暗黒壁(あんこくへき) .CB』


頭上で振り回していた黒い薙刀を振り下ろすと、アンナの正面に黒い壁が出現。
それは雷鳥を一瞬にして消滅させた。

「あ、闇の魔法! お前、ズルい!」
「もっと本気で来い、私を殺すつもりでな」
「お前を殺すのが目的じゃないし! 魔力点を解放すれば僕たちの勝ちだからね!」

アキラはフードの中から1本の枝を取り出して、アンナに見せつけた。

「・・・・・・桜樹の枝、使うのか?」
「やっぱり、使うのや〜めた」


 『高速移動 @C−@』


「逃がすものか!」

姿が見えないほどの速さでアンナの横をすり抜けるアキラ。
アンナもすぐに『高速移動』のコードを使用してその後を追うのだった。








魔桜団の4人が東西南北それぞれの道を突破し、最下層へ向かっているその頃。
突如、巨大魔物が出現したオモテ世界でも戦いが始まろうとしていた。


 『現在、2匹の怪物は近くにある街へと進行しています!』


由里はコウジと共に『翼』のコードで空を飛びながら、携帯のワンセグを見ていた。

「早く倒さないと街に被害が出ますね・・・・・・」
「シンくんは1人で大丈夫だろうか?」
「・・・・・・シンさんは強いから」

由里は真剣な眼差しでそう言った。
うん、とコウジも頷き、2人はそれぞれの『水の翼』、『雷の翼』を羽ばたかせて飛行するスピードを上げていく。


 『たった今、政府の記者会見が行われました! 政府は怪物の近い地域の自治体と
  連携し、市民を早急に避難させることを発表しました!』


政府官邸前で、リポーターがカメラに向かって発表内容を知らせていた。







静岡県に程近い太平洋へ向かう由里たちとは逆に、新潟県付近の日本海へと飛び続けていたシンは、巨大魔物の頭上で様子を見ていた。

「でっかいタコだな・・・・・・黒光りしてるし・・・・・・」

魔物は海上に顔を出し、8本の足をうねらせながら陸地へと進んでいる。

「よし・・・・・・被害が出ないうちに倒すか」


 『光矢(こうや) NAXT』


光輝く弓矢で、魔物に照準を合わせるシン。
そんなシンの前に突如、赤いローブを纏った茶髪の女・ラムダが姿を現した。

「邪魔をしないでもらえるかしら?」
「魔桜団・・・・・・!」

シンは構えていた光矢を消して、携帯にコードを打ち込み始めた。

「そうか・・・・・・転移してきて、すぐにセンサーを破壊したのはお前だったのか」
「まさか、オモテに魔法協会のヤツがいるとは驚いたよ」
「あんたの目的は? ウラと同様、こっちでも騒ぎを起こすつもりじゃないだろうな?」
「お前には関係ない話さ。 邪魔をするっていうなら・・・・・・殺すまでだけど」
「もちろん邪魔はします、よッ!」

シンは光り輝く白い刀で、ラムダに斬りかかった。


 『残像 D@』


影のように揺らめくラムダの残像を切り裂いた光の刀。
ラムダは身を翻し、シンの背後を取る。

「ヤァッ!」

シンはすぐに身体を捻りながら後ろを斬ろうとするが、ひらりと回避するラムダ。

「時間稼ぎか・・・・・・こうなったら・・・・・・!」


 『光の氾濫(はんらん) NAXMW』


シンの持つ刀から、無数の光線が放たれた。
それらはラムダの全方位から襲いかかっていく。

「さすがにこれは避けきれないか・・・・・・」

ラムダはそう呟くと、携帯を取り出してコードを素早く入力した。


 『闇の氾濫 TQMW』


携帯の画面から黒い光線が無数に飛びだし、光の光線と相殺し合った。

「・・・・・・闇か、厄介だな」
「私にとっては、光もかなり厄介さ」


 『暗黒大爆破(あんこくだいばくは) GIPBG−MCMI』


突如、シンの周囲に漆黒の球が複数現われた。

「クッ、やばい・・・・・・!」

急上昇するシン。
だが、それを追うように漆黒の球も上昇していく。
シンは複数の球から必死に逃げる。
その間にも、巨大魔物は近くの港町を襲っていた。

「この攻撃だけは喰らうわけには・・・・・・!」
「この魔法の怖さをお前も知ってるのね・・・・・・ならば!」


 『高速移動 @C−@』


「な───」

シンの目の前にラムダが現れ、蹴りを喰らわせた。
逃げていたシンの動きが止まり、漆黒の球が次々と体にくっついた。
悲鳴を上げるシン。

「さぁ、魔力を吸い取れ!」

シンの全身に付着した漆黒の球は、次第に大きく膨らみ始めていく。
ラムダはシンから少し離れたところに移動し、指をパチンと鳴らした。
次の瞬間、複数の球は巨大な爆発を起こし、シンはそのまま海へと落下。

「・・・・・・これで邪魔ものはいなくなった」

海底へと沈み続けるシン。
ラムダは巨大魔物が暴れ続ける様子を、ただ上空から見つめているだけだった。



お楽しみいただけましたか?
戦闘回パート2!
もう少しだけ、戦闘回が続きます。


そのうち番外編も書きたいなぁ
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