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17話「防衛戦開始!」
半壊状態となっている月影高校の校舎。
地下フロアへと侵入した魔桜団は魔力点のある部屋へ続く4つのルートを進み始めていた。







北ルートの途中にある広い部屋で、リキは目を(つむ)りながら腕を組んで立っていた。
バンッ!と、勢いよく蹴りで扉を開けて入ってきたのはクロナ。

「何だ、オッサンしかいねーじゃん」
「フンッ、生意気そうな小娘だな」

互いに睨みあうリキとクロナ。

「どうせ、アンタを殺さなきゃ通れないんだろ?」
「あぁ、そう言うことだ」
「あ〜あ、めんどくさ〜。 んじゃ、さっさと通してもらうわ」


 『不死鳥(ふしちょう) OEH@』


鳥の鳴き声と共に、クロナの頭上に大きな火の鳥が姿を現した。

「ほぉ、小娘のくせに強い魔法を使えるのか」
「小娘って言うな! あのオッサンを焼き殺せぇッ!!」

クロナは勢いよくリキを指差すと、火の鳥は突っ込んでいった。
飛び散る瓦礫(がれき)
舞い上がる煙。
石造りの床や壁には、黒い焦げ跡がいくつも残っている。

「ハハッ! 避けないなんてバカなの?」
「そんな攻撃、避ける必要なんてないさ」

黒い煙の中から、余裕あるリキの声が返ってきた。

「確かにお前は強いが、経験が足りないようだな」

少しずつ煙は晴れていき、リキが姿を現した。

「ハァ? 無傷? 意味分かんねぇし」
「コード『水流壁(すいりゅうへき) F−X@B』だ」
「チッ、相殺かよ。 ホント、ウザいし!」
「次は俺の番だな」

リキは火のような模様が描かれた携帯を取り出し、コードを入力していく。


 『究極炎上きゅうきょくえんじょう B@BC_E@』


クロナの周囲に小さな火の球が複数出現。
そして次の瞬間、それらはクロナを巻き込むほど巨大な炎の波に変化。
炎の波はクロナを包み込み、大きな火の球になった。

「くっ、何この熱さ! お前、火の特性なのか!?」
「あぁ、そうだ。 あと、まだ俺の攻撃は終わってないからな」

そう言ったリキの正面に、炎で形成された巨大な鬼が現れた。
阿修羅の如き形相で鬼は、金棒を振り下ろす。
その金棒はクロナの入った火の球を押し潰し、部屋中に炎が燃え広がった。


「どうだ、小娘? 少しは効いたか?」
「ハァ、ハァ・・・・・・こんなヤツがいるなんて聞いてない!」

クロナの纏っている赤いローブはほとんど燃え落ちており、
中に着ている黒いスーツのような服には焦げ跡がいくつも残っていた。

「・・・・・・仕方ないけど、アレを使うか」

クロナがズボンのポケットから取り出したのは、小さな桜の枝。

「小娘、それはまさか・・・・・・」
「あぁ・・・・・・桜樹の枝だ!」

クロナはその枝を上に掲げると、辺りは突然白い霧に包まれた。

「くっ、桜樹までもがお前たちの手中にあるのか・・・・・・!」
「ハハハハハッ! しばらくここでジッとしてな!」
「おい、待っ───」

動こうとしたリキだが、そのまま床に倒れてしまう。
リキの背後にあった鉄製の扉を通り、クロナは口元を袖で覆いながら部屋を出ていき、
最下層へと進んでいった。

「・・・・・・(くっ、この霧は麻痺成分の入った粉か)」

全く身動きの取れなくなったリキはしばらくの間、全身の痺れに苦しむのだった。









同じ頃、西ルートの中間地点にある石造りの部屋では真司とカブちゃんが待機していた。

「真司ちゃぁん、身体震えてるけど大丈夫ぅ?」
「あ、あぁ・・・・・・緊張してるだけだから・・・・・・」

遠くで爆発音や地響きが鳴っている。
その時、真司たちのいる部屋のドアが静かに開いた。

「簡単には通してくれなさそな雰囲気だな」

扉の向こうから現われたのは、2mの巨体を持つ男・ボルトローだった。

「あんらぁ〜、鋭いわねぇん」
「では、さっさと戦いを始めるとするか」

ボルトローはローブを脱ぎ捨て、ジーパンに上半身裸というスタイルになった。
ムキムキに鍛え上げられた筋肉を見た真司は、その迫力に押されて
少しばかり後ずさりしている。


 『岩石鎧(がんせきよろい) ABV−』


「フンヌッ!」

ゴツゴツと尖った岩がボルトローの全身を覆った。
その姿はまるで鎧を纏った武者の様である。

「真司ちゃん、ちょっと動かないでねぇん」

カブちゃんは真司の方に携帯の画面を向けた。


 『硬化(こうか) @A』


「ん・・・・・・?」
「今、身体強化の魔法を使ったのぉ。 これでアイツに殴られても平気よぉん」
「殴られるって・・・・・・あんなのにやられたら骨折じゃ済まない気が・・・・・・」
「来るわよぉん!」

ドス!ドス!ドス!と、一歩ずつ地面を鳴らしながらボルトローは2人に迫って来る。
カブちゃんは素早くコードを入力し、携帯を地面に向けた。


 『強き岩槍(いわやり) IVB−TX』


太くかつ鋭利な岩の槍がいくつも床からボルトロー目がけて飛び出していく。


 『岩石壁(がんせきへき) ABB』


ボルトローは岩を纏った右腕を床に向かって叩きつける。
すると、床から分厚い岩の壁がボルトローとカブちゃんの間に出現し、岩槍の攻撃を防いだ。


 『変化(へんげ) 石蛇(いしへび)  A −EN』


砕け散った岩槍と岩の壁が磁石のようにくっつき合い、巨大な石の蛇へと姿を変えた。

「行け、石蛇!」

ボルトローの命令と同時に、石蛇は口に生えた2本の鋭い牙でカブちゃんに噛みついた。

「っ・・・・・・これくらい何ともないわぁ・・・・・・」

余裕の表情を見せるカブちゃんだが、岩蛇の牙は左腕を貫通していた。
床に垂れる大量の血液。
引きつった表情のカブちゃんだが、痛みに耐えながらコードを入力。


 『変化(へんげ) 岩石大明神がんせきだいみょうじん  A ABG−Q@E』


岩蛇はバラバラに崩れ落ち、再び磁石のように1つに集まっていく。
そして、それらは岩の巨人を作り上げた。
その手には大きな斧が握られており、凶悪な形相でボルトローを睨んでいる。

「さぁ・・・・・・いくわよぉん・・・・・・!」

カブちゃんは左腕の傷を押さえながらそう言った。
その後ろで、2人の戦いに呆気を取られていた真司はすぐに我に返った。

「お、俺も戦わないと・・・・・・!」

 真司は勇気を振り絞り、カブちゃんの横に並んだ。

「し、真司ちゃん」
「カブちゃん、俺も戦う・・・・・・!」


 『火炎鎧(かえんよろい) A_V−』


突如、岩石大明神の足元から激しく燃え盛る火が噴き上がった。
そして、その火は岩石大明神の全身を覆い尽くし、燃え続ける炎の鎧へと変化した。

「魔法を組み合わせたか・・・・・・」

ボルトローは呟いた。

「まだ、終わっちゃいない!」


 『火炎刀(かえんとう) A_AGJ』


真司が右手に握っている携帯が炎を纏い、その形を日本刀のような赤い剣に変わった。

「う、うおぉぉぉぉぉ!!」

叫びながら真司はボルトローに向かって走る。
そして、地面を蹴って火炎刀で斬りかかった。

だが、キンッ!という金属音と同時に火の刃は、ボルトローの右腕を覆う岩石の篭手(こて)に阻まれた。

「弱いな、少年」

ボルトローはそのまま腕を払い、真司を吹き飛ばした。
真司はそのまま部屋の壁に激突。
壁面を砕き、瓦礫が崩れ落ちている。

「・・・・・・くっ!」

真司は苦痛に耐え、瓦礫の中から起き上がった。

「・・・・・・カブちゃんの『硬化』がなかったら死んでたかも」

ローブについた砂を払いながら真司が顔を上げると、
先ほどまで立っていたカブちゃんが岩石大明神の残骸と共に倒れていた。

「・・・・・・カブちゃん!!」

真司はすぐにカブちゃんの元へ駆け寄った。

「し、真司ちゃん・・・・・・」
「だ、大丈夫か、カブちゃん!?」
「アイツは・・・・・・枝を使ったわ・・・・・・」

枝?、と真司は聞くが、すでにカブちゃんは虫の息。
真司はすぐ救急部隊に連絡し、『癒し』のコードで治癒を始めた。

「し、真司ちゃん・・・・・・アイツは下へ行ったわ・・・・・・」
「え?」

ふと真司は辺りを見渡すと、すでにボルトローの姿はなかった。

「さっき、真司ちゃんを吹き飛ばした後に・・・・・・アイツは枝を使っ───」

咳きこむカブちゃん。
口元からは血が垂れており、手足には刺し傷を負っていた。

「カブちゃん、ジッとしていてくれ。 あとは俺がアイツを追う・・・・・・!」

カブちゃんは小さく頷くと、そのまま意識を失った。
真司はゆっくりと立ち上がり、携帯にコードを入力。


 『高速移動(こうそくいどう) @C−@』


部屋にカブちゃんを残し、真司は姿を消した。








真司、カブちゃんがボルトローと戦う少し前。
ミドリとマユが待機している東の部屋にも、魔桜団の1人が訪れていた。

「おぉ、女性2人が俺の相手してくれるの?」

赤縁のメガネをかけたイオータは、笑みを浮かべながらそう言った。

「ここから先は通さないわよ?」

ミドリは不敵な笑みを浮かべている。

「一応、自己紹介しておこうか。 俺はイオータ、知ってるかな?」
「えぇ、魔法戦争の作戦指揮官だったんでしょ?」
「へぇ〜、覚えてくれてるとは光栄だなぁ」
「あと、魔法協会の裏切り者、ってことも知ってるわ」

一瞬 沈黙が訪れたが、すぐにイオータは口を開いた。

「裏切り者ってのは、ヒドいなぁ〜」

イオータは笑いながらそう言った。
ミドリの横で、一言も喋らずに立っていたマユは小さな声で何かを呟いている。

「・・・こ・・・と・・・・・・し・・・・・・」
「ん、何だい? そちらのお嬢さんは、随分と寡黙なんだねぇ〜」
「この・・・・・・こ・・・・・・し!」
「え?」

「この人殺し!!!」

マユは顔を真っ赤にして怒鳴った。
再び部屋に沈黙が訪れる。

「い、いきなりどうしたんだぃ、お嬢ちゃん?」
「あんた・・・・・・イオータって言ったわよね?」
「あぁ、そうさ」

マユの眼は、一時もイオータを逃がさないほどに鋭い視線で睨んでいた。

「魔法戦争の時、アタシは見た・・・・・・あんたがアタシの親を殺すところを!」
「マ、マユちゃん、どうしたの・・・・・・?」

ミドリは困った顔をしてマユに訳を聞こうとする。
だが、マユは黙ったまま。
すると、イオータは突然高笑いをし始めた。

「ハハハハハハッ!!! 思い出したよ、サクラインを奪う時に邪魔してきたヤツらが」

笑っていたイオータの顔は、すぐに真剣なものになった。

「邪魔してきたから殺した。 ただ、それだけさ」
「くっ・・・・・・お前ぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 『氷結槍(ひょうけつやり) F−X@TX』


携帯は氷の槍へと姿を変え、マユはそれを持ってイオータに飛びかかる。
だが、イオータは一歩も動かずに槍の先端を掴み、マユの攻撃を止めた。

「落ち着こうよ、お嬢ちゃん。 両親の復讐か?」
「お父さんとお母さんの・・・・・・仇だッ!!」


 『連続氷柱(れんぞくつらら) ZCIWW』


マユの持つ槍は砕け散り、無数の氷柱となってイオータを串刺しにした。
イオータから離れ、床に膝をついたマユ。

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」
「マユちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫です、先生・・・・・・」

いきなりひどいなぁ〜、と背後から男の声がし、2人は慌てて振り返る。
すると、そこには先ほど氷柱に貫かれたはずのイオータが何事もなかったかのように立っていた。


今回から戦闘が主の話が続きます!

ようやく戦闘らしい戦闘が行われた回かな。
魔法とかいっぱい出てきて、収集が・・・・・・
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