1話「桜並木と少年」
大地は目覚め、草木は芽ぐむ。
花咲き、鳥鳴いて、心は浮き立つ。
始まりと出会いの春。
そんな季節の暖かく穏やかなとある日。
桜の木の下でまどろむ1人の少年がいた。
「・・・・・・し・・・じ!」
聞き覚えのある女の声がどこか遠くから聞こえている。
誰かを呼んでいるようだ。
少年の意識は眠りの中から現実へ引き戻されていく。
「・・・・・・しん・・・!」
意識がはっきりとせず、よく聞き取れない。
バチンッ!
次の瞬間、右頬に衝撃が走った。
「佐倉真司!!」
「っ・・・!!!」
言葉にならないほどの激痛に悶える黒髪の少年。
若干赤みがかった長い髪を持つ少女が放ったビンタは少年の頬を真っ赤に腫らさせていた。
「・・・・・・っ、痛ぇ・・・・・・」
両手で頬を抑える少年の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「・・・・・・うぐっ、何すんだよ・・・由里」
「いつまで寝てるの、真司!」
制服姿の少女・浅山由里は、木の下で寝ている少年・佐倉真司の足元で仁王立ちしていた。
「いつまでって・・・・・・、まだ2時間しか寝てないだろ」
学ランのズボンのポケットから携帯電話を取り出して、時刻を確認。
「もう昼休み! 入学早々サボるとか、高校なんだから留年しちゃうよ?」
「うっ・・・・・・それはさすがに困る・・・・・・」
「でしょ? ・・・・・・それにしても、ここって素敵な場所だね」
真司と由里が通う『陽光学園高校』には大きな裏山があり、山と校舎の間に桜の木が横一直線に立ち並ぶ桜並木が有名だ。
まるで山と校舎の境界線のように列を成している。
「な、いい場所だろ? 誰も来ないとか勿体ないよなぁ」
「あ、そういえば中学から知り合いの先輩から聞いたんだけど・・・・・・
この場所で奇怪な現象が起こるって」
「そんなのどうせ、学校七不思議みたいな都市伝説だろ」
真司は笑いながらそんなことを言った。
その時、突如風が吹き荒れ、桜の花びらが散り乱れ、見事な桜吹雪が舞った。
「ね、ねぇ真司。 早く校舎に戻ろうよ。 何だか危ないって、ここ・・・・・・」
真司の手を引っ張り、校舎へ帰ろうとする由里。
先程まで笑っていた真司の顔は強張っており、2人は逃げるように裏山をあとにした。
春特有の陽気が睡魔を誘う午後の授業も終わり、部活へ向かう生徒、帰宅する生徒が
校舎内の廊下を行き来している。
「真司ぃ、帰りにどこか寄り道・・・・・・あれ、いない・・・・・・」
真司のクラスの入口から中を見渡した由里だが、真司の姿はどこにもない。
廊下へ戻り、しばし思考を続ける由里。
・・・。
・・・・・・。
裏山。
由里の思い浮かべた真司の行き先はそれだった。
「・・・・・・幼馴染だからって、一緒に登下校はさすがに困るな」
独り言を呟きながら、真司は校舎裏の桜並木を歩いていた。
「にしても、不気味なぐらい真っ直ぐに並んでいるよな・・・・・・やっぱり、何かありそうな予感!」
『・・・・・・ン、・・・れ・・・・・・だ』
突如、謎の声が辺りに響き渡った・・・・・・のかは分からない。
単なる空耳か、遠くから聞こえる部活の声か。
ただ分かることは、この場の空気が一変したということだけ。
「な、なんだ・・・・・・声が・・・・・頭の中に・・・響いてる?」
『・・・・・・あれの・・・ど・・・・・・ダー・・・サ・・・ラ・・・イン』
「なんか、ヤ、ヤバそう・・・だ・・・・・・」
真司の眼に映る辺りの景色はゆっくりと歪み始めていた。
「うぅ・・・耳鳴りまでしてきた・・・」
頭を抑え、地面に蹲る真司。
脳内に響く謎の声はノイズ音に変わり、周りの景色はさらに歪んでいた。
「真司!!」
遠くから由里が真司を呼ぶ声がする。
ノイズ音の中、由里の声だけがはっきりと聞こえていた。
「ゆ・・・・・・由里!! 来ちゃだめだ!! ・・・・・・来るな!!」
今にも意識が吹っ飛びそうな中、真司は必死に叫ぶ。
ノイズ音はさらに激しくなり、意識が消えそうになる。
耳が壊れそうなぐらい乱れた激しい音の中、謎の声がはっきりと聞こえた。
『ボーダーサクラインを通る?』
今回が初投稿です。
あまり文章力がないかもしれませんが、
見てくださると嬉しいです(^-^)
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・・・って、大きすぎか(笑)
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