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08.あたしの可愛いモン娘①猫娘

 コンコン。

 ノックの音がして、あたしは部屋に猫っ娘を迎え入れる。

 あたしの部下を選ぶ面接の始まりだ。

 いや、部下というよりペットと言うか、友達と言うか、もういっそ恋人?

 あ、そうなるとたくさん増えていくとハーレムになるの?

 とりあえず、大切な1人目だ。


 まずしっかりと見てみよう。

 ふわふわくるくるした栗色の髪が肩まであり、頭には猫耳。

 顔はほぼ人間だけど、人の位置に耳はない。

 色は少し褐色で髪の色に近い。

 手は人間の手に近いけど、指が短めで肉球もあるっぽい。

 そしてもちろんしっぽ。白と栗色のしましま。

 ぶっちゃけ猫のコスプレした人間に見えなくもない。

 だけどこの子は間違いなく魔物なのだ。


「ユウナ様、失礼いたします。本日はここに呼んでいただいて感激しております。どうぞよろしくお願いしますね」

「うふふ、そんな固くならなくていいよ。実はね、もう最初はあなたに決めちゃおうと思ってるんだ。あとはあなたがあたしのことを気に入ってくれるかだけだよ」

「え?あ……光栄……です。わたしのほうは何も文句などありません!」

「それはこれから決めてね。まだわたしのことをよく知らないわけだしさ。募集文しっかり見たよね?」

「はい……」


 そう言って顔を赤らめる猫っ娘。

 これは、裸で身体検査を思い浮かべたか、はたまたキスの文か。

 とりあえずあたしが言いたいのは……。


「あたしって結構わがままなんだ。だからいろいろ言うからね、嫌だったらちゃんと嫌って言うんだよ?」

「はい……。でも、おそらく嫌なことはないかと……」

「ふーん、そう言われると意地悪したくなっちゃうかもだよ」

「ユウナ様でしたら……」


 おおお?何だこの反応は……。

 完全にあたしに惚れているとしか思えない反応?

 危険なところを助けたんだし、こうなるのも当然なのかな。

 よ、よし……。いろいろ要求だ。

 とりあえずソファーに座らせる。

 あたしは立ったままで質問をしよう。


「まずあなたってさ、猫だよね?」

「はい、猫型の魔物です」


 ふむ、見たことないけどこの世界にも動物の猫はいるようだな。

 それなら話が早い。


「あたしが異世界から来たってことは知ってるよね?実はあたしが元いた世界にも猫っているんだ」

「そうなのですね。ユウナ様の世界とこの世界には共通点があるのですね。なんだか嬉しいです」

「それでさ、あたし猫って大好きなんだ。だからあなたのことも最初に見たときから気にいってたんだよ」

「それは……嬉しいです。猫の魔物に生まれてよかった……。プロメイティア様……」


 目を閉じて感激している猫っ娘。

 今つぶやいた名前はだれ?


「ねえ、今だれの名前言ったの?プロマ……?」

「プロメイティア様です。わたしたち魔物を作ってくださった神様です」

「その神様は女神アルティアナとは別だよね?」

「はい、アルティアナ様は女神様。プロメイティア様は男神です」


 なるほど、男の神様もいるのね。

 てことは……神託の時に聞こえたのはその男神か?

 うーん、こんな可愛い魔物達を作ってくれたその神様に感謝だ。

 あたしはこの瞬間、プロメイティア教に入信することとした。

 いや、別に宗教ではないんだろうけど……。


「じゃあ、あなたみたいな魔物を作ってくれたプロメイティア様にあたしも感謝するよ」

「はい、嬉しいです。人間の間ではプロメイティア様は何故か邪神とされていて……名前を呼ぶことすら禁じられていると聞きましたので……」

「そうだよねえ……あたしもそう教えられちゃって困ってたよ。あなたに教えてもらえてよかった」

「はい!」


 満面の笑顔の猫っ娘。

 プロメイティア様のことが大好きなんだろうなあ。

 それにしても人間側は、魔物を創ったという理由で男神を邪神としたわけか。

 これも女神アルティアナの教えかな?

 どんだけ魔物を嫌ってるんだか。

 さ、話の続きをするか。


「じゃあ話を戻すね。猫が好きだからさ……あなたにはもっと猫っぽくふるまってほしいんだ」

「猫っぽく……ですか?」

「うん、まず猫の鳴き声ってできる?」

「はい……えっと。にゃあ……」


 おお!かわいいぞ。

 正直言うと本物の猫には全然似ていない。

 可愛い女の子がにゃあと言っただけな感じだ。

 だが、それがいい……。


「あたしの最初のわがままはね、常にそれを語尾に着けて話してほしいんだ」

「語尾……ですか?えっと……その……にゃあ?」


 よしよし、これをやってくれればかわいさ300%アップだぞ。

 ちゃんと教えてみよう。


「じゃあ演技指導してあげるね。まず朝の挨拶なら、おはようございますにゃ。言ってみて」

「お……おはようございますにゃ」

「うんうん、かわいいよ。なでなでしてあげる」

「ひゃうんっ!」


 頭を撫でると、予想通りの反応。

 昨日の犬っ娘と同じだね。

 でも今日は容赦しないぞー。ふっふっふ。


「びっくりしたのかな?でもあたしの部下になるってことは、よくこんなことされちゃうんだよ」

「びっくりしましたが……気持ちいいです……。よくされてしまうのですね……。あ、にゃあ」

「そっかそっか、気持ちいいのかぁ。それでね、驚いた時とかも、にゃあっって言うのを心がけてね。もう1回行くよ」


 あー、もう最高に可愛くて楽しーよ?

 ここに来て本当に良かった!

 あたしはまた猫っ娘の頭を撫でる。


「にゃあっ!」

「うん、合格。常に猫言葉を意識してね。お返事もだよ」

「はいですにゃ」

「うんうん、わかってきたね。かわいいかわいい」

「そ、そんなに言われると照れます……にゃ」


 いやあ、これが萌えってやつかな。

 嫌がってもいないようだし、一安心。

 このままがんばってもらうとしよう。


「じゃあどうかな?このあたしのわがままは聞いてくれる?」

「は、はいですにゃ……。がんばります……にゃあ」

「うんうん、いい子だよ」

「にゃう……」


 顔を真っ赤にしてうつむく猫っ娘。

 もう抱きしめたいなあ。

 でもまだ我慢……。ちゃんと手順を踏むのだ。


「次はね、特技を聞きたいんだけど、たしか治療ができるんだよね?どうやるの?」

「えっとですね……にゃあ。嫌がられるかもしれませんが、舐めて治すんです……にゃ」

「ほほう」


 この可愛らしい猫っ娘が舐めて治療してくれるとな?

 嫌どころか……ぜひやってほしいぞ。

 えーと、あたしは怪我をしてないし……よし!


「ユ、ユウナ様!?にゃああ!?」


 猫っ娘の悲鳴も無理はない。

 あたしは床に向かって思いっきりダイブしたのだ。

 いてててて……。

 腕と膝と顔を少しすりむいたようだ。

 さあ!治して!


「あなたの能力を確かめておきたいの……治してみて……」

「わ、わかりましたにゃ!」


 猫っ娘は大慌てであたしに飛びついてくる。

 素早い動きだな。

 この動きなら戦場でも活躍できそうだけど、治療にはどのくらい時間がかかるのだろう?


「まずは顔からいきます……にゃ。傷が残ったた大変ですから……にゃお」


 猫っ娘があたしの顔を一舐め。

 長い舌だなあ、少しざらっとしてるけど気持ちいいぞ。

 そのままあたしの腕の傷を探す猫っ娘。

 あれ?もしかしてもう顔のすり傷は治ってる?

 一舐めで治すとはやるな。しかし残念である……。

 そのまま腕もぺろりと治され、膝もあっさり治される。

 

「と、とりあえず治したはずですが、まだ痛いところはありますかにゃ?」

「いや、大丈夫みたい」

「ほっ、よかったですにゃあー」


 安心して床に座り込む猫っ娘。

 あの程度であんな心配してくれるなて、いい子だにゃあ。

 って猫言葉がうつってる場合じゃない。

 とりあえず舐められた腕の匂いを嗅いでみる。

 唾液特有の嫌な臭いはない。

 傷を治すことが出来るから、臭いの菌とかもいないわけだろうか?

 とりあえず褒めてあげなくちゃ。


「ありがと。すごいんだね、こんなあっさり治せるとは思わなかったよ」

「浅い傷ならあのくらいで治せますにゃ。もっと深い傷では何度も舐める必要がありますが……にゃお」

「そっか、でも優秀だよ。もともと合格だったけど、さらに合格」

「にゃうう……」


 照れてるというか喜んでいるようで、また真っ赤になっている。

 かわいいにゃあ。

 でも、物足りないからもっとやってもらおう。

 怪我は無しでね。


「でも、もう少し確認しておきたいからさ、あたしの顔に深い傷が出来たと思ってやってみてくれないかな」

「わかりましたにゃ。失礼しますにゃ」


 猫っ娘が長い舌を伸ばしてあたしのほっぺを大きく舐める。

 さらに舐める。何度も舐める。

 なんだかじゃれられてるみたいだなあ。

 ほっぺたあったかくて気持ちいいぞ。

 いやあ幸せ。

 もし戦う必要があればこの子を戦場に連れていこう。

 戦いはさせなくていいの。

 あたしが守って、怪我をしたら治してもらおう。


「気持ちいいな。あなたの能力、とっても優しいね。あなたが怪我を治した人間の兵士もきっと感謝してるよ。捕まったのは怖かっただろうけど、そのおかげであたしはあなたに会って、ここに来る決心をしたんだよ」

「にゃあ……」

「ふふ、もうやめていいよ。ありがとね」

「はい……わたしは捕まってしまったけど、あの人間を助けたことを後悔していません。だからユウナ様の言葉が嬉しいです……。あ、にゃあ」

「そっか、そんな優しいあなたのことが大好きだよ。これからはあたしが守ってあげるね。もう2度とあんな怖い思いはさせないから」

「ユウナ様……嬉しいです……にゃ」

「さ、面接の続きしようか」

「いえ……もう今の言葉で決めましたにゃ。あなたに仕えさせていただきたいですにゃ」


 なんとなくいいムードだ。

 この子がこういうのなら、もう決めちゃおうか。

 じゃあ、あとひとつだけ……。


「わかった、じゃあ今からすることを受け入れてくれたらね。目を閉じて……」

「えと?はい……にゃう」


 さて……キスしちゃっていいよね?

 募集文にも書いておいたわけだしさ。

 しかし……緊張するな。

 これってあたしのファーストキスだよ?

 異世界で、魔物にあげちゃうとは思わなかったけど……。

 この子なら相手に申し分はない……。

 嫌がって逃げたらショックだけど、そうならないと確信してる……。

 ではまず頭に手をまわして……。


「にゃっ!」

「大丈夫、怖くないからね」

「いえ、ユウナ様の手が気持ちよくて……にゃう」

「ふふっ、じゃあいくね」

「にゃお……」


 この子もきっと何をされるかわかっているんだろうな。

 よし、しちゃうぞ!

 あたしは顔をゆっくりと猫っ娘に近づけていく。

 やわらかそうな唇だなあ。

 この唇にあたしの唇を近づけて……。

 ちゅっ。


「んっ!」


 猫っ娘の体がびくんと跳ねる。

 予想どおりやわらかい唇だな。

 ついにしちゃったよ……。

 キスって、こんなに気持ちいいんだな。

 あたしとろけちゃいそうだよ……。


 どのくらいしてたかはわからないけど、あたしは唇を離した。

 猫っ娘も目をとろんとうるませている。


「どうかな?決意は変わらない?」

「もちろんです……にゃお。おねがいしますにゃ」

「じゃあ、あなたに名前を付けるね」

「にゃん!」


 目を輝かせてあたしを見つめる猫っ娘。

 さあ、可愛い名前つけなきゃね。

 どうしようかな、あたしの好みで『ミ』の文字は入れたい。

 ミケ?ミーコ?ミィ?いやいや、猫っぽすぎる。

 もう少し自然なのがいいなあ。

 悩んだ末あたしの頭に浮かんだのは……。


 ミリィ。

 うん、人にもいそうだし、猫っぽいし。

 喜んでくれるかな?

 呼んでみよう……。


「ミリィ……。あなたの名前、ミリィにしようと思うんだ。どうかな?」

「嬉しいです……。素敵な……とても素敵な名前です……」


 猫言葉忘れてるよ。

 そう言おうとしたけど、ミリィの目に浮かんでいる涙を見て言うのをやめた。

 それだけ感動してくれたんだね。

 今日からあなたはあたしの大切なお友達。

 ついてきてね……。

 あたしはミリィを抱きしめる。


「にゃっ!」


 ミリィの体がびくっと震えるけど、あたしは離さない。

 だって、驚いてるんじゃなくて嬉しいんだもんね?

 あたしわかってるんだ。

 その反応も可愛いよ、ミリィ。

 しばらくこうしてようっと。

 あったかいなあ……。


 名前を付けたからって、見てわかるような何かが変わるわけじゃない。

 だけど、ミリィの中ではすごい変化が起きてるんだろうな。

 いったいどれだけの期間、名前を付けてくれるご主人様を待っていたんだろう。

 あたしの可愛いモン娘第1号。

 大切にするよ。


「ミリィ、これからよろしくね」

「はい!じゃなくて……にゃん!」

「ふふ、いい子いい子」

「にゃうー」


 抱きしめたまま頭をなでなで。

 そろそろ触られるのも慣れてきたかな?

 ああ、かわいいなあ。

 さて、面接の予定時間はまだあるけどどうしようかな。


――ユウナよ、お楽しみのところすまぬが……よいか?――


 あら?麒麟見てたのかな?のぞきはだめだぞ。

 なにかな?


――ユウナの持つ力、神獣召喚のことだが、名前を付けた者を呼びだしたり還したりできるぞ――


 え?そうなの?魔物だけどできる?


――その者らも神に作られた存在。我と変わらぬ。ただ魔物と呼ばれているだけだ――


 そうなのか、じゃあこの子たちも神獣と言っていいわけだね。

 試してみるよ、ありがとうね。


――うむ、しっかりな――


 麒麟ってば、困った時に聞こえる天の声みたいだ。

 便利な子だねえ。

 さっそく試そう。


「ミリィ、ちょっと試したいことがあるの。部屋に戻ってみてくれる?もし10分たっても何も起きなかったら戻ってきて」

「にゃう、わかりましたにゃー」


 ミリィが部屋を出て行ってから5分ほど経過……。

 さあ、呼びだすぞ。


「ミリィ、召喚!」


 おお?麒麟の時のようにあたしの体から魔力が出て……。

 その魔力がミリィを形作った。

 麒麟の時と違って魔力を全然消費していない気はする。


「あれ?ユウナ様?にゃお?」

「あ、成功したね。あなたを呼びだしたんだ。どんな感じだった?」

「ユウナ様に呼ばれてる気がして……そのまま身を任せていたらここにいましたにゃ」

「なるほどね。じゃあ戻してまた召喚するから、次は呼びだしに逆らってみてね。それが出来たら歩いて戻ってきて」

「にゃう……。逆らえる自信はないですが、やってみますにゃ」

「ちゃんと出来たらなでてあげるよ」

「がんばりますにゃ!」


 うんうん、かわいい反応だ。

 では戻してみよう。


「ミリィ、送還!」


 あたしの目の前から消えていくミリィ。

 無事に戻れたかな?

 では再度召喚。


「ミリィ、召喚!」


 む、何も起きないか?


――頭なでなでしてほしいので行けないのですにゃ――


 おお?頭に声が聞こえてきたぞ。

 ミリィの心の声かな?

 召喚は断れるんだね。

 着替え中やトイレ中に呼びだしちゃう心配はないわけだ。

 そしてしばらく待つとミリィが部屋にやってくる。


「ユウナ様!できましたにゃ!」

「よしよし、いい子いい子」

「にゃうにゃう……」


 無事ミッションをこなしたミリィの頭をなでなで。

 可愛いなあもう。


「いろいろ聞きたいんだけど、まず送還した後はどこに戻った?」

「部屋の中の、召喚された時にいた場所にそのまま戻りましたにゃ」

「なるほど。それで召喚を断った時はどんな感じだった?」

「ユウナ様に呼ばれてる感じは同じですが、行けない理由を思い浮かべたら……呼ばれる感じが消えましたにゃ」


 なるほどね。これは便利だぞ。

 危険な場所とかに行く場合も、連れていかずに召喚すればいざという時に還せるわけだ。これは使いやすそう。基本的にこのお城にいてもらうとしようかな。

 教えてくれた麒麟にも感謝だ。


「あたしの能力が把握できたよ。ありがとね」

「にゃう。お役にたててなによりですにゃ」

「体に異常とかないよね?大丈夫だった?」

「わたしは問題ないですにゃ。ただ……」

「え?ただなに?」

「ベッドで横になっていた弟がびっくりしていました」

「あはは……そうだよね。大丈夫かな?」

「はい、さっきの少しの間にお話ししておいたので大丈夫です……にゃお。名前を付けてもらったことも言ったら一緒に喜んでくれましたにゃ」

「そっかあ、弟君うらやましがってたかな」

「少し……。でもおかげで元気になったようですにゃ。ユウナ様のおかげですにゃ」


 弟かあ、一緒に部下にしてあげたいけど男なんだよなあ。

 でもミリィにそっくりでかわいいもんなあ。

 それなら問題ないかな?


「弟君にも付けてあげることになるかもだね。あたしは可愛い猫が好きって伝えておいてくれる?」

「わかりましたにゃ!きっとはりきりますにゃ。わたしも弟とこの話し方を練習しますにゃ」

「うん、期待してるよ」

「にゃん!」


 うん、猫言葉もだいぶ慣れてきたね。

 可愛いよ、ミリィ。

 さて、後は何をしようかな。

 服を脱いでの身体検査も考えてたけど、時間はあと少ししかない。

 これは今度のお楽しみだな。

 あとやるべきことは……。


「ミリィ、お願いがあるんだけど……」

「お願いだなんて、命令してくださいにゃ。ユウナ様」

「ふふっ、じゃあね……いろいろ触らせてほしいの」

「にゃう……ど、どうぞですにゃ……」


 さーて、どこから触ろうかなー。

 やっぱ猫耳?

 気持ちよさそうだぞ。

 まずはなでるようにさわっと……。


「にゃううー」

「やっぱりくすぐったい?」

「すこし……。でも嬉しいですにゃ。遠慮せずにどうぞですにゃあ」

「じゃあ遠慮なく」

「にゃふー」


 あたしは耳を手にとってよく観察してみる。

 やっぱり猫そのまんまだ。

 髪の毛と同じ栗色のうぶ毛。

 さわり心地は髪の毛と違うね。

 髪の毛がふわふわだとしたら、耳の毛はさわさわだ。

 どっちも気持ちいいことに変わりはないけどね。

 えーと、根元はどうなってるんだろう?

 観察だ!


「にゃううー、ユウナ様ぁ。おかしくなっちゃいそうですにゃあ」

「もう少し我慢しててねー」

「にゅうー」


 うーん、耳を触っているだけなのにエッチなことをしている気分。

 ミリィは目を閉じてぷるぷる震えている。

 可愛いなあ、優しくしてあげるからね。

 髪の毛をかき分けて、耳の根元はどこかなー。

 ふむ……境目的な物はなく、急に猫耳がある感じだぞ。

 髪の毛があるすぐ横に耳のうぶ毛がある。

 なでてみると、急にさわり心地が変わる。

 なるほどなるほど。よくわからないけど満足。


「ふにゃあ……。わたしこんなに耳弱かったんですね……にゃう」

「今まであまり触られたことなかったの?」

「にゃう……。だって……好きな人以外にはあまり触られたくない場所ですにゃ」

「じゃあ、あたしは好きな人ってことでいいのかな?」

「にゃ!?そ、それはもちろんのことなのですにゃう……」

「じゃあさ、好きなら好きってちゃんと言ってほしいな」

「えっと……。ユウナ様のことが……好きですにゃ」


 顔を真っ赤にして、目を潤ませながら好きと言ってくれるミリィ。

 いいものだなあ……。

 好きって言われるとこんなにも幸せなんだな。

 じゃあたしも……。


「あたしもミリィのこと大好きだよ。ずっと一緒にいてね」

「にゃうう……。嬉しいですにゃ……」


 あたしはミリィと見つめ合う。

 あ、よく見ると目は少しだけ猫っぽいかも。

 この見つめあう時間も素敵……。

 でもどうせなら、猫っぽく胸に飛び込んできてほしいな。

 あ、もししたくても遠慮してできないか。これも言っておかないとね。


「ミリィ、あたしの好きなことひとつ教えるね」

「にゃ!教えてほしいですにゃ」

「あたしね、好きな子に甘えられるのが大好きなの。だから……甘えたくなったら甘えてきてね」

「にゃう!じゃあさっそく!ユウナ様ー、にゃうううー」

「きゃはっ」


 ミリィがあたしの胸に顔をうずめてきた。

 にゃごにゃご言いながら顔をぐりぐり動かしている。

 ちょっとくすぐったいなあ。

 あたしのおっぱい気持ちいいのかな?

 なでなでしちゃおう。


「ミリィ、かわいいね。よしよし」

「にゃうにゃう……。ユウナ様の胸……気持ちいいのですにゃ」

「好きなだけ甘えてね」

「にゃごにゃご……」


 楽しいなあ。

 あたしが求めていたのはこのイチャイチャ感。

 憧れの生活をあたしは手に入れた!

 しばらくこのままにゃんにゃん楽しんだ……。


 しかし、そろそろ次の子が来る時間だ。

 まだしっぽ触ってないのになあ……。

 まあいい……。後の楽しみにしておこう。


「それじゃあ次の子が来るからこのへんにしておこうか」

「にゃん。了解ですにゃ」

「今日は一緒に夕飯食べて、一緒に寝ようね」

「にゃ!よろしいのですかにゃ?」

「もちろんだよ。あなたはあたしの最初の部下……というかお友達と言うか……。できるだけ一緒にいてほしいな」

「わかりましたにゃ!精いっぱいお世話させていただきますにゃ」

「うん、よろしくね」

「にゃん!」


 こうして、最初の面接は無事終わったのであった。

 可愛い部下が出来ちゃったなあ……。

 猫っ娘ミリィ。

 たくさん可愛がってあげなくちゃ。

 それが名付け親?の義務だよね。

 ほんと幸せだなあ……。

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