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称号

 ウィルが初めてダンジョン“始まりの洞窟”を攻略したのは五歳の頃。

 娯楽の少ないユグリス村で行動範囲が広まった五歳の頃、一人楽しさを求めて村の外に出て時偶然ダンジョンを見つけ、好奇心に負けたウィルは単身でダンジョンに突入してしまう。

 もちろんダンジョンの中には変わらずスライムが待ち受けていた。

 魔物を知らない幼かったウィルは、見た目だけは青くて透明なプルプルした人畜無害そうな生物。

 それでも魔物は魔物。人間(敵)を見付けた瞬間に襲い掛かってきたのだ。

 スライムから受けたダメージは全くと言っていい程なかったが、ウィルは咄嗟に反撃してしまったのだ。

 それは五歳児のパンチ。

 それでもスライムはウィルのパンチをまともに受けると光の粒となって消えてしまったのだ。

 それが面白くなったウィルはそのままボススライムの部屋まで突入してしまい、ボススライムもワンパンで倒してしまう。

 それからのこと、元々娯楽の少ない村で唯一の楽しみを見付けたウィルはほぼ毎日のようにダンジョンに通う。

 多い時は一日に五回以上も攻略したこともあった。

 その結果がこれである。


 “一万回踏破”ダンジョンを一万回踏破した証。


  普通の探索者が生涯で攻略出来るダンジョンの数は平均でも百に満たないと言われている。

 初心者のダンジョンでも初めて突入する場所なら、一流の探索者でも最低でも三日はかかると言われている。

 マッピングや罠の確認、出現する魔物の下調べなどやることは様々だ。

 これが上級のダンジョンにでもなれば初めての攻略には数年単位でかかると言われているのだ。

 そもそも一度攻略したダンジョンを何度も繰り返して攻略に挑むことはほとんどないのだ。

 それに比べウィルが攻略し続けてきたダンジョンは一種類だが、攻略難度が極めて低い。

 それこそ世界で一番低いだろう。

 だからこそウィルは一万回もダンジョンを攻略することが出来たのだ。




「これは…一体…」


 ウィル・レントナー

 性別:男 年齢:14 種族:人間

 Lv:13

 HP:533(0・1)

 MP:208(0・1)

 STR:147(0・1)

 VIT:122(0・1)

 INT:100(0・1)

 MND:84(0・1)

 AGI:130(0・1)

 DEX:156(0・1)


 スキル

 ・体術(1)・剣術(2)・短剣術(1)・槍術(1)・棒術(1)・双剣術(1) 

 ・斧術(1)・弓術(1)・盾術(1)・投擲(1)

 ・火魔法(1)・雷魔法(1)・風魔法(1)・水魔法(1)・土魔法(1) 

 ・探索(1)・暗視(1)・鑑定(1)

 ・料理(1)・木工(1)・調薬(1)・算術(1)


 称号

 ・器用貧乏:スキルは取得しやすいが、スキルレベルは上がりにくくなる。

 ・一万回踏破:ダンジョンを一万回踏破した証。称号を手に入れてからのダンジョン踏破回数倍ステータスをアップさせる。

 ・孤独な探索者:ソロでダンジョンを一万回踏破した証。仲間ができた時、仲間のステータスを自分のステータスの10%アップさせる。


 ウィルは自分の身体の怠さや違和感に気付き自身の状態を確認すると、見たこともない称号が2つも増えていたのだ。

 称号の内容から言って各ステータスの括弧の中身が称号に関することだろう。

 最初の0が称号を手に入れてからのダンジョンの踏破数で、後ろの1が補正が掛かった現在のステータス値なのだろう。

 つまり、ウィルのステータスは現在オール1。ステータスが1以下にならないのがせめてもの救いなのかもしれない。

 HPが0になるということは死と同様のことなのだ。

 しかし今のウィルはスライムにも赤ん坊にも劣るステータス値なのだ。


「ハハッ、これじゃスライムにも勝てないよ。…それどころか箪笥の角に足の小指をぶつけただけで死にかねないな、ハハッ。……って、呑気に笑ってる場合じゃないよ!」


 もうすぐ旅立ちの日が近づいてきている今になってこんなことが起きてしまって軽く絶望してしまうが、次にどうするべきかを考え始める。

 取り敢えずボス部屋でずっと座り込んだままでスライムが復活したらそれこそ拙いと考えたウィルは重くなった身体をゆっくり起こし、木剣を杖代わりにおぼつかない足取りでダンジョンを出る。

 幸いと言うべきかダンジョンを出る頃には重くなった身体にも少し慣れ、普通の日常生活くらいならなんとか過ごせそうなくらいまでは動かせそうだ。


「さて、これからどうしようかな?」


 ウィルはそう呟きながら空を見上げる。

 木々の隙間から見える太陽はまだ天辺を少し過ぎたくらいだ。

 ウィルはこんなことになってしまったが、冒険に出たいという気持ちは変わっていない。

 まだ見ぬ世界にどんなモノがあるのか、まだ知らぬダンジョンはどんなモノがあるのか、その好奇心は底を知らない。


「…やっぱり、このダンジョンをもう一度攻略するしかないよな」


 そうは言ってもウィルのステータスは現在オール1、スライムよりも劣っている。

 HPもVITも1だからスライムの体当たりで即死だし、AGIも1だから躱すもの難しい。

 罠を仕掛けようにもDEXも1だから成功する確率も低い。

 MPも1だから魔法も撃てないし、STRも1だから素手ならダメージも与えられない。


「やっぱりこれを装備するしかないよな」


 そう素手ならだ。

 ウィルは先程まで杖代わりにしていた木剣を見つめながら握りしめる。

 木剣を装備した状態でスライムに一撃を入れられれば子供のパンチくらいにはなるだろう。

 スライムは子供のパンチ一撃で倒せるくらいだから当てればなんとかなるはず…。


「ただなぁ…」


 ただ、今のウィルには木剣でも重たいのだ。


「それでもやるしかないか!」


 まず考えなければいけないのが、どうやってスライムに攻撃を与えるのかだ。

 今回の戦闘は出会ってすぐ最初に一撃を与えた方が生き残る。

 ウィルが最初にスライムの攻撃を躱したとしても、次に攻撃に移れるかは分からない。戦闘が長引くのはよくないのだ。

 それなら初撃で決めた方が圧倒的に安全だ。

 ならどうやってスライムに攻撃を当てるのかといと、スライムの攻撃に合わせるしかない。

 スライムの行動パターンは一つ。

 敵を発見次第、一直線に特攻してきて体当たりをしてくるというワンパターンな行動だ。

 その体当たりは大きくジャンプするのだが、それが丁度ウィルの鳩尾辺りになるので先読みしてそこ目掛けて木剣を振ればほとんどの確率で当たるはずだ。

 ジャンプしたスライムに避ける方法はないが、タイミングや位置がずれればウィルが死ぬ。

 だがこれしか方法は無いとウィルは結論付けダンジョンに突入する。


「不幸中の幸いかな。INTが1なのに思考も記憶もはっきりしてるのは…」


 いつもとは違うダンジョンにドキドキしながらも最初の小部屋の前に着き、大きく息を吐いてまた大きく息を吸って気合を入れて中に入る。

 左の腰に提げた木剣に手を掛けながらゆっくりと進入すると、いつも通りの場所にいたスライムがいつも通りのタイミングでこちらに気付き特攻してくる。

 スライムの前進は基本ピョンピョン跳ねながらだ。


(この距離なら五回跳ねた後に体当たりだ…3、4、5、ここだ!)


 ウィルはスライムが踏み切ると同時にいつもより遅い剣筋で木剣を振るう。

 ウィルが振るった木剣は見事スライムに当たりスライムを後ろに弾き飛ばす。

 スライムはそのまま動かずに、小さな塊を残して光の粒となって消えていった。


「はぁはぁ、取り敢えず一勝」


 一度振っただけで息切れしてしまい、また木剣を杖代わりに身体を支える。


「いつもなら真っ二つに出来るんだけどなぁ…。つか、スライムと死闘を繰り広げたのって世界でも僕だけなんじゃないかな」


 ウィルは苦笑いしながらもいつも通りスライムのドロップアイテムを拾いポケットに入れ、ボス部屋に向けて歩き出す。

 薄暗い細い通路を通り、ゆっくりとボス部屋に入る。

 ボスがいる位置にはいつも通りスライム……ではなくイレギュラーのゴブリンがいたのだ。


「なっ!?イレギュラーが二回連続なんて、それこそイレギュラーじゃないか!」


 ウィルは想定外のことに思わず後退りしてしまう。

 “ボスはボス部屋でしか行動できない”これはダンジョンにある一つの法則でボスは自分の部屋からは出ることはないのだ。

 ウィルはここで考え直すことにする。

 このゴブリンを倒さなければボススライムに変わることはないが、こんな辺鄙な場所にあるダンジョンに誰が潜りに来るだろうか。

 村の人に頼もうにも旅立ちが近い今、ゴブリンを倒せないようでは旅立ちに反対されてしまう。


「…覚悟決めるか」


 ある程度作戦を決め、覚悟を決めたウィルはもう一度ボス部屋へ踏み込む。

 ゴブリンもスライムと同じく敵を見つけ次第特攻を仕掛けてくる。

 初撃は先程と同じくタイミングを計って木剣を振り抜くこと。

 ゴブリンの得物はボロボロのナイフでウィルの得物は木剣、リーチで言えばウィルの方が圧倒的に有利なのだ。

 狙い通りウィルの振り抜いた木剣は綺麗にゴブリンの胴体に直撃し、少しゴブリンの後方に弾き飛ばす。

 そしてウィルはその瞬間に左手でポケットからあるモノを取り出すとゴブリンの後方へ投げる。

 ここでゴブリンの特性に付いて一つ。

 ゴブリンは物音に物凄く敏感で敵が目の前にいても直ぐに物音がした方に注意が逸れるのだ。

 ウィルが投げたのは先程スライムが落とした小さな塊、“スライムゼリー”だ。

 ゴブリンの後方でペチャっという音と共にゴブリンは後ろを振り返る。


「ハハッ、上手くいきすぎだろ!」


 思わずそんなことを呟きながら再び振り返ったゴブリンの顔面を目掛けて木剣を思いっきり振り抜いた。

 ゴブリンは声を上げることもできずに光の粒となって消えていった。


「はぁはぁ……はぁ~」


 ウィルはカランと木剣を地面に落とすと自身も崩れるように地面に落ちる。


「あぁ~怖かったぁ~。死ぬかと思ったよ」


 ウィルは調子が戻っていくの感じながら自分の状態を確認する。


 ウィル・レントナー

 性別:男 年齢:14 種族:人間

 Lv:13

 HP:533(1・533)

 MP:208(1・208)

 STR:147(1・147)

 VIT:122(1・122)

 INT:100(1・100)

 MND:84(1・84)

 AGI:130(1・130)

 DEX:156(1・156)


 スキル

 ・体術(1)・剣術(2)・短剣術(1)・槍術(1)・棒術(1)・双剣術(1) 

 ・斧術(1)・弓術(1)・盾術(1)・投擲(1)

 ・火魔法(1)・雷魔法(1)・風魔法(1)・水魔法(1)・土魔法(1) 

 ・探索(1)・暗視(1)・鑑定(1)・先読(1)

 ・料理(1)・木工(1)・調薬(1)・算術(1)


 称号

 ・器用貧乏:スキルは取得しやすいが、スキルレベルは上がりにくくなる。

 ・一万回踏破:ダンジョンを一万回踏破した証。称号を手に入れてからのダンジョン踏破回数倍ステータスをアップさせる。

 ・孤独な探索者:ソロでダンジョンを一万回踏破した証。仲間ができた時、仲間のステータスを自分のステータスの10%アップさせる。


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