野球場へ行こう!
地元チームが出てきますが、このようなチームは存在しません(笑)
ただ、あるチームを参考に書かせてもらいました。
わかるかなぁ〜。
フェンスの低い外野スタンド。一番狭いことで有名な野球場に観戦をしにひろことミサがやってきた。
もちろん地元の球団プーカの応援のため、ライトスタンドの一番前の席に腰掛ける。
球場が狭いので、一番前の席に座るとすぐ目の前に選手の背中が見える。守備につき、キャッチボールをするプーカのライト鳥山。
真夏の日差しの中、ひろことミサは照りつける太陽を避けるために日焼け止めを塗り、タオルを頭から被り、メガホンを手に持つ。
電光掲示板に今日の両チームの先発が発表される。
「今日の先発は白田だー!絶対勝つぞー!」
自前で買った地元チームのユニホームを身にまとっているひろこが笑いながら言った。
「エース様だもん。三者凡退よー」
白田は地元チーム『プーカ』のエース。しかし、隣で聞いているミサは全くわからない。というのも、今日ここにいるのはひろこからの誘いだった。
ミサは野球のことをほとんど知らない。
「…エース様?三者凡退?なにそれ?」
「あ、ミサは野球のこと知らないのよねぇ。…今日は私がいっぱい教えてあげるから、プーカのこと応援しようね!」
「う、うん…」
ミサはスタンドを見渡した。プーカのチームカラーである赤に染まっている。応援団の太鼓の音とトランペットが響く。
太鼓とトランペットがつむぎだすリズムに合わせ、スタンドのプーカファンがメガホンを叩いている。
「す、すごい応援だね。…ところで」
隣でわくわくと目を輝かせているひろこが、ミサの問いかけに叩くメガホンを止めた。
「…先発ってなに?それに…始まる前に野球のルール教えてほしいんだけど」
「え、ルールも知らないの?!」
思わず大声を出して驚いた。だが、応援が盛り上がっているせいですぐその声はかき消された。
ひろこの態度にミサは少しむっとした。
「…私を無理やり連れてきてその言い方はないんじゃないの…。だから野球知らないって言ったのに」
ひろこは慌てて説明を始めた。
「あ、いやいやごめん!えーとじゃあ、簡単に説明するね。
ルールは1塁2塁3塁と進んで、ホームを踏んだら得点。1回から9回までやって得点が多いほうが勝ち。
1回っていうのは相手の攻撃と自分の攻撃で1回。3アウトになったら攻撃をチェンジ。先発っていうのはマウンドで一番最初に球を投げる人のこと」
「……」
わかっていないのかミサの目が点になっている。そんな中、プレイボールがかかり、マウンドに立っている白田が投げ始めた。
「う、うーん。まぁ見ながら説明しようか」
「じゃあ、あれなに?」
ミサが指差したのは電光掲示板だった。
「いろんな人の名前が連なっているけど…なにか意味あるの?」
「あぁあれは打順だよ」
「打順?」
見ると、左からプーカとあり
6煩 4東野 7後田 5細井 9鳥山 3桃山 8尾田 2蔵本 1白田
と書かれている。
「あの上の数字の順番に打つの?」
「ううん、あれは守備の番号。
1はピッチャー、2はキャッチャー、3はファースト、4はセカンド、5はサード、6はショート、7はレフト、8はセンター、9はライト」
またもやミサは首をかしげた。
「その…守備の位置がいまいちわからないんだけど。…じゃあこの人はどこ?」
と指を差したのは、鳥山の背中。丁度、ボールが鳥山のところまで来た。高く上がったボールは鳥山のグラブの中に納まった。
すると、応援団が太鼓とトランペットを鳴らしそれに合わせて観客がメガホンを叩く。大きな音が球場をこだます。
「え、なになに?!」
いきなりのことでミサは驚ききょろきょろと見渡した。
そんなミサを見てひろこは笑いながら説明した。
「はは。今アウトを取ったからメガホンを叩いたんだよ。でね、鳥山はライト。
…じゃあまず守備の位置から説明しようか。一番奥で3人の人がいるの見える?」
ひろこが指差した方向をミサが見た。
3人…しゃがんでいる人とその後ろで黒いなにかをつけた人となにか手に持っている人がいる。
「見えたけど…あの人たちがどうしたの?」
「あそこがホームベースがあるところなの。しゃがんでいるのは、キャッチャーの蔵本。その後ろにいる人は審判、バット持っている人は相手バッター」
「ふーん…」
白田が投げたボールをバッターが打った。が、ファーストへのゆるいゴロでそのボールを取った桃山は自分でベースを踏んだ。
再び応援団が太鼓とトランペットを鳴らし、メガホンがゆれる。
「…今アウトになったの?」
「うん。今取った人がいるでしょ?あれが桃山。で、踏んだのは1塁。
ホームベースから左回りに1塁、2塁、3塁って言うの。白い四角いものが見えるでしょ?あれがそうよ」
ミサは目を凝らしてみた。確かに白い四角いものが見える。
「1塁の前にいるのがファースト、1塁と2塁の間にいるのがセカンド、2塁と3塁の間にいるのがショート。3塁の前にいるのがサード。
その4つのベースを結ぶダイアモンドの中で投げているのがピッチャー。これを大まかに言うと内野っていうの。
で、その内野よりも外にいる人が外野。ホームベースから見て左からレフト、センター、ライトって言うのよ」
「ふーん…」
ひろこの熱心な説明に、ミサはうなづいて答えた。
「大体わかったような…。じゃあどうやったらアウトになるの?」
「えっとね、フライを打ち上げてノーバンで捕ったり、バッターがファーストに行くまでに守備がファーストに投げたり
あとストライク3つを取ったり…大まかなアウトはこんなもんかな」
「フライをノーバウンドで捕るっていうのと、ファーストに投げるっていうのはなんとなくわかるんだけど、ストライク3つってなに?」
「うーんと…あ、今丁度いいや見てみて」
とひろこが指差したのは電光掲示板の右側。
見ると上からSBOと並んで、Sの横には黄色いランプが2つ点り、Bの横には緑のランプが1つ点り、Oの横には赤いランプが2つ点っている。
「なにあれ?」
「あれはね、カウント。SはストライクのS。BはボールのB。OはアウトのO。だから今は2ストライク、1ボール、2アウト。
ストライク3つのストライクっていうのはあのことだよ」
ひろこがそう言い終えたあと、スタンドが盛り上がった。
見ると白田が三振を取ったらしく、今からプーカの攻撃が始まるからだった。
「…じゃあ今白田って人がストライク3つ取ったからアウトになったの?」
「うん!3つアウト取ったから今度はプーカの攻撃よー!」
1回の守備があっさり終わったためか、ひろこの顔は終始笑顔だった。応援するため再びメガホンを握り締めている。
「…ふーん。なんとなくわかった気がする」
ミサは電光掲示板のカウントに目を向けた。先ほど点っていたランプは消えていた。
代わりに、上のほうにある1から9まで数字とプーカと相手チーム名が書かれた表のようなものに、新たに0が入っていた。
「でもまだ、どうやったら点が入るのかいまいちわからないんだけど…」
「ぼーん!かっとばせ!ぼーん!」
隣のひろこに目線を戻すと、ひろこは応援団のリズムに合わせ、メガホンを叩きスタンドのファンと一緒に応援に大声を出していた。
「…まぁいいか。プーカの攻撃が終わったらゆっくりと聞こうっと…」
強い日差しの中、ミサは汗を流しながらもマウンドに目を向けた。スタンドは日差しに負けないくらい熱気に溢れている。
いかがでしたか?野球は9回までありますが、まだ1回の相手チームの攻撃しか終わっていません。。ルールを説明したのもほんの一部です。
シーズンが開幕してテレビで放映されるのも多くなってくる季節です。ルールを知らないと見ようという気も起こりませんよね?
野球はとってもおもしろいです。少しでもルールを理解していただいて一緒に野球を楽しみましょう。
この話に続編があるのかは…わかりません。でも、もしかしたらあるかも。。
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