第二十六の話 いい一日?
〜花鈴視点〜
・・・あ、あれは・・・。
「龍二〜♪」
「んあ?」
のんびりと道を歩いていた龍二の腕にしがみつくアタシ。いやぁまさかどこ行こうか迷ってた時に龍二に出会うって・・・。
「これって運命?」
「俺の腕にしがみつくのがか?」
サラリと何とも思ってないかのような発言をする龍二。てゆーかホントに何とも思ってなさそうだけど・・・あ、ついでにチラチラ龍二が家から出るタイミング見計らってたっていうのはナイショね♪。
「ところで何してたの?」
「お前は何してんだ。」
質問を質問で返されました。
「い、いいでしょ別にアタシのことは!」
「ああ、確かに。」
「・・・すぐ肯定するのやめてくださいお願いですから。」
「へいへい。」
あ、扱いにくい・・・。
「で?何してたの?」
「散歩してたんだが?今日はいい天気だし、公園で光合成でもしようかなと。」
光合成ってアンタ植物か。素直に日向ぼっこって言っときなさいよ。
「あ〜じゃ暇ってことね。」
「どこをどう取ったらそうなるのか知らねえけど、まあそうだな。」
どこをどうってのんびりしに行くって言ってるようなもんだから暇ってことでしょうが。
「そんじゃ〜さ〜・・・アタシと付き合いなさい。」
「何を?」
ぐ・・・我慢よ我慢。
「だ、だからぁ・・・あぁあれよあれ!こないだ奢ってって言ったでしょ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、そうだっけ?」
「今すんごい思い出すのに時間かけてたでしょ!?」
「気ニシナーイ。」
「もうええわそれ!」
は、コントしてる場合じゃなかった!
「そ、それに街とか案内してもらおうと思ってたとこだし。」
「あぁ、まだだったかそれ。じゃ奢るついでに案内してやるよ。」
やった♪交渉成立♪
「そんじゃ早速行くわよ!甘い物奢ってもらうんだから!」
「へいへい。」
ダルそうな龍二を引っ張りながら元気よく出発!うん、これがよくあるカップルよね!
〜で、街にて〜
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。」
「お疲れ〜♪」
あ・・・今息荒くしてんのアタシね。
えっと、最初の方はアタシの方が元気あったんだけど・・・。
途中から形勢逆転しまして・・・。
〜回想〜
『ほら、ちゃっちゃと歩く!』
『あ〜はいはい歩いてますよっと。』
『男なんでしょ!しっかり歩きなさい!』
『これが俺のペースだから男とかそんなん関係ねぇと思うが?』
『屁理屈こねないの!文句言うんだったらアンタがアタシ引っ張っていきなさいよ!』
『ん?いいけど別に。』
『・・・いやにアッサリしてるわね。』
『あ、それと一つ忠告するけどよ。』
『何?』
『最高速度出すくらい走るから絶対に手ぇ離すなよ?』
『・・・は?』
『じゃレッツラゴー。』
【ズギュウウウン!!!】
『――――――――――って速ええええええええええ!!!?????』
〜回想終了〜
・・・ってな感じで・・・し、死ぬ・・・気持ち悪・・・。
「おいおい、誘った本人が死にかけてどうすんだ。」
うっさいわね加害者・・・って言いたかったんだけど言う元気ありません・・・。
「ん〜・・・じゃあここで休憩するか。」
「?ここ・・・?」
龍二が指差した場所は・・・
『CAFE・TAIYAKI』
・・・。
TAIYAKI?
「ほらほら来た来た。甘いもん食いたいんだろ?」
「ちょ、ちょっと!」
半ば強引にカフェへと引っ張り込まれるアタシ。
・・・べ、別にやらしい意味じゃないから!勘違いしないでよ!
〜店内〜
「いらっしゃいませ!」
「おっつ〜。」
「あ、龍二さん。今日も来ましたか。」
「おお。いつもの二つよろしく。」
「かしこまりました。こちらへお掛けください。」
「サンキュ。」
店に入るとすぐに若い店員さんが出迎えてくれて、龍二と慣れ親しんだ感じで会話した後、席へと案内してくれたんでアタシと龍二はお互い向かい合った状態で座った。
「にしても随分慣れた感じだったわね?」
「ここの常連だからな。慣れて当然。」
「ふ〜ん。」
店の雰囲気は、全体的に白と水色が基調となっている色合いが何だか落ち着く。天井では木製の扇風機がゆったりと回っていて、ごく一般的な喫茶店といった感じ。お客さんも少なくなくて、人気はある様子。
「・・・で?気分はどうよ?」
「あ〜、大分マシになったかな?」
ここの雰囲気のおかげですっかり気分がよくなった。
「周りの空気にハーブの香りふってあるからな。」
「へ?そうなの?」
「そ。」
あ〜だからね。雰囲気よしでサービスよし。
「ところで龍二、さっきのいつもの奴って?」
「まぁそのうちわかる。」
まぁそうだけど・・・。
「お待たせしました。」
「お、来たか。」
噂もすれば何とやら、ね。
・・・。
「・・・ねぇ龍二?」
「ん?」
「これ・・・何?」
「見りゃわかるだろ。そんなんもわかんねぇのかお前は。」
いや、だって・・・さ。
洋風な喫茶店にタイヤキってどうよ?
「何でタイヤキ?」
「カフェ・タイヤキだから。」
あ、確かに・・・いや由来がわかんないって。
「やぁ、こんにちは龍二。」
「お、マスター。」
私達の席に来たのは、見た目がまだ若々しい男性だった。店員と同じ黒いエプロンをつけてる。
「お?そっちの子は彼女?」
「え、か、彼女ってそんな・・・//////」
「あぁ、こいつは最近隣に引っ越してきた幼馴染で花鈴ってんだ。」
・・・せめて照れて慌てるか否定の言葉投げかけなさいよ。マスターのセリフ無視するって・・・むなしい・・・。
「あ〜、幼馴染ね。」
「奢れって言われてな。」
「そ、それよりちょっと聞きたいことが。」
これ以上いろいろ言われてたまるかっていうわけで話題を変えるアタシ。
「ん?何だい?」
「えっと、ここってお店の雰囲気が洋風なのに何で和風のタイヤキっていう名前が・・・。」
「ああ、そのことね。よく初めて来たお客さんにも聞かれるよ。」
やっぱり。
「実はね、ボクは昔から大のタイヤキ好きでね。けど実家が実は洋食レストランなんだ。それでお店は洋風でメニューは和風っていう喫茶店が作りたいって思ってこの店を始めただんだ。」
「へぇ〜。」
確かに奇抜なアイデアだし、お店も悪くないから人気出そう。
「そんでもって美味いしなタイヤキ。特にこしあんがいい甘さを出してんな。」
「ははは、煽てたってオマケにはしないよ。」
すんごい和やかな龍二とマスター。かなり通ってるんだろなぁ・・・。
じゃアタシも一口。パクリ。
・・・。
!!
う、うま!こりゃ確かにおいしいわ・・・。
「うまいだろ?」
「うん、おいしい・・・。」
「いやいや、まだまだですよ。これからもっと精進していきます。」
うん、マスターいい人だし、今度から通いつめちゃお♪
〜で、街に戻る〜
「さて、と。満足したか?」
「うん、かなり!」
値段も安かったし!奢ってもらったけど。
「んで?どうするよ。」
「あ〜・・・じゃ他にアンタがよく行く場所教えなさいよ。」
「ん、お安い御用っと。」
のんびりした口調じゃなきゃかなり頼りがいのあるセリフなんだけどなぁ。
って思ってたら・・・。
「あ、リュウジ・・・。」
「龍二、花鈴!」
不意に声をかけられて振り返ると、久美ちゃんと・・・誰かわかんない女性が走り寄ってきた。
「あ、久美ちゃん。」
「こんなところで奇遇d【パッコーーーーーーン】あいたああああ!!??」
・・・いきなり久美ちゃんの頭を何かで殴った龍二。
ってへ?何で?
「いつつ・・・な、何をするんだ龍二!」
「黙らっしゃいブルジョワ。」
「ブルジョワ!?ってか何それ骨!?何で骨!?」
「因みに豚骨。」
手に持ってたのは大きな豚骨・・・うわ、痛そう・・・。
「久美・・・こないだの伝言・・・。」
「あ、それ!?でも何でいきなり殴られたのかわかんないんだけど!?」
「さぁもう一発逝ってみよ〜!」
「何だかわからないがごめんなさい!」
骨を振りかぶった龍二に対してすかさず土下座する久美ちゃん・・・早っ。
つーか今漢字がおかしくなかった?“逝く”ってアンタ。
「・・・この人誰?」
「お、リリアン初めてだっけ?こいつ俺の幼馴染の高橋 花鈴。」
「あ、えっと花鈴です。よろしく。」
「・・・リリアン・ヴェルバー。アルスの仲間。よろしく。」
あ、この人がアルスの言ってた仲間なんだ。
「・・・。」
ってあれ?何で顔逸らすの?
「おい、どした?」
「具合でも悪いのか?」
あ、久美ちゃん復活した。
「・・・初対面の人・・・恥ずかしい・・・。」
「あ〜なるへそ。」
何が納得いくのかわかんないんですけど!?
「つかお前って初対面の奴には警戒心丸出しにするんじゃなかったか?」
「・・・龍二の知り合いなら・・・別に警戒する必要ない・・・。」
へ?どゆこと?
「なるほどな〜。」
「「そこ納得するの!?」」
久美ちゃんとアタシのハモりツッコミ!
「あ、何ならこれから一緒に行動すっか?」
「そうだな。あたし達も暇でここに来ただけだし。」
「賛成・・・。」
「え、ちょ・・・。」
何提案してんのよ〜!せっかく二人きりだったのに・・・でも久美ちゃんとリリアンさんに悪いしな〜・・・。
「ヒュー!君達可愛いね〜。」
「?」
あ、今のアタシ達じゃないよ?背後からの別の声。振り返ってみれば、何か派手派手な三人の男の人がアタシに近寄ってきた。
うわ、またこの展開?東京でも経験したっていうのに・・・。
「なぁなぁ、俺達とさ、一緒に遊ばない?」
「こ〜んな貧弱そうな奴と一緒にいないでさ〜?」
「そうそう。俺らの方が何倍もいいし!」
う〜わ〜ナルシストこいつら?大して顔よくないクセに。つーか顔よくても行きたくないし。
「・・・あいにくだが、あたし達はお前達みたいな奴らと一緒に行く気はない。」
「興味ない・・・。」
「同感。さっさと消えて。」
アタシと同じ考えだった久美とリリアンさんに便乗して挑発する。
「え〜?つれないなぁ。」
「いいじゃん、一緒に行こうよ〜。」
「行こう行こう?」
「ちょ、放しなさいよこの!」
とっさに腕を掴まれて、アタシは思い切りもう片方の腕を振り上げた・・・。
【バシッ!】
「いっ!?」
・・・あ、龍二が先に男の手叩き落とした。
「て、テメェ!」
「邪魔すんじゃねえよ!」
「殺してやる!」
『うっせんだよカスども。』
【ゴゥッ!】
「「「!!???」」」
龍二が放つ暴言と殺気で、思わず固まる男三人。かくいうアタシ達も固まる。
『必殺・・・
双龍弾!!!!』
【ズドゴオオオオオオオオン!!!!】
「「「ぎゅぶえっ!!??」」」
・・・。
え・・・っと・・・いきなり技の名前叫んだと思ったら男三人がアスファルトにできたクレーターの中央で倒れ伏してたんですけど・・・。
【グワシ!ズールズール・・・。】
で・・・男三人の襟引っ掴んで路地裏へと消えていく龍二・・・ってか何か引きずった後に血が・・・。
〜で、十分後♪〜
「ただいま〜♪」
「「「お、おかえりなさい。」」」
手を叩きながら爽やかな笑顔で路地裏から出てきた龍二。
でも顔にさっきまで付いてなかった赤い物は一体何ですか?
「り、龍二・・・何してきたの一体?」
こ、恐いけど好奇心が勝ってしまう・・・。
「へ?ああ“社会どころか裏社会でも生きていけないような事”してきた♪」
「「「・・・・・・・・・。」」」
【ピュ〜・・・】
あぁ、心なしか風が冷たい・・・。
「さ、どうする?『どっかのクズどものせいで0.1秒さえももったいないくらいクソくだらないことで費やした分遊ぶ』か、家帰るか?」
「「「家に帰ってまた別に日に遊びましょう。」」」
うん、一言も間違えずにキレイに言葉揃えたね。
「?そうか。まぁ無理に遊ぶこともないしな。」
ええ、凄まじく家帰って寝たいです♪
「それじゃ・・・。」
「またな龍二、花鈴。」
「バイバーイ。」
「バイナラ〜。」
分かれ道で久美ちゃんとリリアンさんと別れ、アタシ達は帰路につく。
「今日はタイヤキ美味かったな。」
「え、ええそうね。」
それ以外はホント最悪だったけど。結局街案内してもらえなかったし。
でも一緒にタイヤキ食べれただけでも報酬かな?
「ふぅ。早く帰って三人にメシ作ってやらねえと。」
「それ主婦が呟くようなセリフなんですけど?」
さっきまで修羅場繰り広げてた人物が呟くセリフとは思えない。
「まぁな。俺主夫だし。」
「あ、主夫ね。」
“ふ”が違う。
「どうする?お前も一緒に食う?」
「ん〜・・・今日はいいわ。たまには一人で食べるのも悪くないし。」
たまにはアルス達と一緒にさせてあげるっていうのも一つだけどあえて言わないでおこ。
「そうか。まぁまた来いよ。」
「は〜いっと♪」
うん・・・今日はホント疲れたけど・・・
何かいろいろ充実した日だった。
「あ、ところであの不良三人組に何言ったか知りたいか?」
「勘弁してください(泣)。」
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