第57話:引き離された二人
美智と灯が話していると、何かを開くような音と数人の足音が響いてきた。
「どうやら気がついたようだね」
そこに立っていたのは、おばばの息子である神主と妻。そして川辺だった。
「お久しぶりです。これは一体どういうことですか?」
「色々と嗅ぎ回っていた君なら分かることだろう?」
そう言って笑う神主を見て、美智は怒りを覚えたが逆にそれが冷静さを取り戻すきっかけにもなった。
(ここは冷静にならなくちゃ)
「もう止めて下さい。生贄なら私がいるじゃないですか?」
「仕方無いだろう。今、必要なのは龍神様を満足させられる程の舞い手なのだから。君も悪くない話だろう? 彼女を生贄さえすれば、君は自由だ」
「そんな自由など欲しくありません!!」
「さぁ、来なさい」
そう言うと神主は、美智の手首を荒々しく掴み、半ば引きずりあげるように無理やり立たせるとそのまま座敷牢をあとにしようとする。
「みっちゃんに触らないで!!」
灯は、神主の手から美智を取り返そうと必死に声を上げながらその腕を引っ張る。
「離しなさい」
「きゃっ…………」
「灯ちゃん!?」
神主が灯の手を振りはらったひょうしに灯はその場に倒れた。
「灯!」
それを見ていた川辺は、灯に駆け寄り抱き起こす。
「灯ちゃん、私は大丈夫だから。ね?」
「さぁ、君はこっちに来るんだ」
「みっちゃん!」
灯は美智の名を呼びながら、神主を止めようとしたがそれを川辺が止める。
「離して! ねぇ、離しなさい!」
「落ち着くんだ、灯……………」
背後から聞こえる灯の悲痛な叫び声に戻ろうとするが、掴まれた腕を振り払うことは出来ず、そのまま美智は外へと連れ出されたのだった。
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