蛍籠(32/72)縦書き表示RDF


蛍籠
作:楓



第31話:提案


 功が病室に来てから一時間後、美智が病室に駆け込んできた。
 「夏美!!」
 「しっ! 静かにしろ、今寝てるから」
 「あっ、ごめん。で、どうなの?」
 「先生が言うには数針縫ったけど大丈夫だってさ。お前、何してたんだよ、遅いぞ。お前まで何かあったんじゃないかって」
 「ごめん。着信に気が付かなくて」
 「何か分ったのか?」
 「うん、蛍のおじさんについてある仮説が出来た。今はそれの裏付け待ち」
 「仮説って?」
 「はっきりしてから教えるよ。間違っていたら悪いし」
 「大丈夫なのか?」
 「うん。広田に頼んだしね。それで、夏美はどこで襲われたわけ?」
 「倉だよ。おじさんの住所を調べてたらしいんだ。そしたら変な箱を見つけて中を確かめていた所を後ろから殴られたらしい」
 「木箱?」
 「ああ。血まみれの衣服と川辺と灯の写った写真」
 「!?」
 美智は、功の口からでた言葉に驚きを隠せなかった。
 これは裏付けなんか取る必要はない気がする。
 「夏美!!」
 美智が話そうか迷っている時に新たな人物が現れる、明だ。
 「静かにしろ」
 「ごめん。大丈夫なのか、夏美は」
 「ああ。怪我自体はひどくない」
 功は、美智に話したのと同じ内容を告げる。
 「それは…………。でも今の時間、川辺先生は図書室にいたはずだよ」
 「誰にも見つからないように移動すれば、可能だろ?」
 「でも、清流荘には女将さんやおじさんや仲居さんもいるから、それだけの人たちにばれないようにするにはかなり難しいのでは?」
 「まぁ、そこが問題なんだけどな」
 「ねぇ、2人にお願いがあるの」
 「何?」
 「何だよ、急に」
 美智のあらたまった言葉に明と功は、首を傾げる。
 「今日の夜、あるお墓を暴こうと思うの。どっちか手伝ってくれない?」
 美智の突然の提案に2人は、言葉を失ってしまう。
 「おいおい、それは…………」
 「何か分ったの? 美智」
 「寺にある無縁仏のお墓。川辺先生の先輩のお墓らしいのよ。先生も私や功と同じ大学でしょ、それに蛍のおじさんも」
 「まさか、その無縁仏がおじさんってこと?」
 「その可能性は高い。それに美花の姿を見ている人がいるのよ。それで今、広田に川辺先生との繋がりを調べてもらってたけど、木箱に血まみれの衣服があったて言ったでしょ? だから、私の仮説はあってる気がする」
 「分った。じゃあ、僕が手伝うよ。夏美のこともあるし、功には夏美を守ってもらったほうがいいだろう?」
 「じゃあ、夜中に決行ってことで」
 「うん」
 すっかりやる気の2人を見て功は、もしものことを考え忠告する。
 「くれぐれも気をつけろよ、2人とも」
 その言葉に美智と明は頷いた。














ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう