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蛍籠
作:楓



第28話:仮説


 「……………すみません。先輩。こんな所に…………」
 (先輩?)
 先生の呟きでこのお墓に眠る人物が先生の先輩だということが分った。
 (でも、だったら何故墓石に名前を刻まないの?)
 先生は、もう一度熱心に手を合わせるとお墓から去って行く。その後ろ姿を影から見送りながら美智は新たに出てきた情報について考えを巡らせていた。
 (確か、先生も私達と同じ大学のはずよね)
 美智は携帯を取り出し、会社にいるだろう広田に連絡を取る。
 何度目かのコールで広田は電話に出た。
 「先輩? ちょうど良かった。この間の件ですけど…………」
 「亡くなってたんでしょ? その助教授」
 「はい。ってよく分りますね」
 「ちょっとね。悪いけど今度は違うことを調べて欲しいの」
 「いいですけど。何ですか?」
 「光泉高校の教師・川辺 通の大学時代について」
 「いいですけど。それだと大雑把すぎるんでもう少し的をしぼってもらえますか?」
 「主に大学時代の交友関係。それも先生より上で仲が良かった人」
 「分りました。少し時間かかりますけどいいですか?」
 「うん。なるべく早くね。じゃあ」
 美智は携帯を切り、お墓の前に立ち思いを巡らせる。
 (もしかしたらだけど…………。そうでないことを祈るわ)
 自分の嫌な考えが当たらなければいいと思う、切実に。
 そして、あることを決意した。
 それはとても罰当たりなことだけど、それをすることによって出る答えで脳裏によぎったある仮説の真偽を問うことが出来る、だから。
 ―――――――今夜、このお墓を暴く。

 

 












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