第八十一話
「おやつ!?」
空気をあえて読まないで(と本人は言い切る)おやつというワードに反応する和佐。
そんな恋人兼ペットな和佐に姫はしつけをする様に言う。
「駄目、これはこの子の分。和佐くんのは家にあるよ」
一瞬しゅんと小さくなってまた和佐ははっと気づく。
「!! なるほど、僕の分のポッキーはあえて家に置いて来た訳ですね。恋人居ない陸にポッキーゲームでいちゃいちゃしてる僕らを見て悲しくさせない様にする心遣いなんですね!!」
馬鹿をほざく和佐に軽く蹴りを入れて姫は陽菜を担いで風呂場に向かう。
そして一言。
「覗いたら首絞めるから」
ピシャッとドアの鍵が閉まり二人はその場に立ちすくむことしかできなかった。
姫は陽菜の服を脱がせたあと丁寧にやさしくお湯で温めたタオルで彼女の体を拭いていた。
(本当、懐かしいなぁ……)
姫はくすっと笑う。
さっき顔を見た時陽菜という子のことをすべて姫は思い出していた。
年にしては大人っぽい顔つきも変わっていない。
ただあの頃は自分と同じくらいの身長だったのに今はなにげにぬかされていることが少し悔しい。
(でも……こっちだけはぬかされたくないな……)
あと前と変わっている所と言えば胸が少し大きくなっている所くらいである。
ただ姫に勝るほどではないが。
姫はおもしろそうに陽菜の胸をふにゅとつついてみる。
「ん…………」
眉がぴくっと動いた。
(ぁ……ヤバいかも……)
そしてぱちっと目を開けて……
陽菜は驚いて目を大きく見開く。
陽菜の視界をいっぱいいっぱいに占めたのは……同性であってもときめいてしまうくらい可愛らしい素っ裸の姫だった。
姫は少し顔を赤らめぎこちなく言う。
「ひ、久しぶり……」
あんぐりと口を開けていた陽菜はやがて自分も素っ裸だと言う事に気づき……
「きゃーーーーーーーーーーーーっ!?」
悲鳴をあげたのだった。
「おい和佐……なにしてんだ?」
「しーっ、聞こえちゃうじゃないですかっ」
追い出された和佐と陸は洗面所の前に居た。
「俺知らないぞ、後で首占められても」
和佐はドアにすがりつく様に聞き耳を立てていた。
本当性欲だけは無駄に足り余ってる思春期ちゃんである。
といっても陸がまったくそういうのに興味がない訳ではない。
こそっと和佐の耳元で陸は聞く。
「……なぁ……何か聞こえるか?」
「陸もついに目覚めましたか?」
「だって気になるだろ!? 普通」
「しっ、声が大きいです、あとここに耳くっつけるとよく聞こえますよ」
他から見ると確実に警察に連行される二人はそろってドアに耳をくっつける。
かすかだが男を妄想させる威力はある生々しい水の音と曇って反響するかわいらしい二人の声が聞こえた。
「きゃぁっ、姫ちゃんそんなとこ触らないでぇっ」
「えー、ちゃんと洗わないと駄目だよー」
(陽菜の奴……起きたのか……)
元気そうなので陸は安心する。
そして隣を見ると……
鼻血を出してはぁはぁと息を漏らしていかにも興奮してます的な和佐が居た。
「ヤバいです、僕もこの中入りたくなって来ました」
「ば、馬鹿、何言ってんだよ!! 絶対入ったら殺されるって!!」
勢いで本気で入ってしまいそうな和佐を陸は止める。
そんな和佐は陸に問いつめる。
「だったら貴方は入りたくないんですか!? 入りたいですよね!?」
興奮して行きの荒い和佐に顔を接近させられて問われるので陸は混乱する。
(ちょっとまて、入りたくないっていったら嘘になるし……)
というかそういう次元の問題じゃない気がするが。
だが言ってしまうとプライドをめちゃくちゃにふみにじることになる。
「ね、陸も心の中では今からでも一緒に入りたいと思ってますよね?」
「お……俺は………」
スパァン
ドアが鋭く後を立てて開いて槍の様な視線が二人に降り注ぐ。
「ぁ…………」
「二人とも、ここで何やってるの?」
そこには仁王立ちした姫の姿があった。
世界史のテストヤバかったですw
常任理事国とか拒否権とかしか答えられなかった……w
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